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私には、なかった奥の手

今日は午前中にM.ダックスのあっくんの面会だった。
先生からも、お墨付きが出て明日、退院する事になった。
若干、まだ腎臓の数値は高めだけれど、食欲も戻ってきて口径薬も飲める様になったので、静脈注射の点滴も、鼻から入ってるカテーテルも外して、午後からにでも皮下点滴に移行して行くとの事だった。
あっくんの顔付きも穏やかで、とても元気に回復してくれていた事に私も安堵した。
でもまだ、退院しても、少しの間は投薬が必要だと思う。
多分、昨日の面会時の話しでは先生と看護師さんご指導の元、自宅での皮下点滴と口径薬の療養になると、見込まれる。
自宅での皮下点滴による療養は、これで2度目。
前回の時は、さすがに滅入った。
あっくんの兄弟犬がいたのだけれど、ご飯を全く受け付けなくなってしまって、病院に連絡して診てもらった所。炎症反応が振り切ってしまっていて、治療の施し様もなく、出来る事とすれば皮下点滴を自宅でしてあげられる位だった。
やはり先生と看護師さんご指導の元、皮下点滴の処置の仕方を教わり、自宅へお薬とシリンジを持ち帰って療養していたのだけれど、覚悟はしていた事ではあるけれど、2日後に息を引き取ってしまった。
最後に皮下点滴の処置をしたのは私で、頭では分かっていても、息を引き取った事を見届けた時は
自分が最後のトドメを刺してしまった気分に陥ってしまった。
あの時は流石に滅入ってしまった。
亡骸を見ながら、シングルマザーで不憫な思いをさせてしまった事も一気に蘇って来てしまって、泣きながら「ごめんね。」と「ありがとう。」が頭の中で、こだましていた。 
今は元気になったけれど、あっくんももう15歳になる
。内臓機能だって衰えて来ている事を考えれば、何があってもおかしくないのは確かな事。
でも最後まで見届けてあげる覚悟の上で、飼っているのだから、それも飼い主の勤めだと思っている。

今思えば、いつだって奥の手がない私。

シングルマザーになった時は、今の自分の家の経済状況や子供達の現状を踏まえて、何から何まで自分で決断しなければならなかった。
電話や玄関越しにセールスが来ても、旦那様がいるご家庭ならば、セールスマンに話しを詰め寄られても、
「ちょっと待っててください。」と言って旦那様を呼びに行って、キッパリと断ってもらう事も多い事と思うけれど、シングルマザーだった私には、そんな奥の手もなく、電話や玄関越しにセールスマンに捕まってしまっても、何とか自分で難を切り抜けなければならなかった。
私の場合、見た目が柔らかい所があるので、相手から
推しに弱いと見られやすく、あの手この手と隙を突いてはツケ入って来ようとされる。
でも旦那様がいない以上、自分で何とかするしかなかった。
それだけではない。家での稼ぎ頭ある以上、仕事に軸足を置いて、その空き時間に家の中の事をしていかなければならなかった。
でも同じ会社のパートさん達は家の事に軸足を置いて、その空き時間にパートの仕事をされている。
ましてや私と余り歳の差がないのに、私の子供は高校生、大学生なのに、パートさん側はまだ幼稚園や小学校低学年だったりしたのだから。
自分の置かれている環境によって自ら選択した事のはずなのだけれど、スタンスの違いから軋轢が生じてしうのだった。

時には、他の人のフラストレーションの腹いせにされる事さえあった。
当たりが柔らかいから、やり返してこないだろう事を見越して、初対面なのにも関わらずさえの事もあった。

ましてや、「苦労はかってでもしろ」という言葉があるけれど、私の場合はお金を払ったって体験できない
窮地を経験してしまっているのだから、他の方より
肝の座り方が違ってしまうのも無理もなく…

他の女性より、放って置いても何とかなると、思われてしまうのも確かだし。
母も、まだ小さかった妹の方に手がかかってしまうのも確かだったと思うから、私が1人で何でも出来てくれた方が良かったのだと思う。
個人的には、いつもお姉ちゃんなんだからと言われて、放り出されてしまってばかりだった感覚なのだけれど…。

そんなこんなを幾度となく繰り返して、誰も頼れないと思うと自分の中に自分にのみの判断基準が出来るようになっていった。

男社会の叩き上げという荒波にも散々揉まれて来た事もあってか、ポリシーとコンセプトも履き違える事も減っていった。

困惑する事も多かったけれど、気がつけば不可抗力もふくめてクレーム対応に追われる毎日の中で、知らずしらずのうちに身につけてしまった事もある。
他の人が避けて通って来た事を、やらざるを得なかったからこそ身についた事もある。

お陰で、今は人嫌いが治らない。

でもある時の読みもで、
1人で居る事を余り苦痛に思わない人ならではの役割がある事を知った。
それは、種の存続に関わる様な絶滅寸前の時になると、1人で居る事を余り苦痛に思わずにいられる人は
村から追い出されるか、隔離されるのだそう。
1人で居る事に耐えられない人には任せられない
種を絶滅させない為の旅に出される大事な役割なんだって。

ねっ。ヤドカリおじさん。




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