セイばあちゃん家で起きてる怪奇

　昨年の春からセイばあちゃん家の庭には不思議なことが起きている。それまで紫の菫しか咲いていなかったのに突然、白い菫が咲き出した。鳥が運んで来たんだろうとセイばあちゃんは言ってたけど、何十年も紫の菫しか咲いていなかったのだから何か起こる前触れだと私は思ってたの。案の定、隣のみっちゃん家の引っ越しが急に決まり、セイばあちゃんが最後の住人になったわ。その後、すぐにハナとレオがこの集落に来ることになり、私は確信したの。この集落は新しく生まれ変わるんだと。猫には予知能力があると言われているけど、本来、その能力はどんな生き物も持っていたはず。もちろん人間もね。ただ、文明の利器を手に入れるごとに人間は、その能力を失っただけのこと。その能力に従い行動した時に「化け猫」なんていわれるのは心外だわ。例えて言えば、ラジオの周波数をAMやFMのダイヤルを合わせればその放送が聞こえるのと同じことなのに。そんな当たり前のことさえ、今の人間は分からないのね、ふう～。
　ハナは何故、この集落に引き寄せられたのか？ハナの両親は何故、ハナをこの集落に住まわせたのか？もっと、この集落に人が増えた時にハナは知ることが出来るかもしれない。私は知っているんでしょうって！フフッ、知っていても今は教えられないわ。明日は送り彼岸、セイばあちゃんがハナに何を話すのか、楽しみだわ。