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新たな住人がやってくる

 春彼岸の中日、春分の日は元大沢集落の人たちがお墓参りにやって来て賑やかだ。セイばあちゃんは朝から牡丹餅やご馳走をたくさん作って久しぶりに会う住人たちをもてなしている。墓参りを終えた人たちは、セイばあちゃんの家に寄り、お茶を飲みながら昔話に花を咲かせている。集落の田んぼや畑を引き受けている家は農作業に向け、準備がてら小屋の掃除や肥料などを運び込み、畑の点検をしている。いつもなら一緒にセイばあちゃんの家に行くレオは、今日はここから動かないと宣言するように自分の布団に蹲っている。水と餌を用意し、朝からセイばあちゃんのお手伝いに来たけれど、元住人の方が手際よく台所を手伝っていて私の出る幕などなさそうだった。そう思い、外に目をやると見覚えのある車が私の家に入っていった、慌てて家に戻ると父親から若い夫婦を紹介された。
 以前、私がUPした映像に興味を持ち、この集落に住みたいと相談してきた人だと父は紹介し、墓参りの帰省客で賑やかなセイばあちゃん家に一緒に入っていった。持ち主の矢口さんを見つけ、内見するという父たちに同行した。集落の外れにある矢口さん宅は、6DSKの大きなお屋敷だ。IT関連にお勤めのご主人と自然料理研究家の奥様、幼い子ども2人と犬1匹・猫2匹で暮らす家を探していたとのこと。二人ともDIYが趣味で、自然の中で子どもたちを育てたいと思い色々探していた。山田不動産が、主にこの集落の物件を扱っていることを知り、相談していたらしい。内見したご夫婦はここを気に入り、自分たちで直しながら住むとのことで市価の半値で買うここで折り合いがついた。父は、矢口さんと若い夫婦をセイばあちゃん家に連れていき、元集落の人に紹介してから帰って行った。
 一人、蚊帳の外に置かれた私は、こんな形で新しい住人が増えていくことに戸惑い、そばにいた三毛猫に「私はどうしたらいいのかしら?」と話してみた。三毛猫は「それでいいんだよ」と言わんばかりに私の目をのぞき込んでいる。確かに、父は三毛猫を社長にしたんだっけ?私は猫社長の秘書兼営業なのだからこれでいいのかも。でも、なんか可笑しいような気がするんだけどな・・・・後で、レオにも聞いて見よう

 

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