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送り彼岸

 大沢集落に来て迎えた春彼岸。セイばあちゃんは毎日、おりく膳を作り仏前にあげている。なかでも、春彼岸に欠かせないのが「みそかぶ」だという。この地方だけで採れる細長いピンクががった蕪を茹で、味噌で和えただけで、食べてみたが美味しいものではなかった。セイばあちゃんは、この地方では春彼岸にみそかぶを食べると雪崩に遭わないと言われており、秋にとったかぶを土に埋めて置き、春彼岸の時だけ茹でて使うのだと教えてくれた。確かに美味しいものではないから、お膳に上げる分くらいしか作らないと笑っていた。コンビニやネットで何でも買える時代なのに、昔の人が伝えてきた伝統を大切に守っている集落。何も考えずにお金で買えばよいと思っていた私。ここに来て便利さと幸せは違うのだと思うようになった。確かに、町にいた時の私は生きづらさを感じていた。だから、ここに来たんだよね。都会から見たら何もない、不便な限界集落で一人取り残されたセイばあちゃんの方が幸せに見えるのはどうしてなんだろう?他にもセイばあちゃんのような暮らしをしている人がいるのかな?ネットの中にヒントがあるかしら。限界集落だったのに蘇ったところがあったら、参考になることがあるかも知れない。先ずは私に出来ることをやってみよう。まもなく、新しい住人もやってくる。きっと、解決策は見つかる、そう信じてやってみよう。座布団で寝ていた三毛猫が目を開けにゃーと返事をしてくれた。

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