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【浮体式洋上風力#3】浮体メーカー紹介①BW Ideol

前回までは浮体式洋上風力の浮体構造物について解説しました。



今回からはもう少し踏み込んで、各社の浮体構造物にフォーカスを当てて解説していきたいと思います。



①BW Ideol "Damping Pool"

今日は欧州だけでなく、日本でも実証機が浮かんでいるBW Ideol社の浮体を紹介します。


概要


https://www.bw-ideol.com/jp/futishiyangshangfenglifadiannochiyanhionwomuzhishi-bw-offshoreshekaideolnitouzi


Moonpoolと呼ばれる中央開口部を設けることで浮体の動揺を防ぐデザインであり、また浮体の材料としてコンクリートを使用しコスト削減および地元調達率の向上を図っています。


また、Damping Pool®浮体はNEDO プロジェクト「ひびき」の3 MW 実証機(鋼製浮体)にも採用されているだけでなく、フランスでは総出力30 MW(10 MW×3 基)のEolmedプロジェクトが今年運開予定として進行しています。



設計上の特徴


・浮体の動揺を最小限に抑えるDamping Pool®(特許取得済み)という中央開口部を有している

・浮体の動きにあわせてブレードのピッチを制御するソフトを適用することで動揺の低減している




Floatgenプロジェクト

Floatgen はBW Ideol が開発しているDamping Pool®を採用した、2018 年運開の2MW実証機になります。詳細は以下の通りです。


設置場所
フランス Le Croisic(ル・クロワジック)沖合

サイト容量
2MW (2MW×1基)

タービンメーカー
MHI-Vestas

タービンモデル
V80-2.0MW

海岸からの距離
22 km

設置工事に使用された港湾
Saint Nazaire (FR)

発電量
6.8GWh(2020年)、合計:18.5 GWh(2021年年末まで)

浮体構造
・Damping Pool浮体基礎(36m x 36m x 7.5m)
・洋上風力発電用に設計された世界で初めての浮体式バージ

製作期間
・Saint Nazaire港での建設:2016-2017年
・浮体完成:2017年10月13日
・試運転:2018年中頃
・運転開始:2018年9月

製作過程は以下の動画が分かりやすいです!



ひびきプロジェクト


国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では2014年度から、水深50メートルから100メートルで適用可能な低コストの次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究(バージ型)を開始し、実証海域の選定や浮体の設計・製造に取り組んできました。
2018年6月には、バージ型と呼ばれる浮体を製作し、同年8月に、このバージ型浮体にコンパクトな2枚羽風車を搭載し、日本初のバージ型浮体式洋上風力発電システム実証機の組み立てを完了しました。

その後、北九州市沖約15キロメートル、水深約50メートルの設置海域まで曳航し、係留、電力ケーブルの接続、試運転調整などを実施し、19年5月、日本初のバージ型浮体式洋上風力発電システムの実証運転を開始しました。




https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101117.html




EolMedプロジェクト


EolMedプロジェクトは、Qair Marine、TotalEnergies、BW Ideolによるコンソーシアムが進めるプロジェクトでIdeolのタンピングプール浮体技術を採用している。既に部材の製造は開始されており、2024年運転開始予定です。


場所
フランス 地中海ポール・ラ・ヌーヴェル沖約18km

開発者
Qair Marine、TotalEnergies、BW Ideol
 
サイト容量
30MW(10MW x 3基)
 
タービンモデル
V164-10.0(べスタス社製)
  
設置水深
62m

構造
バージ型 浮体基礎
平面寸法45m×45m / 高さ17m

製作期間
部材製作:2022年9月~
曳航設置予定:2024年
運転開始予定:2024年



まとめ


今日はBW Ideol社の浮体を紹介しました。


BW Ideol社の浮体の特徴は他のメーカーにはない「バージ型」と「ダンピングプール」が最大の特徴になります。




バージ型は前回のブログにも記載したように、ある周波数帯で揺れやすいのでは、というデメリットがあります。

日本においては太平洋側に設置すると揺れやすくなってしまい、結果として堅牢な浮体構造、タワー構造にしないといけなくなるでしょう。

一方で他のセミサブ型に比べて形状がシンプルなので製作や比較的容易、というメリットがあります。




BW Ideol社を最初にもってきたのは、何よりもすでに実証機がフランスや日本ですでに浮かんでおり、技術成熟度が高いというのが大きなポイントとなります。



またIdeol社は21年にBW Offshore社からの投資を受け、経営基盤も安定した状態になっていて、今後の成長が期待されます。



私個人としては日本においてもかなりの有力候補であり、特に日本海側でIdeol社の浮体が将来的にたくさん浮かぶようになるのでは、と予想しています。

すでにいくつかの日本企業ともコラボしていますね!



今回はBW Ideol社について解説しました!


Ren



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