転売という重大な社会問題についてここ数年本気で考えている件について
東京の東日本橋でTOKYという園芸中心のアイテムを販売するブランドを運営する代表の藤原です。
ここ3年ほど前より、当店の一部の商品が転売されつづけており、オンラインショップでは異例とも言える、かなりの対策を施していますが、時代の追い風 (特にコロナ禍による社会の不安定によるものか)により転売屋は増えている印象です。
諸々の訴訟
私は現在、当店の転売禁止商品をヤフオクにて転売した転売屋との訴訟を行っておりその結果は5月中に出る予定ですのでその結果はまたの機会にお知らせできればと思います。
ちなみにセカンドマーケットであるメルカリに対して、同プラットフォームを使用し、転売行為を行った転売屋の情報開示請求を行いました。
↑メルカリ側にも提出した転売禁止の根拠となる画像の一部↑
当方の『転売禁止商品』を購入する際、商品ページのモーダルウィンドウに表示される内容に同意することで購入が可能となります。
『利用規約』は弁護士さんにお願いし作成しました。簡単に書くと。
転売目的を秘して、「転売禁止条件き売買契約」により転売禁止商品を購入することは、購入者が商品を購入した時点で、詐欺罪(刑法246条第1項)が成立することになります。
上記の様にサイトを設計し、購入後転売した転売屋の個人情報開示を請求しましたが2021年3月9日に請求棄却の判決が出ました。
メルカリとの裁判に負けました 泣笑
元々一回目で勝てるほど甘くないと考えていたので今後は勝訴できるロジックを蓄積していき挑みたいと思います。しかし訴訟費用などはもちろん手弁当ですので限界もあります、なのでこれはいずれクラウドファンディングなど行い訴訟費用を集める方向でも考えてみたいと思います。
日本のコンテンツ産業の弱体化を誘発する転売
現在の日本において、転売は一部の商品やサービス (COVID-19関連、チケット等) を除いては転売を禁止するような法律はありません。
最近ですと株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント (SIE) が発売したPlayStation 5 (PS5)がメルカリなどのセカンドマーケット・プラットフォームでの転売横行などがニュースにもなりました。
上記記事にもあるようにメルカリ側からは「個別の協議の詳細については回答を差し控えさせていただいております」との回答しか出ておらず実質的に沈黙とニアリーイコールかと思われます。
現在もメルカリには数え切れないほどのPS5が定価の数倍の価格で販売されており、その多くは高額すぎる故に売れ残っている状況です。
PS5というハードウェアが流通しないとソフトが流通しませんから、いずれソフトウェアコンテンツ制作の予算も縮小され、弱体化ならずとも活性化することは叶わないのではないでしょうか?
高額の為、売れ残りまくっているPS5、この間にも本当に欲しいユーザーの熱意は冷めていく。
当店で作った製品も転売が続いており、これが長年に渡ると「作り続けたい」というマインド自体が低下します(本当に)。
作るよりも売る方が何倍も大変なんです、それって本末転倒ですよね。
「売れてるからいいじゃん」ではないのです。
転売屋が悪い?否、先ずはプラットフォームと法を整備すべき
現在多くのセカンドマーケット・プラットフォームでは『転売』自体を禁止しておりません。当然です、法律で禁止されていませんし、想像に容易い本音としては『転売』される商材は基本定価以上の高単価商品が多くを占めますし、PS5の様なホットな商材は高額で売買されます。
その転売屋からの手数料が旨味であることは事実でしょう。
このPS5の100台分、もし売れたら売上9,000,000円の10%、900,000円がメルカリに手数料として支払われます。車買えます 笑←笑えない。
勿論転売される商材はPS5だけでなく、ありとあらゆるジャンルに存在していますからそれらが日々膨大な量転売されているとしたら...。
転売屋からセカンドマーケット・プラットフォームへ支払われる手数料は言わずもがな超巨額でしょう。
その莫大な転売マネーからの利益があることはセカンドマーケット・プラットフォーム内でも暗黙の了解でしょうし、自らを律してそれらをみすみす失うことは賢い企業なら当然しないことも理解できます。
先ずは『転売が存在する』ことを明示すべき
主要なセカンドマーケット・プラットフォームサイトやアプリで出品されている商品に関して言えば違反報告などができるUIが用意されています。
メルカリもヤフオクも違反申告するプルダウンメニューに『転売』に関しての申告項目は勿論ありません。違反では無いので、しょうがないのでしょう。
COVID-19関連、チケットなどは運営側に検閲が存在しているでしょうからそういうものは出品されても削除対象となるでしょう。
どんなにメーカーやブランド側が「転売禁止」を謳っても法律で禁止されていませんからセカンドマーケット・プラットフォームには関係の無いことですね。
セカンドマーケット・プラットフォーム側の生の声
先日、メルカリジャパンの田面木CEOにClubHouseにて2021年3月2日に質問をさせて頂きました。
私からは「御社のプラットフォーム上で転売が行われていることをどう捉えていますか?」と言う質問をさせて頂きました。
とても熱意ある、真摯な方でした。
「自分たちが大切にしているのは作り手側、メーカーやブランドの意向」
現在も外部有識者やブランド側と連携をとって対策を行っている、とのことでした。
その補足として「外部有識者とともに策定した「マーケットプレイスの基本原則」を公開しているのでそのページを見て欲しい」とのことでした。
そこに書かれていることは、メルカリが提唱するマーケットプレイスの基本原則であったり『需給バランスが著しく崩れ、急激に価格が高騰するものへの対応方針』などが書かれていました。
ただ、やはり結果として価格高騰のことは書かれていても原因となる『転売』『転売抑制』などの文字はどこにも記述がありませんでした。
需給バランスが著しく崩れ、急激に価格が高騰する商品 ≒ 転売品
現代で言えば転売がこれに当たることは自明の理でしょう。
外部有識者と共に6度の会議を行い、そこで生み出されたであろう基本原則の定義。そこに書かれていることに嘘は無いと思いますし、その基本原則は運営にフィードバックされているのでしょう。
だが、しかし...己を律するかのような外部有識者を取り入れた会議としておきながら『転売』の二文字を明示できないことの自己矛盾をどう考えているのでしょうか。
ヤフオクへの転売禁止商品出品取り下げのお願いを試みた
メルカリと同様に巨大なセカンドマーケット・プラットフォームであるヤフオクにも当社の商品は多く出品されています(今この瞬間も)。
そのヤフオクに関しても当社の転売禁止商品の出品取り下げを今まで何十回もお願いしておりましたが、帰ってくるヤフオク側の回答はその都度文体は異なる場合もありますが基本は下記の様なほぼ定形の回答しか返ってきません。
例1
ご指摘をいただきました商品や利用者については、ガイドライン違反に
該当するか担当部門にてチェックし、必要に応じて適切に対応いたします。
誠に恐縮ですが、当該部署の判断や対応の詳細、結果などについては、
すべてのお客様に公開しておりませんので、何卒ご了承ください。なお、裁判所から法令に基づいた出品者の個人情報等の照会が弊社へありました際には、必要な範囲内で適切に対応いたします。
例2
ご指摘をいただきました商品や利用者については、ガイドライン違反に該当するか担当部門にて引き続きチェックいたします。また、このたびお知らせいただいたご意見につきましては、関係各所へ申し伝えます。
最後となりますが、返答までにお時間をいただきましたこと、お詫び申し上げます。
この回答が出てくるまでに何度かメールで送信・返信を続ける間に刻々と時間は過ぎていき、結局転売禁止商品は落札され時間切れ。
持久戦に持ち込んでのタイムオーバーは確信犯としか思えません。
セカンドマーケット・プラットフォーム側への対策提案
ヤフオク側の声というのは定型文的な慣例でしか読み取ることができませんでしたので、メルカリジャパン田面木CEOの「自分たちがとても大切にしているのは作り手側、メーカーやブランドの意向」の声を受けそれが真実であるならば、という前提でClubHouse内で下記の事項を提案してみました。
メーカー・ブランドの代表者が「この商品は転売禁止」という定義づけをした上で、プラットフォーム側はその意向を汲み取れる仕組みを実装し、メーカー・ブランドも検閲になる仕組みを取り入れるのはどうかなと思います。
メーカー・ブランドに関しては登記簿謄本や代表者実印証明など会社の実態を示すドキュメントを事前に提出し、固有のIDを発行してもらい管理(検閲)画面にアクセスできればその一連の作業も円滑に行えると思います。
「転売自体は禁止されていないから」対処する必要はない。
という今までの考え方と「作り手とメーカー・ブランド側の意向を大切にする」というメルカリの基本原則は二律背反です。
今のままでは提唱し続けるだけの、想いにしか過ぎなくなってしまうと思うのは私だけでしょうか?
ヤフオク! ヘルプより抜粋
「チケット」を「商品」に変えるだけで未来が大きく変わる。
セカンドマーケット・プラットフォームの裁量とメーカー・ブランドの努力で転売は抑制され今の社会に潜む問題を解決できるかもしれない。
潜む、さらなる大きな問題
ここからは私の予想の世界ですが、もし転売を抑制できた場合に起こる大きな問題です。
仮に上記で書かれた様な、メーカー・ブランド側とセカンドマーケット・プラットフォームが連携し、国内の転売を抑制したとします。
その場合に転売屋が取る手段がいくつかあると思います。
1. SNSなどでDM転売する
2. 海外のセカンドマーケット・プラットフォームで転売する
上記1
転売マネーがセカンドマーケット・プラットフォームに落ちませんのでセカンドマーケット・プラットフォームの利益が下がります。
そして、日本国に納税する巨額の転売マネーから生まれる税金が減るということを指しています。
転売屋の多くが確定申告を律儀にしているとは考えにくいため、日本国としては当然巨大なセカンド・プラットフォームからの税金をより、重要視するはずです。
上記2
転売屋の手によりEMSなどで海外に送られ、代理人等によってセカンドマーケット・プラットフォームで転売された場合、その税金は日本国内ではなくその諸外国にて納税されますから、日本国は更に問題視するでしょう。
そして1と同様、いや、海外に流れるからこそ、転売屋の確定申告などアテになりませんね 笑。
まとめ
・転売によるコンテンツ産業弱体化は日本国の弱体に繋がる深刻な事態
・プラットフォーマーは国と連携し、転売を是正するべき
・それでいて無意な日本のモノづくりの流出を防ぐ
・転売屋はしっかりと確定申告し税金を国に納めよう
法整備、プラットフォームの理念、プラットフォーマーの矜持、税金問題。
あまりにも巨大すぎて...本来は、いち小売店の私がどうこうできる問題ではありません。
ただ、この記事をnoteに書いた理由としては、とにかくこの転売という重大な社会問題に光を当てたい一心なのです。
弊社で言えばここ数年で転売屋対策は力を入れており、セカンドマーケット・プラットフォームなどでの転売は減少傾向にあります。
メーカー・ブランドさま、そしてメディアの皆様。
ご興味あればcontact@toky.jp藤原宛にメールをくださいませ。
転売という重大な社会問題に光を当てませんか?
※転売を増長させる社会の方にこそ問題があることはわかっています。
ちなみにメルカリジャパンの田面木CEOにお伝えしたいのですが(見ていることを願って)
マーケットプレイスでの外部有識者会議ですが、有識者かどうかは誰かに判断してもらうとして、私の様な転売と長年向き合っている実戦経験のある人間をお試しで入れてみてはどうでしょうか?勿論ボランティアで参加します。
ファウンダーであり、メルカリの代表取締役会長兼CEOの山田進太郎さまが世界中を旅し、抱いた夢。
「限りある資源を循環させ、より豊かな社会をつくりたい」
私もその夢に賛同します。そして足元に転がる有象無象の私達のことも知ってほしい。
余談
先日シン・エヴァンゲリオン劇場版を見に行きました。
音楽好きの友人のN君も見てきたようで、宇多田ヒカルさんの歌うテーマソング「One Last Kiss」のレコード盤(定価3,300円)を購入しようとしたがこの有様でした。
ただでさえ幸薄い綾波レイの顔が更に悲しげに見えてくるのは私だけでしょうか?
本当に欲しい人たちの邪魔をしてはいけない。
転売屋よ、プラットフォーマーたちよ。
2021.03.21 追記
2021-03-18にメルカリからで「ユニクロ +J(プラスジェイ)2021年春夏コレクション」について、という記事がリリースされていました。
2021年3月19日(金)発売の「+J 2021年春夏コレクション」の商品は、出品価格が一時的に急騰する可能性があります。
出品や購入をご検討中のお客さまにおかれましては、商品金額や内容を今一度ご確認いただくなど、発売後は冷静な行動をお取りいただきますよう、お願い申し上げます。
上記の様に書かれていましたがやはり『転売』の二文字は見当たりませんでした。案の定メルカリでは+Jの新作が大量に転売されているようです。
スクロールしてもしても+Jに溢れるメルカリサイト
むしろ転売屋予備軍たちにむけて「価格高騰アイテム!?よし俺も買ってメルカリで転売しよう!!」というサイレントメッセージになっていないでしょうか?
総資産1,000〜1,400億円とも言われる山田進太郎CEO。
その資産の何十パーセントかは大量の転売屋から流れた巨額の転売マネーなのではないのでしょうか。
転売は深刻で重大な社会問題です。
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