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限界集団戸田軍~WBCの裏で地味にヤバいヤクルト二軍~

普段はnoteをほぼ書いていないのですが、最近少しばかり気がかりなことがあるので、記録も兼ねて文章に纏めました。
内容は戸田軍の現状についてです。

きっかけは違和感

3月8日、筆者は戸田球場で春季教育リーグの観戦をしました。教育リーグは二軍組織のオープン戦のことで、秋頃開催されているフェニックスリーグも教育リーグのひとつです。
この日の試合は乱打線となり、4時間ゲームの末に引き分けとなりました。私個人としては、尊敬する川端慎吾選手の猛打賞を見ることが出来たので、長丁場ではありましたが、充実した時間となりました。

しかし、観戦している中で気になった点が二つ出てきました。
一つは、スタメンのセンター松井聖
もう一つは、選手の交代が極端に少ないこと。

このふたつを起点として、現在の戸田軍について記載していきます。


センター松井聖爆誕の裏側

本来の松井聖とは

まずはセンター松井聖の異様性について書いていきたいと思います。
あまり二軍を見ないヤクルトファンの方にとって、松井選手はあまり馴染みがない選手だと思われます。軽くですが紹介します。

松井 聖(まつい しょう)
プロ三年目の27歳。育成登録。独立リーグ(信濃グランセローズ)出身。
登録は捕手だが、外野手としての出場もあり。
打撃のパンチ力が非常に魅力的で、二軍戦ではクリーンナップとしての出場機会が多い。

ざっくりで申し訳ありませんが、彼はメインが捕手でサブとして外野ができる選手です。外野ができるとはいえ、特段足が早いわけでも、外野守備がずば抜けているわけでもありません。そんな彼が何故センターに抜擢されてしまったのでしょうか?

答えは簡単です。センター候補が一軍にしかいないからです。

不動のセンターの離脱の皺寄せ

ここで一旦一軍の話になります。春季キャンプ中、塩見泰隆選手がコンディション不良で一軍キャンプから離脱、二軍キャンプに合流せず帰京しました。3月23日現在も実戦復帰の目処は立っていません。
塩見選手は2021年にブレイクして以降、不動のセンターとしてヤクルト一軍を引っ張る存在になりました。外野争いでも一つ抜けていましたが、離脱となってしまいました。こうなってしまった以上、新しくセンターの選手を選ばなければなりません。

塩見選手の代役自体は候補がいます。昨年一軍定着した丸山和郁選手、足の速さが球界トップクラスの並木秀尊選手の二人です。彼ら二人は開幕センターの座を賭けて競争中です。
また、本職とは言い切れませんが、赤羽由紘選手もセンター守備の実戦経験があります。しかし赤羽選手はUTとして一軍でアピール中です。
この時点で4名のセンター要因が使えません。それでも戸田に一人くらいは配分できる……と思いきや、現実は甘くありません。

相次ぐセンター本職の離脱

戸田のセンターといえば並木選手と育成の岩田幸宏選手です。並木選手は前述の通り一軍帯同中です。では、岩田選手を使いましょう、と言いたいのですが、彼は春季キャンプの練習中に左手の指を二箇所骨折して離脱しています。
更に、昨年一軍にてセンターの守備機会があった山崎晃大朗選手は脇腹痛で二軍キャンプスタート。近々復帰するという報道があったものの、この記事の執筆時点では実戦復帰していません。

センター松井(橋本)誕生

簡潔に纏めると、センター選手3名の離脱と、それによる皺寄せでセンターを守れる選手は二軍に配分されなくなってしまったということです。

こうなってしまえば外野を守れる選手の中からセンターを選ぶしかないのですが、実は外野そのものがカツカツで、現在二軍の外野本職はルーキーの澤井選手しかいません。とはいえ秋季キャンプで膝のコンディション不良があった澤井選手をセンター起用するのは流石に憚られたのでしょう。

他の選択肢は、
荒木貴裕選手(セカンド本職の内外野UT。35歳)
西村瑠伊斗選手(D2位ルーキー。内野手登録だが高校時代は右翼)
松井聖選手(前述の通り、捕手登録で外野サブ)
橋本星哉選手(育成1位ルーキー。捕手登録)
の4名となります。ドラ2ルーキーや35歳のベテランをセンターに置くことができなかった結果、松井選手がセンターに選ばれたのではないでしょうか。

流石に松井選手一人ではセンターを回せないとの判断があったのか、橋本選手との分業制になっているようです。3月8日の試合では橋本選手が途中からセンターに入り、松井選手はキャッチャーに入りました。

戸田から消えた「控え」の概念

川端慎吾「再召喚」事件

ここからはもう一つの異常、選手の交代が極端に少ないことについて書きます。原因ははっきりしています。野手がいないのです。

例として3月8日の試合の話をします。9回裏の攻撃中、先頭の西浦直亨選手が死球を膝下に受け、負傷交代してしまいます。この時に代走として出てきたのは、代打を出されてベンチに戻った川端慎吾選手でした。
(※この試合は春季教育リーグの為、再出場が可能でした。)

Q.なんで脆い川端選手を再出場させたのですか?他の人でよくないですか?
A.他の人がいないから、しょうがないですね。

川端選手は負傷離脱が非常に多く、ここ数年、首脳陣は彼の扱いに非常に慎重です。一軍では1打席が基本、出塁すればほぼ確実に代走が出されます。二軍でも極力DH、3〜4打席を消化した後は交代という扱いが多いです。そんな彼を再出場させて代走起用しなくてはいけない、それくらいの人員不足が戸田で発生しているのです。

相次ぐ野手離脱+WBC

前述したセンター3名以外にも、内野UTの太田賢吾選手、ショート本職の西浦直亨選手が3月8日に離脱、更に小森航大郎選手が原因不明ですが3月21日以降試合に出場していません。この時点で6名の離脱です。余談ですが、小森選手の離脱で戸田からショートの選手がいなくなってしまったため、三ツ俣選手が一軍から派遣されてきました。
更にWBCに3名の野手が選出された事もあり、合計9名の野手がスワローズで実戦を行えない状態になっていました。

戸田から控えが消えた日

3月22日の試合にて、遂に二軍からベンチ入り野手という概念が消えてしまいました。(この試合はDHを解除していません。DHを解除すれば1名の控えを用意することは可能)
戸田では荒木選手や西田選手のフル出場は当たり前、当然ルーキー選手達もフル出場です。時々交代要因が出る川端選手も、(DHと一塁メインとはいえ)5打席出場がスタンダードとなりつつあります。
これを異常事態と呼ばず何と呼ぶのでしょうか。

事態は改善傾向にあり

ここまで長々と戸田軍事情を話しましたが、控え0人の極限状態からはすぐに解放されると思われます。WBCの代表選手たちが無事に帰国したからです。
山田選手村上選手中村選手の3名は開幕までに二軍で実戦を行うようです。控えが2、3人になるので以前より余裕が生まれるでしょう。但し、彼らの中に外野本職が1人もいないのは苦しいところです。
また先述しました通り、山崎選手は実戦復帰が近いとのことなので、センターは埋まりそうです。(怪我明けの選手が毎日フル出場、という苦しい状況ではありますが)

若手の育成、ベテランの調整はのびのび出来る方がいいでしょう。一刻も早く、戸田の野手編成にゆとりが生まれる事を願っています。

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