「食いつくし系」は実在するのか?
ユーチューブを見ていたら、「食いつくし系」なる者がいるというニュースがあった。
「食いつくし系」とは、家庭において、人の分の料理やお菓子を勝手に食ってしまう者を指す造語で、SNSで話題になっているらしい。
例えば、夕飯に、家族分のハンバーグを作ったのに、父親が一人で全部食べてしまうとか、家族分のシュークリームを買って置いといたら、また父親が全部食べてしまうなどの事案が見られる。
「食いつくし系」は大抵が父親で、妻や子供達による被害報告がインターネット上に溢れていた。
最初この動画見た時に、酷い男がいるものだ、と思ったが、自分を顧みると、心のどこかに「食いつくし系」の欲求が湧いた経験が人生にあるような気もした。子供の頃、テーブルにあるクッキーを全部食いたいと思ったこともある。
だから、自制が効かなくて案外そのまま人の分まで食ってしまう者がいてもおかしくないのか、と妙に納得してしまいそうになった。
しかし、よくよく考えてみると、変だ。
例に挙がっていた、子供のハンバーグやシュークリームまでも食べてしまうという件だって、不可解な点がある。
子供がハンバーグを食べられるくらいの年になっているということは、結婚してから(シングルマザーの連れ子ではない限り)数年は経過している。
それだけ一緒に生活していれば、「食いつくし系」なる夫がどれくらいの食欲を有するのか承知しているはずである。夫が一個のハンバーグで満足しないならば、満足する数を作るという対策がとっくにとられるだろう。
もし、数に関係なく、とにかくテーブルにある食べ物は食いつくさずにいられないようなら、もうそれは躾のなっていない犬と同じだから、皿を分けて、その他の家族の分は夫の見えないところに隔離するしかない。というか夫を檻にいれた方がいい。
経済的理由により、家族が満足する十分な量の料理を用意できない状況で、夫が己の食欲のみを満たして他の家族の分を食ってしまうならば、もはやそれは虐待行為なので、離婚しなければならない。「食いつくし系」などと誤魔化さず事件化させる必要がある。
おそらく、「食いつくし系」は架空の存在と言っていいと思う。性質的にいたとしても、毎回の食事で人の分まで食う奴が家庭内にいて、その他の者が何の対策も取られず何年も放置するとは考えにくい。
普通に考えれば「食い尽くし系」の人の食事だけは多くしてやるのが穏当だろう。
量を増やせない高価なお菓子などを全て我が物にしようとするほど「食い尽くし系」がマジもんのサイコパスなら、もう南京錠のかかる箱に自分たちのお菓子を入れて守ろう。それすらワイヤーカッターを持ち出して切ってくるなら、もうYouTubeにその日々の戦いをアップした方がいい。
これはネット上によくあるヘイトを生み出すフィクションの類だと思う。あるいは、自分の家はこれに比べてマシでよかった、と視聴者を安心させる実在しない不幸な家庭じゃなかろうか。
本当にいるの?