ADHDコンプレックスのための脳番地トレーニング
大和出版から出ている加藤俊徳著の「ADHDのための脳番地トレーニング」を読みましたので、まとめてみました。
著者は加藤プラチナクリニックで院長をしています。ADHDの障害の原因を大まかに8つに分類しています。社会活動で脳が司る役割を8つに分けて脳番地と名付けています。
感情系脳番地
感情・感性によって活動するところ。喜怒哀楽の感情表現や感性理解などです。
記憶系脳番地
覚えたり、思い出したりするときに活動します。
思考系脳番地
思考や計算、判断する際に活動します。
理解系脳番地
物事や表現などを理解する際に活動します。
運動系脳番地
体を動かす際に活動します。
聴覚系脳番地
耳で聞くことに関係するところです。
視覚系脳番地
目で見ることに関係するところです。
伝達系脳番地
話したり、伝えたりする際に活動します。
加藤先生は、脳番地がきちんと機能しているかどうかを診断して、その対策とした行動習慣を提案しています。本書は、患者の悩みに回答する形式で書かれています。問題を抱えた患者が番地テーマごとに登場します。それに対応する診断と処方箋を加藤先生が提案します。
例えば、感情番地が弱い患者は、依存的になりやすい、受け身になりやすいといった特徴があります。という診断をします。処方箋として、好きなもの嫌いなものを5つずつ書き出してみることを提案します。感情脳番地が活発だとポジティブで感性豊かになります。感情脳番地が弱いADHDは、感情表現が下手なので引っ込み思案になり依存的になってゆくわけです。
このように各番地テーマを要約してみます。
記憶系脳番地が弱いとよく忘れ物をしたり約束事を守れなかったりします。記憶系脳番地を鍛えるには、感情系脳番地、思考系脳番地を同時に鍛えると良いでしょう。記憶には感情による記憶と、思考による記憶があるからです。
思考系脳番地が弱いと意思決定力が弱くなり依存的になります。うつ病を併存する場合、意欲低下や無気力になります。好きなものは持続できるのに、好きでないものは持続できないのがADHDです。「やらされている」のではなく「面白くしてゆく発想」が思考型脳番地を鍛えるヒントです。
運動系脳番地で大切なことは、ADHD脳の人は運動不足になると症状が重くなるということです。ADHDは落ち着いた行動が苦手です。モチベーションが低下すると、多動の症状が出やすくなります。適度に運動を心がける必要があります。
聴覚系脳番地が弱いと、耳から聞いたことが頭に残らない、注意が向いたことしか聞けない、相手の話を理解できないという症状が出ます。ラジオを聴いたり、好きな曲を覚えたりするのがよいでしょう。
視覚系脳番地が弱いと、目で見て判断する力が弱くなります。次々に目移りしてしまい、ついさっきまで見ていたものを忘れてしまいます。今見ているものにすごく引っ張られやすいのです。まめにメモを取り、その精度を高めて行きましょう。
伝達系脳番地が弱いと伝えることが苦手になります。ADHD脳の人は基本的によく話す方ですが、自閉症スペクトラムやうつ病が合併していると、逆に会話が苦手になります。頭の中だけの言葉「内言語」を育てることが大切になります。
以上は、本文に書かれているほんの一例です。著者は、脳は鍛えればその分だけ成長し、成長の証である脳の形を変えることができると言っています。著者は一万人の脳のMRI画像を見てきた医師です。私はこの本を読んで、ADHDと前向きに向き合ってゆく方法があることを知りました。本書を手がかりに、自立した社会生活が送れるようになれるよう頑張ろうと思いました。
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