不思議なご縁

前回からの続きで、

この度の家のお祓いのご依頼を下さった、いつもお世話になっている葬儀社の方々のお話をさせて頂きたいと思います。

ご縁が出来た、最初のきっかけはというと、

小さなこのお寺を立ち上げたばかりの頃、まずは存在を知って頂くために、県内の葬儀社を車で営業に回っていた事がありました。

手作りの資料を片手に、1日に何度も、飛び込みでご挨拶をしていた事が何度もありました。

普通、セールスマンの方の営業ならば、飛び込みで話を聞いて下さるまで、至らないことも多々あると思いますが、

こちらはもちろん、お坊さんとしての正装で、衣と袴を身につけて、その場にお邪魔しますので、

葬儀社の方々は、まず、どの場所でも、丁重に対応して下さいました。

門前払いは一度もありませんでしたが、また逆に、何のご依頼もない事も、多かったです。

ある時、資料を持ちながら、地元から少し離れたところを移動中に、今回の葬儀社の看板が目に入ったので、

家からは距離があるし、仙台市内から離れているところは(というか、市内でもよくありますが)その地域限定、密着型で、近くの御寺院との関わりも深い事が多いので、ダメ元でご挨拶に伺いました。

これまで大小、色々お邪魔してきた葬儀社の佇まいは、
何となく暗い感じ(お仕事柄、きらびやかというわけにはいきませんが)だったり、
普通に事務所でお仕事をされている感じだったりでしたが、

こちらの葬儀社は、入り口から奥に向かって、お線香や蝋燭、お位牌や仏壇が、明るい店内の中に整然と並んでいて、とても入りやすく、居心地がいいと、感じるような雰囲気でした。

その度ごとに緊張はしているのですが、
「失礼します。」と声をかけながら入っていくと、専務さん(社長さんの奥様)が、店番をしておられました。

こちらの存在を皆さまに知って頂くために、ご挨拶に回っていたことを伝えて、簡単にこちらの経緯を話し、

「何かありましたら、どうぞお声がけ下さいますよう、お願い致します。」

とご挨拶させて頂いたところ、

専務さん曰く、

おばあさんが亡くなられて、ご遺体を会館に安置しているけれど、喪主となるお孫さんが東京にいて、まとまったお金もないので、立派なお葬式が出せない。
お布施が高くて、知り合いのお坊さんにも頼めない。
明日、社員だけで火葬場に移動する事になっているのだけれど、よかったら、お経をあげてもらえないか?
お孫さんも電話口で泣きながら、「よろしくお願い致します」と言っていて、可哀想なので、こちらの気持ちとして、お勤めして頂けないか?、とお声掛け頂いて、

なんとその場で、お仕事を頂くことが出来ました❗️。

(これは後にも先にもこれだけでしたが。)

まさかいきなりお仕事に繋がるとは思いもしなかったのですが、

二つ返事で、お引き受けしました。

その時にはたまたま、いつ、なにがあってもいいように、法要に必要な道具一式を、車に積んでいたので、

思いがけずすぐ使うことになり、

用意していて本当によかったと思いました。

それからすぐに、
大きな会館の中にある、和室にご遺体が棺に納められていて、その前に座らせて頂き、お勤めをさせて頂きました。

終わってから、専務さんから、
「いきなりのお願いで、大変失礼でしたが、お経を上げて頂いて、安心しました。明日お見えになるお孫さんにも、お伝えさせて頂きます。」

と言って頂きました。

普段のお付き合いもないところを、こちらを信じて下さって、お声がけいただいたことに感激して、戻ってきました。

それから、何かの機会にはお声がけ頂き、御葬儀の依頼を頂くようになり、現在もとてもお世話になっております。

何度かお邪魔して、お話を伺うようになり、一般の方がお寺や僧侶をどのように見ているかなどのご意見やアドバイスを頂いたりして、かなりさまざまに勉強させて頂いておりました。

こちらが御祈祷など、お祓いも出来る事をお話しすると、覚えていて下さり、お祓いの依頼もしていただけるようになり、自分の出来ることで、皆さんに喜んで頂ける事が増えて来て、いつも有難い限りです。

ある時、初めてご挨拶にお邪魔した時の話になったので、
どこの馬の骨ともわからない自分に、お経を上げてもらおうと思ったのは何故か?、と尋ねてみたら、

「お話を聞いていて、真面目に頑張っている感じが伝わってきて、お経を上げてもらいたい、と思った。」

と言って頂き、本当に有難い事だったと、身に染みて感じました。

誰しもそうですが、

いつ、どこで、誰にお世話になるかわからない世の中、

「袖すり合うも他生の縁」

なので、どんな時も、真剣に相手の方に向き合う事、

そして、どんな時も、自分の生き方が問われている事を肝に銘じて、

これからも、前進したいと思います。

今回も長文にお付き合い頂きまして、ありがとうございました。

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