ロジャーヴィンテージインタビュー(FAN誌 第25号/1974年8月)
あなたはロジャーにふさわしい女の子?
クイーンのロジャー・テイラーと彼が夢中になる女の子たちをご紹介
クイーンのロジャー・テイラーのインタビューにこれ以上完璧な日はありませんでした。私たちはヴィクトリア朝の家の居間に座ってお茶をしました。陽の光が薄いカーテンを通して差し込んでいました。この夏のここまでの天気は美しいと、彼と私たちはすぐに意見が合いました。クイーンはモット・ザ・フープルと一緒に周った怒涛のアメリカツアーを終えたばかりですが、その割にロジャーは大変しっかり休めているようでした。それを言うと彼は一瞬あきれたように視線を天井へ向けましたが、それはからかっていただけ、笑顔を隠そうとしていたのです。
そよ風が窓を通り抜け、ロジャーの顔に陽の光が当たりました。この人は私たちが今までに会った誰よりも長いまつ毛の持ち主、しかもあの最高の笑顔です!
夏は人の心をポップミュージック以外の思いへと向けさせる、と私たちの意見は一致しました。「恋」とお茶をかき混ぜながら言ったロジャー。「俺の初恋について話したことあったっけ? 8歳の時だったと思う。でもあっという間に終わった。彼女は俺の短いズボンを笑ったんだ」
「でもまじめに言うと、初めての本物の恋はジルという女の子だった。長い話じゃないし、特に変わったものでもないけど聞きたい?」
「ええ」と私は言いました。「話すのは辛すぎませんか?」
「いや全然」とロジャーはその大きな目を見開いて言いました。「あれは14か15の時だった。友達と行ったクラブで女の子がボーカルのフォークグループが演奏していた。友達は年上で車があったので彼女を乗せてあげたんだけど結局みんなで近くのフェアに行った。ほら、そこら中に娯楽コーナーがあるようなやつ。それだけだった。それから数か月彼女と会うことはなかったけど、特に深く考えなかった。その後またばったり会って、4年間付き合うことになったんだ」
私は「彼女のことを教えてください。どんなところに惹かれたのですか?」と尋ねました。
微笑んだロジャー。「彼女は精神的に生き生きとしていた、端的に言うと。小柄で、当時の流行りだった短いスカートを穿いていた。口げんかをたくさんしたけど、彼女をすごく好きだった理由はそこだと思う。とても強い心を持ち、自分の望むものを分かっている子だった。俺はバカな女の子は我慢できない。好きなのは自分の面倒は自分で見られる子。俺たちの仲は大学時代に徐々に冷めた。彼女は別のバンドに入ってフォークバンドのギタリストと付き合った。フォークミュージックというのは俺が熱中したものとは全く違う。そしてそれで終わりだった」
ロジャーは一瞬深く腰掛けて窓の外を眺めました。少しの間無言でしたが、そのまつ毛に落ちる陽の光が気にならずにはいられませんでした。
「今思えば彼女はある意味おとなしかった。たくさんのパワーを内に秘めていて。今でも友達なのは最高だ。誰かと別れても友達ではいたい。互いを知るのにとても長くかかったのだから、それを無駄にするのは馬鹿げている」
ノーフォークのキングス・リン地域で生まれ、八つの歳にコーンウォールに引っ越したロジャー。聖歌隊に入っていて、学校は大嫌いでしたがエルヴィス、ビル・ヘイリー、ジェリー・リー・ルイスやシャドウズに夢中になりました。のちにはビートルズやザ・フーがそのリストに加わりました。
「自分の初めての楽器はプレゼントされたギターだった。サプライズじゃないよ、ねだっていたんだ。両親はこの件についてはとてもよくしてくれた。特に害はないと思ったんだね。親父はちょっとしミュージシャンだったし。俺は12か13の時最初のドラムセットを手に入れた」
「ドラムセットの組み方のアドバイスをもらえますか?」と私たちは尋ねました。
「いいよ。徐々に組んでいくこと。金をたくさんつぎ込んだ後になって実はドラムはやりたくないと気づきたくはないだろう。俺は鍋を叩くことでスタートしたよ!」
「それ、あなたのお母さんはさぞ気に入ったでしょう!」
「両親はいい感じだった。とにかく、キットを組むにはまずスネアドラム、それからバスドラムとシンバルを買うこと。その後タムとハイハット(シンバル)を手に入れるよう頑張るべし。俺の最大の秘密の夢はミュージシャンになることだったと思う。実現するとは思わなかった」
「成功は無理だと思って一番弱気だったのはいつ?」
「歯科大の時。学校(※ 高校までの)を卒業してロンドンで歯科医になるための勉強を始めたけど人も勉強も大嫌いだった。自分史上最低の状態だった。その間、ケンジントンマーケットで働いてもいた。小さなショップでいっぱいのあの建物だよ、ケンジントンハイストリートの。そこでクイーンのリードシンガーのフレディと出会った。二人でグループを始めて、いろいろな場所で時々ギグをするようになった」
そのグループの何が注目を集めたかというと、今も彼らを成功させているものと基本的には同じです。視覚的に実にわくわくするのです。レインボー(※劇場)で彼らを見た人なら誰もがそう証言するでしょう。
クイーンのようなバンドは、ステージを降りシャワーを浴びて服を着替えると、彼らと町で夜を楽しむことを期待して楽屋口をうろつく大勢の女の子たちと出くわすと人は普通思い浮かべるものです。最近は状況が少々手に負えなくなってはいるものの、自分たちは人と会うのが大好きだとロジャーは言いました。
クイーンのメンバーはファンと付き合うことがあるのでしょうか? ロジャーは彼らはそれぞれ恋人や奥さんとうまくいっていると明かしました。ロジャーが女の子に求めるものとは何でしょうか?
「特定の何かを求めているわけじゃない。人柄、きちんとした身だしなみ、そういったものの積み重ねだね」
そうやって私たちはお茶を飲み終え、外に出て天気に感嘆、それはふさわしい日でした・・・ひとりのクイーンに。
ROBIN KATZ
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