見出し画像

離れペンチャン落としの読み

今回は王座の間での二代目天鳳位マーク2との対戦中のワンシーンを取り上げてみたいと思います。

東4局に差し掛かり、私とラス抜け争いをしていた二代目天鳳位マーク2の視点です。
2着目の先制リーチを受けて、平和ドラドラのイーシャンテン。
愚形残りでもリーチドラドラにはなるので、子供リーチ相手なら充分勝負になるかなと思いましたが、

字牌の中は押さず、8mを中抜きしてオリました。
攻めっ気が強めで粘り強い打ち回しが特徴的なマーク2さんにしては珍しくあっさりしているなという印象がありますが、これにはおそらく3つの理由があると思います。

オリる理由

1つ目はカン4sの受け入れが厳しく、山に残っていなさそうなこと。
2つ目はリーチ者はシャンポン待ちの可能性が高く、中の放銃率が通常時より高めだと考えられること。
3つ目は1枚浮いている8sが他の無スジの牌と比べても特に危険であるということ。

主にこの3つの理由が考えられますね。
私が1mや東を押しているので引いたってことも考えられますが、私の現物の8mを切っていることからおそらくそうではなく、リーチに対して純粋に対応した結果だと思います。

これは最上級者が使う定番の読みになります。
仮に「離れペンチャン落としの読み」とでも名付けましょう。
3巡目に1sを切っていて、6巡目に2s宣言牌を手出ししてリーチです。
これはリーチ者が4sをトイツ以上で持っている可能性が高いですね。
4sトイツのカンチャンフォローとして2sを持っていたのではないかと読めるのです。
この読みが通用するためにはいくつか条件があります。

読みが通用する条件

  1. 相手がそれなりに雀力の高い打ち手であること

  2. ペンチャンターツが連続して切られていないこと

  3. 宣言牌が安牌ではないこと

  4. 宣言牌が手出しであること

  5. 宣言牌の直前に安牌が切られていること

条件1はここが王座の間という雀魂の最上位の卓であることからクリアです。
条件2は1sと2sの間に2牌切られているのでクリアです。
条件3は2sがドラまたぎの誰も切っていない危ないスジの牌であることからクリアです。
条件4は手出しを確認しているのでクリアです。
条件5は今回は安牌がターツ落としの間に挟まれていないのでクリアできていません。

しかし要は安牌ではなくても、他に重要な牌であれば2sより優先して持つ理由になります。
例えば浮いたドラの牌とか、赤牌とかですね。
使い切れれば打点上昇に繋がりますから。
今回は間に挟まっているのが3mとか6mとか微妙な牌なのでなんとも言えないですが、2sがドラまたぎの危険な牌で、もし要らない牌なら一刻も早く手放したいという心理になりそうです。
3mとか6mとかなら両面ターツをつくるくっつきの牌として持つ理由にもなりますから。
それより後に2sが出てきたということは、手牌構成にどうしても必要な牌だった可能性が高そうですね。

実際のところはどうだったかというと、やはり244から4を引いた形でテンパイしていました。
カン4sは山に1枚もなく、和了率はゼロに近いですね。
それにシャンポン受けの残るイーシャンテンだったので、入り目が違えばシャンポン待ちになっていました。
4sの相方は今回は8pでしたが、仮に中であっても不思議ではないということになりますね。

ではなぜ4sがトイツだと読めるのか、シャンポン待ちの可能性が高いと読めるのか、そこを詳しく検証してみたいと思います。

牌姿シミュレーション

4sトイツの可能性が高い理由は1sトイツの可能性がほぼゼロに近いからです。
この形なら3巡目に1s切った時点で既にテンパイしているはずですね。

1sトイツの可能性がないのは分かりましたが、3sトイツの可能性はどうでしょうか。
この形なら3巡目に1s切った時点でテンパイしているはずですね。
一旦1sを切り3sのトイツを固定して、3mか6mを浮かせ打ちして後から2sを引いてきたってことも考えられるのですが、今回は3mも6mもツモ切りしているのでそれは考えられないです。
そもそもシャンポン受けを固定して浮き牌を1枚持つこと自体もまれです。
今回みたいに3sがドラだとありえるかもしれないですが。

3sトイツがあるとしたらこんな形です。
これはもともとヘッドがない形なので、テンパイが単騎待ちになるのを嫌って、面子を壊してヘッドにつくり変えるってことはあります。
ただ2sが完全に不要牌なので先に処理してないのは不自然ですね。
これらのことから考えると3sトイツの可能性も薄く、4sトイツの可能性がかなり高くなっていると言えるでしょう。

4sがトイツでない牌姿を他にシミュレーションするとしたらこんな形です。
この形なら先に1sを切っていてもおかしくないし、8pや369sでテンパイすれば2sが宣言牌になりますね。
ただ今回の場合は2sがドラ表示牌で1枚少ないので、先に2s切ってから1sを切ることになることが多そうです。
この牌姿だとタンヤオが見えてるから不自然じゃないですが、タンヤオが絡んでないと2sを先に切るのが一般的ですからね。
また2sが1枚少ないことを理由に、6mや3mを浮かせ打ちすることも多そうです。
この形だと萬子の4連続形が残るので、ペンチャンのフォローを外して4連続形を残すことの方が多そうですね。
このことから推測するに、この形が残っていることはあまりなさそうです。
通常なら1s切ってシャンポンに受けることが多いというのも理由の一つです。

この形は不自然ではないですね。
4sトイツ以外の形を想像するとしたら、索子224のこの形の可能性がもっとも高い気がします。
4sが絡むシャンポン待ちも危険ですが、カン3sもそこそこ危険だということを覚えておきましょう。

リャンカン形が残っているケースも可能性として高いです。
カン5sのテンパイには普通しないと思うので、入り目で5sが入ってから2s切ってリーチというパターンが多いでしょう。
3sが場に何枚も切られていて薄いとか、状況によってはカン5sも危ないと言えます。

他に可能性が高いと思われるのはこの形。
索子複合形にカンチャンフォローがついた形です。
この形は常に頭に入れておきましょう。
離れペンチャン落としはリャンメンカンチャンが危ないです。
覚え方は宣言牌の対称方向のスジです。
2だったら5-8。
8だったら2-5のスジになります。

5-8sが危ないというのは、一番可能性として高い4sトイツだった場合も5-8s待ちが自然に残るということです。
今回のシーンの場合だと、両面待ちだったら全ての無スジの中で5-8s待ちが一番危ないです。
単純両面のケースとリャンメンカンチャンのケースと両方ありますからね。
攻撃型のマーク2さんがあっさり引いたのはそういう理由もあるんです。

これも複合形リャンメンにカンチャンフォローがついた形です。
機能的にはリャンメンカンチャンと同じで、違うバリエーションになります。

カン8sの場合は単純カンチャンの場合と、変則リャンカンのケースと両方あります。
変則リャンカンはあまりないでしょうが、バリエーション自体が増えているので、カン8sは少し危ないと言えますね。
両面と合わせると8sはかなり危ないです。

では逆に安全なスジも同時に考えてみましょう。
それは4-7sです。
2sを4sトイツのフォローとして持っていたと考えると、4-7s待ちは不自然なんですよね。
この形なら既にテンパイしています。
手替わりを待った可能性もありますが、即リーすることの方が圧倒的に多いでしょう。
仮にタンヤオドラドラなどで打点充分としてダマったとしても、手替わりしたならリーチせずにそのままダマテン続行することの方が多いです。

これも既にテンパイしていますが、仮に3s引いて2s切りリーチだとしても1sを先に切っているので、3面張のフリテンで4-7sは当たらんということになります。

4-7sが当たるケースは上のようなヘッドレスイーシャンテンからノベタンか亜両面で張ったケースです。
ヘッドレスイーシャンテン以外のケースはほとんどないので、4-7s待ちは比較的安全と言えますね。
ただし4sはシャンポン待ちがあるので危険です。
安全と言えるのは7sの方ですね。

7sが安全と言っても愚形待ちが普通にあるということは覚えておきましょう。
ただし、愚形待ちの可能性が特に高いと言えるわけではありません。
この形なら萬子のペンチャン待ちとかカンチャン待ちが残っていてもおかしくはないので、索子の愚形の可能性だけ特に高いと言えるわけではないですからね。
要するに確率は通常時と変わらんということです。

7sのシャンポン待ちで刺さるケースは2つのパターンがあります。
他のシャンポン待ちと同様に単純シャンポンのケースと、面子くっつきのカンチャンフォローがついてるケースです。
バリエーションが増えている分、刺さる確率はほんの少し高いと言えます。
7sが1枚も見えてないとかならちょっと警戒した方が良いでしょう。

ここまであらゆるケースを想定してきましたが、想定されるほとんどのケースで4sが1枚以上持たれていることが分かります。

まとめ

今回の読みで分かることは以下の通りになります。

  • 4sトイツの可能性がかなり高い

  • シャンポン待ちの可能性が高く、字牌の危険度も少し高い

  • カン3sが少し危険

  • 状況によってはカン5sもありうる

  • 5-8sのスジが危険

  • 4-7sは比較的安全(ただし4sはシャンポン待ちがあるので危険)

  • 7sのシャンポン待ちは少し危険

  • 4sが1枚以上持たれているのはほぼ確定的である

この読みを生かして山読みに使うことも出来るし、押し引きの判断材料にも使うことができます。
他の情報と組み合わせればより深く精度の高い読みにもなります(例えば7sが3枚見えてるから、7sの安全度が高くなっているとか)。
今回の記事は石橋伸洋の著書「黒いデジタル麻雀」(92pあたり)も参考にしました。
この読みを応用したり、他の読みと組み合わせて使うことで威力を発揮すると思うので、しっかり頭に入れておきましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?