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最終講評#モーションビジュアル(2,3年生)

2024.5.21-22にモーションビジュアルという2,3年生向けの授業の最終講評が実施されました。

映像学科の講評のスタイルは様々。モーションビジュアルの場合はオーソドックスに映像作品を鑑賞し、作者コメントをもらいつつ、教員がコメントしていくスタイルです。

講評は、普段からご指導いただいた松永昂史先生

それから、山崎も参加しました。(お邪魔します!)

講評風景

教室は12号館4B教室です。映像学科でも最上級系プロジェクターが設置され、音響もそれなりにセットアップされています。通常は講義系で使用されています。演習授業でも講評や中間発表などの節目に利用します。
ちなみにモーションビジュアルではPCルーム(↓)で主に作業していました。

普段の作業はPCルーム(ED-LR)
撮影 カン チャオバン(TA:ティーチングアシスタント)

今回の講評ではおたより(コメント)システムが採用されました。
グーグルフォームで受講生コメントが投稿、適宜紹介されました。

講評中、おたより投稿可能
コメント投稿中?!

スマホをいじっているようにみえるのも、コメントを投稿中。
教員からのコメントよりも、実は隣に座っている同じ受講生の感想が気になっていたり。普段の関係性もあるので、時代に即した匿名性を大いに利用しています。このあたりは山崎自身の授業でもどんどんアップデートしていきたいと思う次第です。


講評中の松永昂史先生

授業成果

授業を通じて、今回も多くの授業成果がありました。いくつかご紹介します。まず松永先生の授業後の所感をいただきました。

本授業は大きく前半と後半に分かれています。
前半ではCINEMA4Dの基本的な機能を学習しつつ小規模な作品を多めに制作することで、ツールの操作感覚やCGについての基本的な考え方を定着させます。後半は最終課題として「実空間とCGを組み合わせる事」をテーマとし、それぞれが関心のある方向性を深堀った映像作品を制作します。
 CGというと所謂VFXなどのハイエンドで難度の高い表現であるイメージを持つ方が多いかもしれませんが、本授業ではどちらかというと便利なデザインツールのように扱う事を中心としており、最終的にはそれぞれの制作のフローに組み込み表現を拡張する事と、独自のビジュアルを開発する事を目的としています。
 最終課題は実空間や実写映像などの「現実を拡張する映像表現」を期待しましたが、どの作品も狙いが明確かつ言語化し辛い「感覚」をそのまま作品に出力できているものが多く感心しました。
また、実空間にどういったものが追加されていると気持ちが良い(または悪い)のか、意味を改変したり付与できるのか、といった組み合わせの面白さみたいなものについて考えられた作品も多かったです。
 この考え方は矩形に捉われない映像制作の能力が求められる昨今において非常に強力な武器になると考えています。
どの作品も自身のテーマ性と表現を上手く融合させており、更にそこから独自の世界観への発展に期待できるものばかりでした。

松永昂史先生コメント
本業の映像制作の合間を縫っての、コメントありがとうございます!(山崎)

前半ではCINEMA4Dの基本的な機能を学習しつつ小規模な作品を多めに制作することで、ツールの操作感覚やCGについての基本的な考え方を定着させます。

コメントより抜粋

単なる技術紹介だけだと、モチベーション維持が難しい場面も。
そこで小さなゴールを多数設けることで、定着を図っている授業なのですね。課題の量とその期間は、授業設計においって永遠の課題でもあります。

どの作品も狙いが明確かつ言語化し辛い「感覚」をそのまま作品に出力できているものが多く感心しました。

コメントより抜粋

ある授業では徹底的に事前計画を求める場合もあります。それは、集団制作の場合が多いかもしれません。集団制作ではゴールを共有する必要があります。そのゴールを共有するため「言語」を用いる場合が多いのでしょうか。

一方でモーションビジュアルは個人制作です。あえて言語化することで目減りしてしまうイメージの豊かさを、そのまま作品にする。しかし、絵筆のように3DCGを駆使することは容易ではない。にもかかわらず、『言語化し辛い「感覚」をそのまま作品』へ落とし込まれていたことを評価する松永先生の視点は、現役のモーションデザイナー、ディレクターならではだと感じました。

実空間にどういったものが追加されていると気持ちが良い(または悪い)のか、意味を改変したり付与できるのか、といった組み合わせの面白さみたいなものについて考えられた作品も多かったです。

コメントより抜粋

この視点はまさに、映像空間領域で日々探求されている点と重なります。フレームの中だけに収まっていた映像が空間と関わりながら、いかに『意味を改変したり付与』しうるか。実写にCGを組み合わせることと、映像と空間の関係性を考えることは、近しいのかもしれません。これからの映像制作者にとって、無視することのできない要素になりうるのではないでしょうか。

左)松永先生、右)TAカンさん

実空間とCGを組み合わせる

それでは実際に最終課題の『実空間とCGを組み合わせる』で提出された作品をいくつか紹介いたします。これらの作品は松永先生に参考作品として選出してもらいました。さらに選評もいただいています。

『HOMING』 伊藤拓翔
Mographやモデリング、アニメーション、モーショントラッキングなど、C4Dのあらゆる機能を目的のために駆使している。
また、自身で撮影した映像への実写合成カット、フルCGカット、2Dモーショングラフィックなどの、様々な表現をうまく編集で組み合わせ、ひとつのSF的な世界観に落とし込んでいる。

担当教員コメント(松永昂史先生)

『お魚天国』岡本岳陽 
魚という現実的なモチーフを非現実的な動きやシミュレーション機能などを駆使し、面白さと怖さの狭間を狙ったような、独自の世界観を表現している。CGならではのアニメーションの面白さを感じられる。

担当教員コメント(松永昂史先生)

『最終課題』平岩歩乃果
抽象的な実写映像とCG表現をうまく組み合わせることで、全体に統一感を出しつつ美しい世界観の映像としてまとめている。
また、実写映像をCG内のテクスチャに使用したり、実写とフルCGカットのトランジションも工夫を凝らしている。

担当教員コメント(松永昂史先生)

『Laundry』村主あかり
コインランドリーの場所や機械の特性を生かして、現実と非現実が混在する独自の世界観を描いている。また、Redshiftレンダラー特有のフォトリアルな質感と実写映像を上手く合成することで、リアリティと説得力のあるビジュアルとなっている。

担当教員コメント(松永昂史先生)
講評後も白熱

授業アンケート

それでは授業後に実施したアンケートを一部掲載します。こちらは無記名のアンケートでした。

緩すぎず厳しすぎず、聞きたいことを聞いたらしっかり教えてくださるし、スピードも適切だったと思います。

アンケートより

初心者向けの授業だった分、受講生自身が授業に興味を持つように促してくれる所がよかった。

アンケートより

CGの授業は特にモチベーションの維持が肝要。授業随所で紹介してくださっ様々作品によって、この『モーションビジュアル』という授業がそれらの作品と確かにつながりうる(到達しうる)と感じてもらえたのではないでしょうか。

分からないことがあれば、先生がこと細く教えてくださったのが凄く良いと思いました。自身が納得いくように教え方にも工夫がありとてもいい講義でした。

アンケートより

教員とコニュニケーションをとって、自分のやりたいことを実現するノウハウを教えてもらえること。

アンケートより

経験豊富な先生から具体的なノウハウを学べるのは、とても貴重です。充実した授業対応に感謝です。

先生がしているパソコン画面を見てついて行く形なので、もうちょっと皆んなが付いていけるようにゆっくり進行してほしかった

アンケートより

ここの塩梅は難しいですよね(汗)パソコン画面によるレクチャー進行速度は悩ましいものです。遅すぎても、早すぎても…。モーションビジュアルではTA(ティーチングアシスタント)によるフォローも導入してなるべく置いてきぼりにならないよう工夫はしていたつもりでした。

色々な機能を短期間で知ることができたし、実際に作品を作るところまでいけて良かった。

アンケートより

作品に落とし込んでこそ見えてくることもあるのではないでしょうか。

CGをやる以上に映像というものについて考えることができた

アンケートより

これは嬉しいコメントなのでした。
松永先生7週間ありがとうございました!

(山崎連基)

めっちゃいい笑顔の松永先生



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