乃木坂旅2023夏 @明治神宮野球場DAY1

暑くて熱くてアツい夏


お久しぶりです。暑い季節が近づいてきたので遅ればせながら続編を。

「青山って、どこ?」

 8月25日朝5時。ふうたとりゅうのすけを神宮で降ろして、おれとあつしはカタレンの車を返しに行った。車内は無言。聞こえてくるのはDAY0セトリをシャッフルで流して選ばれた、「あらかじめ語られるロマンス」のメロディーだけ。楽しげな曲調とは裏腹に、長時間運転の疲れとDAY0セトリをやり切った反動で会話はほとんどなかった。しかも、車の返却場所が入り組んだところにあるせいで、目的地になかなか辿り着けずにイライラが増していった。ほっそい道を何回も曲がって、やっとの思いで目的地に辿り着いた。
「あそこやわ、車返すとこ。やっとかよ。分かりにくすぎやろ。」
とか言いながら車庫の目の前に着いた時に2人同時に気がついた。
「あ、ガソリン入れてない。」
これ以上ない絶望感。あれは疲れる。精神的に。
仕方なく再出発したけど、朝5時やからガソリンスタンドが全然開いてない。何店舗か回ったけど閉まってて、結局携帯でちょっと遠いところに開いてる店を見つけて行くことになった。その道中で思ったけど、青山の交差点どうなっとんあれ。普通十字やろ。6方向くらい道路あったぞ。しかも全部太い。あんなの怖くて直進しかできん。まあ運転しとったのはあつしやけど。
 ハプニングもありながら何とか車を返却して、DAY0が無事に終了。ほんまに事故らず到着してなにより。
「運転お疲れたばこいっときましょ。」
写真を送ったりしてカタレン返却手続きを終えたあつしと、運転手お疲れ様の意味を込めて、たばこで乾杯。朝の空気の中で、無事に着いた安堵感と東京の地を踏んだ高揚感に包まれながらの乾杯。気持ちよかったなあ。あの一本。
 そしていよいよ、ふうたとりゅうのすけの待つ神宮に向けて歩いて出発。
「俺ら運転したし、あいつらに交通費ちょっと多めに出してもらいません?」
「そうやな。6:4くらいで交渉してみるか。」
とかって話しながら、特に調べることもなく、おそらく明治神宮野球場があるであろう方角に向けて朝の青山の住宅街を歩いてた。15分くらい歩いて大通りに突き当たったところであつしが、
「すんません。ちょっと腹痛いんで、トイレ行ってくるっすわ。」
って言って、表参道駅って書いた地下道への階段を小走りで降りていった。
「ここまで来て腹痛かよ、可哀想なやつ。」
とか思いつつ、あつしを待ってる間、ファミマで買ったモンスターを飲みながら、近くのベンチに座って、目の前にある小さい神社とファミマとかいう異質な並びをぼんやり眺めてた。
 10分くらいして、さっきまでの腹痛に歪んだ顔が嘘みたいに、興奮しながらあつしが帰ってきた。
「トイレに飛鳥卒コンのグッズ持ったよぼよぼのおじいちゃんおったっす。」
なんやその情報。ライブ会場でよぼよぼのおじいちゃんなんか見たことないけどどこで手に入れてん。とか思いながら、
「俺らと同じで今から神宮参戦するんやわ。」
って睡眠不足で回ってない頭で適当に返事した。
 そこからは残り1キロくらいやったけど、疲れと暑さで歩くのがしんどかったから、タクシー代足して交通費がピッタリ2万円くらいになるっていう理由をこじつけて、タクシーを使うことにした。朝6時前。タクシーの数が少なくて、捕まえるのに苦労したけど、なんとか捕まえて乗り込んだ。
「明治神宮野球場までで。」
最高の目的地を運転手に告げて、タクシーが走り出した。しかもタクシーに乗って1発目のテレビCMになぎ登場。自由で気楽なアツい夏になりそう。


「地獄の生写列」

 生写列に着いたら、ふうたとりゅうのすけが結構前の方におった。まだ朝6時ってこともあって、人はそんなに多くなかった。
「だいぶ前の方とれたな。さすがに5時から並んどったらこの辺なんか。」
そんな会話をしながら合流して、周りを見てみると、小さい椅子とかシートを持ってきてる人もおった。なるほど賢い。ちょっとでも待ち時間を快適に過ごすための知恵。いわゆる生写ガチ勢。早朝生写初心者には、そんな考えあるはずもなく、ただただ座ったり立ったりしながら待ってた。
 朝6時過ぎ。気温はすでに30℃近くあった。暑かったけど、まだ周辺に木があるゾーンで、太陽も昇り始めやったから木陰になるとこもあって、ギリ我慢できる暑さ。それでも、このあともっと暑くなることを考えたら、
「まだあと3時間以上あるんか。」
って憂鬱な気持ちになった。
「列動きますんで、ご準備お願いしまーす。」
そんなことを考えてたら、7時くらいに係の人の声が聞こえて急に列が動き出した。
「物販開始予定は10時やけど、もしかして前倒しでもう始まるんかな。」
って一瞬思ったけど、そんな期待は1秒で砕かれて、ただ人が増えてきたから列を物販会場付近まで進めるってだけ。まあこんな早く始められる訳ないよな。バイトも来てないやろうし。とぼとぼ進んでる途中に、ポツンと小さい椅子だけ置かれてる場所があった。まだ列は動かんやろうと踏んでトイレにでも行ったんか、椅子で場所取りだけして車で寝てるんか知らんけど、可哀想に。列の後ろの人にぐんぐん抜かされていってた。さっきは生写ガチ勢とか言ったけど撤回。何も分かってない。お疲れ。
「あほやなー、せっかく早よ来たのに一番後ろから並び直しやん。」
とか言って4人で無人の椅子を煽りながら進んで次に止まったところは、かんかん照りの太陽の下。日差しを遮ってくれるものが何もない開けたアスファルトの上。唯一の救いは、メンバーたちの等身大浴衣パネルの真横やったこと。しかもちょうど真横が蓮加。これはもう多分運命。ロープで規制されてたから近づけへんかったけど、とりあえず写真だけは撮った。
 パネルの写真撮ってる時だけ忘れてたけど、まだ7時過ぎやのに暑すぎる。しかも寝不足やったから、ちょっとタオル顔にかけて横になろうと思ったら、次に気づいた時には8時過ぎやった。横になった瞬間気絶するように寝とったらしい。今思えば、ようあんな猛暑とアスファルトとかいう劣悪な環境で寝れたな。下手したら熱中症なるで。でも隣見たら同じ状況のふうたが横たわっとって流石に笑った。
 起きてからあつしに、
「後ろの女二人組に、『まじで最悪。足臭すぎるんやけど。』って言われてたで。」
って言われたけど、どうでもええ。知ったこっちゃない。暑さと眠さと汗でべたべたする不快感でこっちはそれどころじゃないねん。とかいう害悪ムーブも時効ということで、ごめんなさい後ろの人。
 頭もちょっと起きてきた頃、前を見たら、
「ん?俺らの前にあんなに人おったっけ?」
てくらい人口密度がすごいことになってた。さっきまで座ったり寝転ぶスペースあったはずやのに、気づいたらぎゅうぎゅうになってた。ちょっと間観察しとったら、明らかにネットで知り合ったやろみたいな雰囲気の人たちがどんどん合流していってた。これが生写の闇か。暑い中早くから並んだのがバカみたいで、だんだん腹立ってきてたけど、その中のおっさん1人が飲み物パシらされて帰ってきたのを見て、なんか怒りが収まった。
 物販が始まるまでの残り時間は、前の集団におった人の拡声器みたいな声を、何回か係員の指示と勘違いしながら、ついに10時になって列が動き出した。祝花の花道を抜けて、生写テントに到着。待ちに待った神宮T3パックとスペシャル3パックを購入した。国立競技場周辺のベンチまで移動して、開封したけど、4人とも引きは散々な結果。あんなに苦労して買ったのになんともあっけない。てか開封する頃には全員体力残ってなくて「早よ開封して、寝れるとこいこ。」
とか言ってたわ。なんとか他引きで神宮T蓮加コンプしたけど、神宮生写は二度と並ばん。多分4人ともそう思ってた。

「RAKU SPA 1010 神田」

「ライブまでどこで時間潰します?」
暑さと疲れと眠さと生写の引きの悪さに今にも意識が飛びそうな中、体を引きずってなんとか外苑前駅まで辿り着いた。でも行く場所が決まらへん。決まったのは寝れそうなスーパー銭湯行こってことだけ。出来るだけ近場で。4人とも金欠やから高いとこはNG。都心ではなんとも難しい条件。しかも誰も調べへん。外苑前駅の改札前にあった巨大クーラー前で、瀕死の4人がかつてなく険悪なムードで座り込んでた。まじで誰も喋らんし温泉を調べるわけでもない。ちょっと調べても3時間3千円とか。萎えるて。今思ってもあんなに楽しみにしとった神宮で、かつてなく空気悪なるの意味わからんすぎておもろい。
 流石にここで座ってても意味ないってことで、見つけたのが"RAKU SPA 1010 神田"。外苑前から20分くらい。もうここしかない。御茶ノ水駅まではほとんど寝とったっけ。記憶ないわ。駅から歩いて5分くらいで念願の温泉に到着。すぐに風呂だけ入って休憩ルームで寝た。まじで爆睡。気づいたら3時。ゆうても3時間くらいしか寝てないから、体力ゲージで言ったら50%くらいまでは回復したかな。全然眠いし疲れ残ってたけど。温泉自体は、休憩ルーム広かったしクッションとかも充実してて、東京にしては安くて最高やったんやけど一つだけ言ってもええ?なんか風呂臭くなかった?まあいいか。
 昼飯食わずに寝とったから、駅前の丸亀製麺に行くことにした。あつしはちょっと早めに起きて温泉で食ってきたみたいやから外で待ってた。神戸おるときは、1日目しかおらへんりゅうのすけが昼飯選んでええでってことで、新宿で肉まぶしみたいなの食べる予定やったけど、そんなこと誰も覚えてなかった。というかそれどころじゃなかった。結局東京まで来て丸亀製麺。美味かったけど。
 御茶ノ水駅に戻ってきて、ついに乃木坂46真夏の全国ツアー東京公演DAY1に向けて出発。てところでおれが、
「ごめん、銀行で金おろしてくるわ。」
て言って近くのATMにお金下ろしに行った。晩飯の焼肉代が財布に残ってなかったから。戻ってきた時の3人の表情は覚えてるで。
「ここまで来て待たすなよ。はよしろよ。」
をそのまま体現したような顔と姿勢やったな。ごめんやん。これでも往復結構早歩きしたんやで。だって走るのはカッコ悪いやろ。暑いし。
 電車に乗って信濃町駅で降りる。ついに始まるで真夏の全国ツアー@明治神宮野球場DAY1!


次回:「最大。最速。最青。最高。」






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