黒Gの悲劇 プロロゴス

劇団E星所属俳優、黒G陽子(仮名)に起こった悲劇は、衛星歴15年(西暦2009年)9月にさかのぼる。この頃PHP研究所から発売された「コミュニケーション力を引き出す 〜演劇ワークショップのすすめ〜」では、半戯曲セミドキュメンタリー小説という手法が採用され、劇団E星の代表のR行を始めとするFJやK本(いずれも仮名)が、活き活きと活躍する様が描かれていた。黒Gが、「うちの代表が本を出さはったで!」ってなばかりに、ご実家の御尊父に連絡したところ、それを入手して一読し御尊父より「お前、登場してないやかないか」と指摘された。そう、本で描かれていたワークショップに、たまたま配置されていなかった黒Gは、影も形も無かったのである。

黒Gにその件を報告された蓮行は、いたく心を痛め、「次に本を出す時は、それはそれは黒Gが躍動する半戯曲セミドキュメンタリー小説を書くぞ!」と誓っていたのである。

そして、衛星歴20年、日本文教出版との本を出す話がまとまり、蓮行は5年の時と場合を超えて、あの日の誓いを形にするべく、第1章に、黒Gがめっちゃ活躍するエピソードを書いたのである。どれくらい活躍したのかと言うと、12ポイントのフォントサイズでA4の25ページ分、実に17872文字に渡る大活躍を描いたのである。

だが、11月19日に、編集者さん(もんのすごくお世話になり、かつご迷惑をおかけしました。この場を借りて改めて御礼申し上げます)から、

また、1章ですが

全体のボリュームを再度確認しましたところ

当初予定しておりましたワークショップの写真を入れますと

文章自体を載せることができない感じになっています。(原文ママ:怒られたら削除します)

という、フワッとした文面だが、「全カットします」という非情な通告を受けてしまったのである(ちなみに、PHPからの出版の際も、わしが交通事故に遭ったシーンを克明に記述していた力作部分を、「本の内容に関係ない」というまっとうな理由で全カットされた。こういうことはフツーにあるらしい。ちなみにその部分の原稿は現存しない。残念)。

わしはこの事件を、エラリー・クイーン風に「黒Gの悲劇」と名付け、自らが自由に使える媒体で、連載として陽の目を当てようと考えた訳である。そして、そんな黒Gがほんのちょっとだけ写真で活躍していたり、ほんのちょっとだけセリフで活躍していたりする本が売れたら、もう最高である。

「演劇コミュニケーション学」http://books.rakuten.co.jp/rb/13882877/

さらには、また出版する機会に恵まれたならば、今度こそ、黒Gが嵐を呼んでエイリアンと対決してヒットエンドランを決めるような、大活躍の話を書きたいものである。

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