黒Gの悲劇#8 躍動のリハーサル!

◆3コマ目

◇いよいよ本番当日!

 もちろん教室は、言い知れぬ高揚感と緊張感に包まれている。小学校も高学年になると、「ふーん、いつもと変わらないさ」的なうそぶく空気も無くは無いのだが、2年生はその点は素直だ。もちろん個人差があるので、「うー、どうしよう…!」と緊張している子も、全く普段と変わらない子が、入り混じってはいる。しかし、やはり普段と違う空気が教室を包んでいる。本日は、本番なのだ…!

黒G「みなさん、めっちゃ期待してますよ。まあ、黒ちゃんも最初に出番あるから、緊張してるんやけどね!」

 コミュニケーションティーチャーにとっても、本番の緊張は変わらない。上演する演劇人として、また教育に関わる教育者として、両方の価値が問われるのである。

黒G「じゃあ、いつもどおり発声練習と、ウォーミングアップをしましょう!」

 コミュニケーションティーチャーが来ていない日にも、発声練習をしてくれていたのだろう。みんなずいぶんとスムーズに発声練習ができている。そして、声にもずいぶんと力が込もっている。

 続いて、エナジー回しも、スムーズに元気よくできている。

黒G「では、最後の時間に、1年生に観に来てもらって本番をやるんですが、その前に、本番どおりのリハーサルをします。これを、プロの言葉では、『ゲネプロ』と言います」

 「ゲネプロ」はドイツ語のGeneralprobe(ゲネラールプローベ)を略した言葉である。本家のドイツでは略すことは無いらしく、ゲネプロというのは日本でしか使わないので、いわば「和製独語」とでも言うべきだろうか。

黒G「では、本番は、黒ちゃんとロン毛のデモンストレーションが先に上演されますが、それは飛ばして、シーン1に出る皆さんは、上手と下手に控えてください。準備はできましたか?では、シーン1のゲネプロ、スタート!」

「チョイチョイ星人がやってきた!〜なぞのばしょをさがせ!〜」

シーン1:チョイチョイ星人もあそびたい!

(チョイチョイ星人たち、必死にチョイボールを探している。)

チョイアツ「あったチョイか〜?」

チョイたち「ないチョーイ」

チョイアツ「あ!だれか来るチョイ!」

(チョイチョイ星人たち、かくれる。)

(休みじかんになり小学生たちが、きょうしつから出てきた。)

ミーちゃん「なにする〜?」

ゆずか「いろおに!」

ヒロ「ドリームワールドに、しゅうごうやで!」

(くちぐちに言いながら、上手へたいじょう)

チョイたち「ドリームワールド?」

チョイアツ「ドリームワールド・・・ほんやくすると、『ゆめのせかい』っていみだチョイ!ちょっとそこにいってみるチョイか?」

はやくん「いやいや、あそんでいる場合じゃないチョイ!」

ねおがま「でも、たのしそうだチョイ」

チョイアツ「もしかすると、そこにチョイボールがあるかもしれないチョイ。だから、ちょっとだけ、ちょっとだけいってみるチョイ!」

あーちゃん「しょうがないチョイね・・・」

チョイシリ「じゃあ、みっつにわかれてさがすチョイ」

チョイたち「チョーイチョイチョイチョイチョイ!」

(上手にたいじょうする)

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