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劇団経営道場#1「プロロゴス」

蓮行であります。

劇団衛星は、カンパニープロフィールに書いている通り、「正劇団員は全員、アルバイトをせずに劇団活動で生計を立てている」という所が特徴であり、売りであり、自慢でもあります。

今は、衛星暦(劇団衛星設立を衛星暦元年、10月1日を正月とする独自の暦)16年の暮れですが、劇団衛星は衛星暦10年まではプロアマ混成劇団(これについてはいつか後述)で、10周年を境に、衛星暦11年からほぼ丸6年間、完全なプロ活動を維持してきたことになります。まあ何とか定年まで続けたいとは思っていますが…。ちなみに、現状では定年は定めていません。

とまあ、「プロ自慢」から入りましたが、殊に「芸術」というジャンルは全般、「プロフェッショナルがアマチュアより優れている」とは言えないと思っています。教員研修の仕事やらで学校の先生と演劇ワークショップをやったりすると、こちらがお金を払いたくなるほど面白い発表をたくさん見られます。ですから、プロ活動をしている事が、私たちの作品の優位性・優良性をそのまま表しているとは思いません。一発勝負で来る素人衆は、本当に恐ろしい敵です。プロとしては、戦って勝つことより、戦いを避けたい相手です。とりあえず、この稿では、作品の優位性・優良性は脇に置いて(完全に避けることはできないと思いますが)、あくまで経営的な視点からアプローチします。

基本的に、「演劇」とりわけ「小劇場演劇」のジャンルは、とにかく昔から「食えない」ことが当たり前のように言われて来ました。その「共通認識」を基礎として、「食えない」ことが当たり前のモデルが、固化していました。私に言わせると、この「食えないモデル」は本当に非演劇人も含めて誰も幸せにならないもので、しかしさすがになかなか手強く、私たちもそこに一穴を開けるのに、10年かかりました。このサイト内にある「公演履歴」など見返してみると、あんな事こんな事あったでしょう、と胸も目頭も熱くなりますが、あんまり触れない予定です。

このプロロゴスの最後に強調しておきたいのは、私たちは決して「プロになる」事を目標にやってきた訳ではない、という事です。「自分達のやりたい事、やるべき事は、プロにならないとできない」、そして「プロの小劇場劇団も、世の中には多分あった方がいい」という2つが、私たちが「プロの劇団」であり続けようという動機の軸です。そして「もうちょっとたくさんプロの劇団があった方がいい」と思っているので、「うちの店のレシピ」みたいなものをこうやってこっそり公開すれば、特に若い人たちには多少は参考になるかも、ととりあえず数回、書き綴ってみようかと思っています。

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