黒Gの悲劇#2 上演のデモンストレーション

◆1コマ目

◇デモンストレーション劇

黒G「はい皆さん!おはようございまーす!!」

子どもたち「おはようございまーす!!!!」

 黒Gが、目をキラッキラさせて、大きな声で挨拶すると、子どもたちはもっとキラッキラさせて、さらに大きな声で挨拶を返す。断定するが、黒Gのキラッキラの目は完全に演技であり、本当は眠いのである。だが、子どもたちのキラッキラの目は、もちろん本物である。今回、黒Gが担当するのは2年1組で、「何か変な人たちが来た!」という好奇心と期待と緊張がほとばしっている。一応、黒Gの名誉のために付け加えておくが、本当は眠いことは間違いないが、同時に「ああ、子どもたち可愛いなぁ…!」とも思っているし、「さあ、この子たちと、素晴らしい演劇を作るぞ!」とも思っている。

黒G「はじめまして、私は劇団E星の、黒Gと言います。黒ちゃんって呼んでください。エブリバディセイ!」

 なぜか、大して発音が良い訳でもない英語で呼びかけるが、身振りで「名前を呼んでください」の意は伝わったのだろう。

子ども達「黒ちゃーん!」

黒G「はーい!」

 というやり取りが成立する。続いて、長身の劇団員でアシスタントを務めるN田が、同じく自己紹介し「ロン毛」というあだ名を名乗った。

黒G「みなさんは、来月のはじめの発表に向けて、黒ちゃん達と一緒に、演劇の練習をします。今から、黒ちゃんとロン毛で、そのお芝居の始まりの部分をやるので、観てください!じゃあ、ちょっと準備してきまーす」

 黒GとN田が廊下に出て、衣装を着ける。教室の中は、静かでは無いけれどザワついているほどでも無い、というまたもや緊張と期待の入り混じった空気が満ちている。ガラガラ!とドアが開く!グリーンを基調とした派手な衣装と2本のツノが特徴のチョイチョイ星人に扮した2人が、教室に飛び込んでいった!

◇オープニング劇「チョイチョイ星人がやってきた!」

《宇宙船の中》

(チョイチョイ星人であるチョイポカ(N田)とチョイアツ(黒G)、笑いながら登場)

2人「チョーイチョイチョイチョイチョイチョーイチョイチョイチョイチョイ。」

ポカ「いやー楽しい宇宙旅行だったチョイ。終わっちゃって少しさみしいチョイ。」

アツ「チョイポカ。油断したらダメチョイ、旅行はまだ終わってないチョイ。」

ポカ「え?」

アツ「チョイチョイ星に帰るまでが宇宙旅行なんだチョイ」

ポカ「だけど、戻るまでヒマだチョイ」

アツ「そんなチョイポカにチョイチョイ宇宙船クイズ〜!!」」

ポカ「チョイチョイ宇宙船クイズ〜?」

アツ「宇宙船に関するクイズだチョイ。では第1問!宇宙船の中で絶対にやってはいけない事はなんでしょうか?」

ポカ「はい!このチョイボールで遊ぶ事!」

アツ「正解!このチョイボールはこの宇宙船を動かしているエネルギーなんだチョイ!だから、このチョイボールを動かしたらこの宇宙船は落っこちてしまうんだチョイ!」

ポカ「そうそう、こうやって投げたり(なげる)、放ったり(なげる)して遊んだら、ぜったいだめなんだチョイよ!」

アツ「(素になって)ちょいちょいちょい」

2人「(お互い顔を見合わせて)チョーーーイ!!(くるくるまわりながらおーちーてーゆーくー…(しりもち)チョーイ!!!)

アツ「無事かチョーーイ?」

ポカ「…チョーイ」

アツ「ここは、どこなんだチョイ…」

ポカ「チョイアツ、宇宙地図アプリで調べるチョイ」

アツ「ええとここは…、地球という星のようだチョイ!」

ポカ「地球! な、なんと言うことチョイ…」

アツ「そんなにあぶない星なのかチョイ??」

ポカ「…知らん!!」

2人「(こける)チョーーーイ…」

ポカ「まぁ〜大丈夫だチョイ。そんなことよりも、僕らで必ず見つけ出すチョイ!地球で美味しい食べ物を!!」

アツ「なんでやねーん!チョイボール!」

ポカ「へへっ。チョイボールをさがすんだチョイ!」

二人「レッツ、チョイ!!チョーイチョイチョイチョイチョイチョーイチョイチョイチョイチョイ。(と、言いながら退場)」

                         おわり

 黒GとN田がそろってお辞儀をすると、ニコニコの子どもたちがワァっと拍手をする。

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