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小さなアンラッキー

今まで出会ったことのないような人に出会える時がある。

それが人生の醍醐味。

師と呼べる人物だったり
生涯の友だったり
最愛の人だったり

そんな素敵な出会いは奇跡だったり
気づいたら日常にあるものだったりします。

今日僕が紹介したい「今まで出会ったこと無い人」は

毎日ちょっとしたアンラッキーが1日に一つは身に降りかかる男です。

そんな男ともう僕は10年つるんでいる。
彼は毎日ちょっとしたアンラッキーを拾ってくる。

拾ってくると書き直したのは、ちょっとしたアンラッキーが起こり過ぎて、降りかかるというより拾いに行ってるんじゃ無いかと思ったからだ。

ある夏の日、彼は帽子をかぶっていた、蒸れて痒いなと思ったが人前で頭を掻き毟るのは良く無いと我慢し帽子を取らなかった、部屋に帰り帽子を取るとカナブンが勢いよく飛び出してきたそうだ。

なにこのエピソード、普通ある?こんな話。

ある日、彼は後輩といた、柄にもなく後輩に人生について語って最後の最後にカッコよく、決め台詞を言おうと大きく口を開けたらカナブンが飛んできて勢いよく口に入ってきたそうだ。

後輩に威張るキャラじゃ無いのにかっこつけてしまった結果です。ってゆうか虫エピソード多いな。

それ以外にも僕がパッと思い出せるだけでも彼は

雨にの日に傘さしていたら屈強な外国人に突然傘をひったくられたり
初めて入った飲食店の店員さんに無銭飲食の常習者と勘違いされたり
ズボンの股のところが破け、あー!やぶれたー!と大きい声出したら通報されたり
街を普通に歩いていたら、知らない若者に「コイツだけは絶対にゆるさねー!」と絡まれたり
自販機のお釣りが見たことないコインで出てきたり
よく犬に吠えられたり
同じ漫画を何度も買ったり
家賃が払えなくて管理会社の人が家まで来た時にとっさにトイレに隠れ、管理会社の人が去るまで身を隠していたが僕にトイレの中から電話をかけ「家賃払ってなくて取り立てられそうです!助けてください」と大きな声で言ってしまったことにより居留守がばれたり

とにかく彼といると毎日何かが起きます。

この間も100日後に死ぬワニの単行本を本屋で見つけニコニコで買ったら、小さい子供が「あーワニ売り切れてる〜」と泣き出した、無視すればいいのに「僕のワニあげるよ」と買ったばかりの単行本を子供に渡そうとすると親御さんに「あなたなんですか!気持ち悪い」と罵られる始末。

お気づきの方もいると思いますが

彼はめちゃくちゃ良いやつです。お金にルーズな所は確かにありますが、僕が知る限りめちゃくちゃ良いやつなんです。根っからのお人好しで優しい男です。

そんな彼と僕のエピソードで未だに何それ?と思っている話を最後にお伝えします。

僕たちは名古屋で働いているのですが

2年ほど前、浜松で仕事があり1泊した、その日は浜松祭りがあり仕事を終えた僕らはお酒を飲みながら祭りを堪能した、
彼は御神輿の写真を撮りSNSに投稿した。

なんてことないお祭りの写真だ。

その10分後くらいに彼のLINEにメッセージが、彼はそのメッセージを見てなんとも言えないワクワクした顔をしている。

事情を聞くと、どうやら彼の片思いしている相手がたまたま浜松祭りに遊びにきていたみたいで、彼のSNSを見てビックリして連絡してきたみたいだ。

僕は彼にこれは、またとないチャンスだから会いに行ってこいよと促す。

偶然の祭りでの再会なんて恋愛フラグしか立たない、今日は彼が幸せになる日だ、わざわざ連絡してくるなんて、なんてハッピーが彼に舞い込んできたんだ!と喜んだ、心から喜んだ。

彼は大きく頷きながら彼女にLINEをする。

その数分後にきた返信を見て彼は更に大きく頷いた。

画面を見してもらったら

「ごめんね、彼氏ときてるんだ」


僕は彼ともう一軒飲みに行き、神なんかいねーな、せっかく楽しかったのに、だれも悪くないけどやるせねーなーと深酒をした。

彼は彼女の悪口や愚痴は一切言わなかった。

その姿にも俺は何故か心が痛かった。

深夜にホテルに戻り寝て、朝チェックアウトの時間にロビーに行くとソファーでうなだれる彼の姿があった。

昨日の事をまだ引きずってるのだろうか、体が震えている。

俺は「おはよー」と声をかけた瞬間に彼はスマホの画面を見せて来た、ネットのニュースだ。

記事をよく見ると【カップルがひき逃げに合う】と書かれている。

彼は涙目になりながらこう言った

「俺じゃない」



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