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Neo town  葬式【JOINT POEMS】


【JOINT POEMS】収録作品
Neo town  葬式


潰えたのか
そこにあったneo
画面の中で叫ばれる文字にそう叫び返して
角に強く頭を打った
痛みに耐えかねて飲む、のだ煩雑の夜
危険はない? いや、危険のみがある
舌の上で転がっていく彫像も絵も写真も
何一つぼやけずに
唾液に濡れて薄青く光って
砂利のなか、深い洞に眠り込む
白煙と共に砂埃が立ち
飲み込まれて行く俺たち 街
の一つの終わり あるいは始まり
よりもっと高尚な 転化 変化 流転
はたまた進化
断たれたものは何も無い
足を引きずるだけで済んでいる
両手があれば掴んで振り回せる
   指を、振れ!

この先に何が起こる、きっとラッキー とかそんなもの
カプセルが溶け出せば
はにかむ少女の様相
警官の浅黒い下唇に酒瓶の名残
ウィンク 歯軋りする解像度
そして再び凝縮していくRGB
粉末は血肉に変わり
ひとり、伸びをする
足の代わりならいくらでも
穴が開いた方が見通しがいいからな
覗き込む 穴の中に何が見える
俺には新しい街が見える
見えるか 孵化していくのだ、この穴から
走り抜ければ熱くないのだ
黒い皮を突き破って、爪が、耳が、尾が飛び出す
濁流のように火の粉が散り
旅立ちを祝福している
グッドラックだぜマイハウス
新しい街ができる
生まれたての牙を見せて笑う三日月の目が
身を屈めて新地へと赴く準備をする
声高に吠える声は
復活の呪文ニュータウン
その地には月が昇り稲妻が走り獣が佇み
夜な夜なひたすらに狂っていたのだ、と
残る煙が教えてくれる
丸く落ちた煤は新地への洞
一頭と一人はそこに飛び込むのみ
抜け駆けをしていけ
「進化!」ハングオン 駆け出す二輪
駆動するneo

【JOINT POEMS】とは

宜野湾市のアートギャラリー・PIN-UPが、火災により全焼しました。
今回の企画詩集【JOINT POEMS】は、沖縄のアート文化の発信地、PIN-UPの再建支援のため、「PIN-UP」をテーマに書いた詩を募集して一冊にまとめ上げた詩集です。
PIN-UPクラウドファンディングのリターンとしての提供のため、詩集【JOINT POEMS】のご購入はキャンプファイヤーでの受付になります。

筆者コメント

PIN-UPの喪失、遊び場が無くなった感じがして衝撃でした。実家が燃えたようなやるせない気持ちを抱えています。
とはいえ不幸中の幸、と言ってはなんですが、新天地への一歩は喜ばしいことです。新しい地でもまた遊びに行かせてください。
PIN-UPの更なる発展を願って。

プロフィール

葬式。99年生まれ。
文芸誌「煉瓦」内にて、編集・デザイン・イラストを担当しています。

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