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プロファイが再エネのコストダウンを阻んでいる理由のひとつ

 再エネの殆どはプロジェクトファイナンスと呼ばれる方法で資金を調達しています。略してプロファイと呼ばれます。
 通常なら資金を借りる企業の信用力に対して融資が行われますが、プロファイは事業自体の価値や事業性に対し融資が行われます。従って会社として無名で資金力がなくても良いプロジェクトであれば融資を受ける事ができるのです。(厳密には多少は会社の与信は考慮されますが)

 FIT制度のおかげで調達価格が20年間保証され事業性の見通しもつきやすいため、銀行からすれば太陽光をはじめとする再エネ案件はかなりの優良案件となります。このプロファイのお陰で資金力のない会社でも大規模な発電所の資金調達が可能となり多くの再エネ発電所がつくられました。

 ただ、プロジェクトに対して融資するので銀行はあらゆる事業リスクを排除するため、EPC側にリスクを負わせる契約を結ばさせます。リスクを負うEPCは当然、コストに転化しますので自然と建設コストは高くなります。
 これが日本でコストが下がらない原因の一つだと私は思っています。事業者としてはコストを下げる努力をしますが厳しいプロファイ契約に阻まれます。

例えば分離発注をしてコストダウンを図ろうとしてもインターフェイスリスクを気にされます。EPC業者も一流企業はどうしても高いので一流と言わないまで実力がある業者を採用しようとしても、与信力が劣るため一流企業採用へのドライブが働いてしまいます。
 このようにプロファイはどうしてもコストを安くする方向に向かわない構造になっています。

 最近は事業者も技術的に努力して少しづつ条件を緩和しコストを抑えたプロジェクトをつくっていますが、それでも銀行の根本の考え方が変わらないので限界があります。事業者からすれば技術的に可能性の低いリスクは緩和して欲しいのですが、技術を知らない銀行には理解できないので納得してもらえないことも多いのです。

 この辺を適切に理解して健全な再エネ事業となるように銀行側も変わって欲しいところです。世の中お金を持っている人が一番強いということがプロファイをやっていると非常に強く感じます。

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