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HITOMI|夫とのズレ|RENATUS STORY

40代に入ると、親の介護の問題が出て来た。
まず私の母が、認知症と骨粗しょう症を発症し、家事も出来なくなり、骨が脆いので背骨を何箇所も圧迫骨折して、一人で介護する父の負担が増えていった。

しまいには夜になると両足の筋肉が同時に硬直してしまい、痛がって泣くので、ほぼ一晩中足をさすり続けるという壮絶な介護だった為、なんとか良くなって欲しくて、病院を何箇所も受診したが良くなる事は無かった。
私は父の体力が心配で、仕事が休みの土日に、夜、母を介護しに可能な限り毎週通っていた。

私が実家へ手伝いに行く事に、最初は何も言わなかった夫だったけれど、次第に不服な態度を取るようになり、私も気兼ねしながら週末、夫に付き合う時間も作るように努力した。

それでも、夫の不満な態度は変わらなかったので、母の状態がどんなに大変か、一度で良いから一緒に行って見て欲しいと何度も頼んだけれど、一度も付き合ってはくれなかった。

この頃から夫と気持ちのすれ違いが出始める。

母の、状態がどんどんが悪くなり、入院したあとも、何度かは一緒にお見舞いに行ってくれたけど、私が一人でお見舞いに行くのは相変わらず良い顔をしなかった。

その後、母が亡くなり、父がひとりぼっちになってしまい母を失った喪失感で元気をなくしていたので、時々、行こうとすると、「また行くの?」「こちらの生活も考えろ」と言われ、思うように行く事が出来なかった。

2017年の9月、父が脳動脈瘤の破裂で倒れ、近くの病院に入院し、緊急手術になった。

一命は取り留めたものの、父はICUにひと月程いて、意識が朦朧としたり少し良くなったりを繰り返していた。
その後ベッドが足りなくて一般病棟へ移されてからは、また夫が私が見舞いに行くのを嫌がるようになった。
10月は夫の希望で温泉旅行にも付き合ったりしたが、夫の態度は相変わらずで、結局10月は一度も父のもとへ行けなかった。

私はこの人は自分の味方ではないんだと悟った。

ひと月ぶりにやっと父に会いに行くと、病院の管理のずさんさから、床擦れが出来ていて、夫を振り切ってでも行けば良かったと後悔した。その後は、残業と嘘をついて出来る限り毎日、たった2~30分だけだったが父に会いに行った。

この頃、職場の人間関係も最悪で、夫に会社を辞めたいと言っても、今の生活レベルを落としたくないと、辞めていいとは言ってくれず、会社でも家庭でも私は孤独だった。そして夫から気持ちが離れて行った。

2018年2月15日に父が亡くなり、兄弟で話し合い、実家も処分することになり、これでもう、私の帰るところは無くなり、私の実家に対する役目は終わったと感じた。

そして、小さな頃から今まで、自分を後回しにしてばかりいたけれど、「もう、これからは自分の為に生きよう」と心に決めた。

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