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恋したゲーム実況者#3

秘密主義者

私と好きな人は初めて通話を繋いで以降、数日の間隔を置いて一緒にゲームをしていました。

レイド戦くらいしか一緒にできることがなかったので、レイド戦をしながらずっとおしゃべり。

私は配信の時に年齢や住んでいる地域をを公開していたので、私の年齢や居住地を相手は知っているのですが、私は何も知りません。
声が若くて、関西弁で、男性だという情報くらい。

関西弁なので、関西に住んでいるのか聞いたら、大阪だということは教えてくれました。

でも一向に年齢を教えてくれません。

秘密主義者め。

慎重で警戒心の強い人らしいので、ネットの世界のやりとりだと考えると当たり前と言えば当たり前なのですが、年齢すら教えてもらえないことに私は落ち込んでいました。

こちらが予測してもだめ

教えてもらえないということは、これ以上仲良くなるのは無理なのかなと残念な気持ちも持ちながらずきずきした気持ちで毎回話していました。

やりとりはTwitterだったので、もう少し仲良くなりたいと思いLINEを教えてくれないかなーと聞いたら

「教えてくれたら、気が向いたら登録しておきます」

と素っ気なく。

ああ、聞かなきゃよかったと落ち込んでいると結構直ぐにLINEから通知が来て一気に喜びましたw

彼なりの冗談だったようですが、私はそんなことにも一喜一憂してしまうくらいこの時すでにべたべたに惚れていたようです。

「うん」の声に自分の耳が疼いて
「ハハッ」という乾いた笑いに胸が苦しくなり
名前を呼ばれるたびにニヤニヤ

もう長いこと経験していなくて忘れていた胸の高鳴り。

最初の就職先で一緒に働いていた30代後半の女性スタッフが、

「この年になるとキュンキュンなんてしなくなる」

とか

「男も女も関係なく全てが可愛く思えてくる」

とか、そんなことを言っていて、恋愛対象ではないにしても女の子って可愛いなぁ、男の子も可愛いなぁと遠くから可愛いものばかりを眺めて満足して「もう私はキュンキュンなんてすることないのかもしれない」と少しやさぐれていた時期でもあったので、この胸の高鳴りにいちいち疲れて、でもいちいち喜んでいました。

秘密主義者なので年齢はまだ教えてもらっていませんが、このLINEを交換して以降、またぐっと距離が縮んでいくのです。



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