藤原淳雄さんのCGキャラクターアニメーション講座まとめ

12月17日に海外CGアニメーターの藤原淳雄さんキャラクターアニメーション講座というセミナーに参加してきました。
そのメモから、言語化して残そうというブログです。
(藤原さんにも自分で言語化することをオススメします!とツイッターでリプライいただいたので……)

★アニメーターの仕事=ストーリーを伝えること
★entertainment→enter(間を)、tain(掴んで離さない)、ment(こと)
 =心を掴んで離さないこと


心を掴んで離さないためには……?
・良いアクティングチョイス(演技)
・良いポーズ
・良いタイミング

タイミングは3つの要素に分けられる
・スピード:モノが動いたり変化する速度
・リズム:動きの規則性、パターン
・テンポ:リズムの速さ

タイミングとともに大切なのが、
スペーシング:タメ、ツメの表現

タイミングとスペーシングについて詳しく書かれているのがこちら、
Miyukiさんのブログや、若杉さんのブログです。

タイミングの表現で大切な3要素
・物理表現と人体構造
・感情表現、演技
・デザイン

【物理表現と人体構造】
・力学
アンティック(予備動作)イーズイン・イーズアウトフォロースルー、オーバーラップ ※用語の細かい解説はリンク先参照
(上記用語に関してはこちらを参考に)
・人体構造(体の繋がり)

「odd rule」:物体が落ちる距離が1コマ進むごとに1、3、5、、、と増加していくこと(odd:奇数)

・力学方程式→押すと加速、力が大きいほど勢いが増す、質量が大きいと動かすのが大変。
・作用反作用の法則、摩擦力、弾性力、空気抵抗なども考える

コネクティビティ(体のつながり)
→体を実際に動かして、どのような繋がりで体が動くか、どこが先に動くか感じる

コンタクト:力が入る直前のポーズ
→キャラクターアニメーションをするうえでとても大切
コンタクトポーズとその直前、直後に大切なポーズが存在する

リアル:観ている人に違和感を与えない

リアリティ:動きの気持ちよさをさらに引き立たせる

タイミングの違いによる感情表現
【ゆっくり】
・悲しみ、心配、落胆、困惑
・感情が深い
・Down ネガティブ
・重みを感じる

【はやい】
・幸せ、喜ばしい、嬉しい、楽しい
・突発的な感動
・UP ポジティブ
・軽い、ジャンプ


感情表現の深さと複雑さ
【ゆっくり】
・重い
・深い
・複雑

【はやい】
・軽い
・突然
・シンプル

「プルチックの感情の輪」について

キャラクターの性格の違い
【ゆっくり】
・キャラクターが大きい
・エナジーが老いてる
・おっとり
・やさしい
・厳格

【はやい】
・キャラクター小さい
・エナジーが若い
・せっかち
・軽い

アニメーションスタイル
★thought process:考える時間、思考過程
ひとつの感情→思考→次の感情

<thought processの表現例>
・目線の移動
・瞬き
アイダート
・眉毛がぴくっと動く
・目を細める
・眉毛が下がる又は上がる
・アイロール(欧米ならではのリアクション、目をぐるりとして呆れる感じ)
・表情が広がっていく
・目線がゆっくり移動
・口を開ける閉じる

2~3フレーム:目や耳の信号が脳に伝わるまでの時間
→thought process、感情の変化表現に使える
→また、最低でも2~3フレームあれば観ている人に動きやポーズが伝わる、という意味にもなる

8フレーム:筋肉が動き始めるまで、リアクションするまでの時間

演技・アクティングはキャラクターの状況や性格によって何通りもある
人の感情を考え、ストーリーとキャラクターを理解してアクティングチョイスする。
ここで、思考過程、リアクションタイムを使って、”感情説明”のタイミングを入れる(=工夫する)ことにより、Believableな動きを見つける。
★Believable=あるある感


デザインについて
視聴者を飽きさせないタイミングのバリエーション
・リズムの変化、非対称
・3スピード(はやい、普通、遅い)、テクスチャー(大まかな動きのなかで手など細かい動き)→「101匹わんちゃん
・パターン
・完全VS不完全
・メリハリ、減り張り

アニメーションのタイミングを勉強するうえでオススメの作品
グレンキーン duet
ミニョン ショート
コウノトリ大作戦 ウルフシーン

単調なリズム→かわいい、馬鹿っぽい(某黄色い小人的キャラクター)

止めることを恐れない!止めることもアニメーションの1つ


タイミングによる目線誘導のポイント
【プランニング(ステージング)】
・ショットで何を伝えたいのかを明確に!
・どのタイミングでキャラクターを置くのか考える
・観ている人を混乱させないこと(キャラクターが振り向いてからカメラが動く)
・アクションショットや動きが多い場合はダミーでテストする
・複数キャラクターを動かす場合はより注意を払う
・ムービングホールド上手く使う
(ムービングホールド:動きを大きく作っておいて、あとでアニメーションエディタでカーブを小さくし、呼吸などのごくわずかな動きを作ること)
・全体のバランスを100として動きの盛り上がりのバランスを考える
・リズムを単調にさせない
・削ることも大切!
・タイミングVSスペーシング
★音を使う!!
Animating with Sound

タイミングをチェックする方法
→変化させて観る:目を慣れさせないためのテクニック
・シルエットにしてみる
・画面にスケールをかけてみる
・グリッドを表示させてみる
・画面を反転させる
・再生速度を変える(1.5倍再生など)→タイミングが遅い、早いことに気づく
・フレッシュアイ→初見の印象を信じましょう
・他の人(信頼している人andアニメーションを勉強していない普通の人)に見せる
→おすすめサイト:syncscketch(シンクスケッチ)、無料で使えます!

大切なこと、センスの学び方
★作業画面上で嘘をつくのは必要なとき(画としてより綺麗に見せたいとき)だけ!誤魔化すために嘘をつかない!
★たくさんの作品や良いと感じる動きをみて、タイミングのセンスを磨く
面白動画とかもあり!
★ストーリーを説明できる動きのタイミングを見つける!自分を信じてタイミングを決める
★新しいことにチャレンジして人生を楽しむ!


センスを鍛えるポイント
★観察・分析すること
→アニメーターの仕事の60%、観察:興味を持つ、分析:なぜ?なに?
★言語化して説明すること
アニメーションは言語!!すべての動きに意味がある。説明することで理解を深める
★工夫すること
→基礎を学んで工夫する
→経験+発見力=センス
→ぼーっと生きてんじゃねーよ!ってこと
★知らないものを試す
→朝アイス、とか(笑)
★小さな変化を繰り返す
★好きなものをまず大切にする
★調子に乗ること!

自分なりに掴みかけていたことや、新たな発見がありとても勉強になったセミナーでした。
本講座に関するツイッターモーメントも半端なく勉強になります。
あと、藤原さんもアニメーションを担当している『スパイダーマン:スパイダーバース』、どちゃくそカッコイイアニメーションなのでぜひ!!
日本では多分3月公開で、小野賢章さん、宮野真守さん、悠木碧さんがメイン吹替キャスト、音響監督は岩浪さん、メインテーマは凛として時雨です。
日本版予告もめっちゃ痺れます。

それではまた!

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