1月12日(土)13日(日) 海外CGアニメーター若杉さんによるアニメーション講座@デジハリ大阪 まとめ

1月12、13日にデジタルハリウッド大阪校で開かれた、CGアニメーターの若杉さんによるアニメーション講座に参加してきました。

2日間それぞれの内容はこちら↓

①1月12日(土):リアルなフェイシャルアニメーション作る10個のコツと実践講座
 ②1月13日(日):覚えてすぐに上手くなるアニメーションの基礎講座 

では各講座の講座の内容について、まとめていきます。

1.リアルなフェイシャルアニメーションをつくる10個のコツと実践講座

こちらの講座はハンズオン形式で進められたのが新鮮でした。
→若杉さんのレクチャー&デモ
→それをもとに参加者がフェイシャルアニメーション制作
(若杉さんが教室を回りながら適宜レビューをしてくださる)
→レクチャー&デモ
……
という感じで、とても楽しかったです。

「何かにはっと気づいて(驚いて)、振り向く」という動きを基本動作として、あとは参加者がそれぞれ自分でアイデアを考えつつ、若杉さんのレクチャー&デモを参考にアニメーションを作っていきました。

具体的には、
頭→腰→首→顔、という順番でレイヤードアプローチ的にアニメーションを制作したのですが、
頭のアニメーションをつける前に若杉さんが、
「頭の中で具体的に動きのイメージを固めてから、実際にアニメーションをつけていくといいですよ」とおっしゃっていました。

CGアニメーションってキーを打ってしまうと「動いちゃう」ので、自分の作りたいアニメーションのイメージをしっかり固めることが大切なんだなと改めて。

それでは、レクチャー&デモのなかで若杉さんが教えてくださった10個のコツについて。(ここのメモが順番がごっちゃりしていて順番や単語が若干違う可能性があります……)

①瞬きのタイミング
・閉じるとき2f、閉じたままが1f、2fで80%くらいまぶたがあがる、5fで残りの20%を上げる

※黄金のルールではなく、ここからキャラクターの感情やシチュエーションに合わせて瞬きを作りこんでいく

②瞬きの種類
・フル:目が完全に閉じるいわゆるデフォルトの瞬き
→演技の意図として用いることが多い(目線を大きく移動するときや、多く落胆するときなど)

・ハーフ:目が半分くらいしか閉じない瞬き
・クォーター:目が4分の1しか閉じない瞬き
→生理反応としての瞬きで使うとよい(はっと驚くときなど)

③目線と瞬き
・まぶたが開くときに目線を一緒に上がる

④目線の移動
・目線の移動はFKでつけるのがオススメ→目のデザインをつくりやすい、コントロールしやすい
・多くの場合、目が一番はやく何かに反応して動く
・目線はゆっくり動くのではなく、ピッピッという素早い動きがリアル

・アイダート:目線がある一定のところをみていてもぴくっぴくっと動くこと。

・驚くときの目のデザインとして、白目の割合が大きいと驚いて見える

⑤眉毛のデザイン

・眉毛の2つの支点が重要

・眉毛は細かいコントローラーが多めだが、大きなコントローラーからアニメーションをつけていくとよい

・普段の生活で9割は眉の力が抜けている

⑥眉毛の上下
・緊張と緩和が大切
・眉間の皺が結構重要だったりする

・ブレイクダウン:眉毛が力の入っている状態から、力が抜けて眉がさがるとき、ふわっと力が抜けるような眉毛のポーズを間に入れると良い

⑦口のデザイン
・口角の位置は上か下にすると感情が伝わりやすい。逆に口を開けた時に口角の位置が真ん中らへんにあるとどんな感情か伝わりにくい。

⑧顎と唇の関係
・顎を閉じて口角が上がると、口(上唇)の位置も上がる
・顎が下がって口角が下がると、口(上唇)の位置も下がる

⑨口角と頬の関係
・口角が上がるのにあわせて、頬が上がる、ぷくっとする
・顎がさがり、口角がさがるのにあわせて、頬がさがる、ほっそりする

⑩口角と下まぶたの関係
・口角が上がると下まぶたも若干上がる

最後に今回の講座で制作したアニメーションをぺたり。
講座5時間+αぐらい。
仲良い友達にわっと驚かされて、(お前かよ、驚かせんなよ……)的な。
普段怖がりじゃないように振舞っているけど、実は割と怖がり、な男の子。

2.覚えてすぐに上手くなるアニメーションの基礎講座 

こちらは若杉さんがスライドを使いながらレクチャーしていくという形式でした。その内容について、まとめていきます。

まず大前提として、
アニメーターの仕事はアニメーションという言語を使ってお客さんとどうコミュニケーションをとることであり、観客にどう伝わるかを考えてアニメーションをつけることが大切。

<自然な演技について>
例えば「悲しい」という感情でも、色んな感情があって……

自然な演技をするうえで完璧にしないといけないのが物理。

自然で繊細なえぐい(良い意味)演技が多いのがジブリ作品。ジブリを観て勉強するのはとても良い。

<物理>

1.表現の幅が広がる(誇張して見応えのある画が作れる)
2.完璧にしないといけない(完璧にしないと、お客さんは単純な違和感を感じてしまいストーリーに入りこめなず、結果的に面白くないという感想になってしまう)

リアルではなくリアリスティックを心掛ける。
そのためには要素をとらえて応用する、基礎を学んで工夫するということ。

色んな物理……
<スクアッシュ&ストレッチ>
・スピード、弾力性、重力を表現できる
・顔の表現で良く使われる。例えば、講座①で学んだ瞬きでまぶたを閉じた状態を1f保つときにポリッシュで目にスクアッシュを入れたり、口角が上がるのに合わせてほっぺに使ったり、鼻に入れることもある。

どのような物理表現は、
どれくらい使うか、が重要。

また、色んなリファレンスを観て、観察=観て本質をとらえる。

アクティングチョイスをするときに、
自分の引き出しを信用しないことが大切。

アニメーターはより幅広い演技を求められるので、自分の引き出しを増やし手持ちのカードを多くして取捨選択をする。

<コンタクトフレーム>
・接触、力が伝わる直前のポーズ
・何かに接触するときはコンタクトフレームを必ず入れる

<アンティック>
・予備(期)動作
動きにコントラストをつけることもできる

・アンティックの大きさで次のアクションをお客さんに予想させる
・アンティック大→アクション大、アンティック小→アクション小
・アンティック遅→アクション大、アンティック速→アクション小(例外があるかも)
・眉毛はアンティックしない(カートゥーン系の顔全体の表現は別)

<タイミング>
・動作の始まりと終わりの間隔

<スペーシング>
・キーとキーの間の間隔の割り振り
・感覚が狭いほど遅く、広いほど速い

<スローイン・スローアウト>
・人間の体の動きは加速するのに時間がかかる
・どれくらいスローインスローアウトさせるかが大切
・重さの表現において、スローインスローアウトが少ない(助走が少ない)と軽く、スローインスローアウトが多い(助走が多い)と重く感じる。

重さの表現において大切なこと
①体のバランス:バランスが崩れているか、崩れていないか
・天秤を考えるとよい
・スーパーの袋程度でも人間の体はバランスをとるために若干傾く

②体との距離
・重い物ほど体に近づけて運ぶ

スローインスローアウトの話に戻して……
・動きはスローアウト、アクション、スローインに分けて考える
・重さの表現において、スローインスローアウトを長くする。アクションを長くするわけではない。(スローモーションに見せちゃだめ)
グラフエディタのカーブの角度と動きのスピード感を直観で繋げておく(角度大→スピード速、角度小→スピード遅)

<緊張と緩和>
・ポーズをつくるうえで大切
・ゴムをイメージするとよい

・必ずしも怒り=緊張みたいな感じで特定の感情と結びついているわけではない。
・怒っている度合いによって緩和の怒り(いら立ち)緊張の怒り(ガチギレ)がある

緊張と緩和をよく表現できる3要素
①顔、特に眉毛
②肩:ネガティブスペースをなくす、首のリグにスケールをかけることもあり
③指:ぐっとにぎる、すっともつ

ここで、プログレッション(段階)が大切になってくる。
アニメーションでは最初イライラ→怒りの段階が上がってキレるという感じ。
感情の度合いがどれくらいなのか、どう変化するのかを考えるのが重要。

この感情の度合いの変化の勉強として、パペットやストップモーション作品を見て演技を勉強すると良い。
このような作品では、とてもシンプルな演技がされている。
シンプルにどれだけ伝わるかが大切。

<サブテキスト>
・サブ(下にもぐった)テキスト(言葉)、本心の考え
・いわゆる写真でひとこと
・重要なのはなんでこう伝わるのか、そう伝わる要素を考えること
 例えば、いつもにこにこして動じない人は立場が上の人(ヤクザ映画的な)
・アニメーターは本心をアニメーションをすることが大切

<具体性>
このシチュエーションでこのキャラクターならどう動くかを考える
・「普通」の動きは本来ない
アクティングはキャラクターの説明書

<ジェスチャードローイングのすすめ>
・絵で見た時の印象を描く
①ポーズを観て、どう感じたのか
どういう要素が原因でそう感じたのか分析
③それを絵に落とし込む

1日目、2日目で共通の話もあり、2日間参加して本当に良かったです!
クラスで学んだことの良い復習にもなりました。

若杉さんのブログ「わかすぎものがたり」もご参考ください!↓


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