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それから【小説】
ってどれから?
あぁ父が亡くなるときに、後は任せたぞ、
とスマホを渡されたときからだった。
僕はこの歳に育ててもらうまで経済面で大変迷惑をかけていて、
父に逆らうなんて考えも浮かばなかったが、
こんな大切な仕事、スマホ1台で引き継ぐなよ!
と文句は言っておく。
うちの国は国王が、君臨せずとも統治せず、代わりに首相が行政をするのだが、
最近の老人は頼りにならなくて、42歳の父が代わりに動いていたという。
そういえば過労感半端なかったな。
後身を育てる余裕もなく旅立って行ったが、
一人っ子の僕は、
「それから」大変になった。
今日は月曜の朝礼じゃないが、国王と会う日だった。
僕はNo.2だ。三つ葉のクローバーの分際で、
特別な存在になろうなんて思ってもないのに、
あの親父の考えることには…。
国王は初対面だが、タメの娘がいて、
ヤなことを僕に伝える。
僕は「自分の裁量で動かさせて頂きます」と言って、
その夜王女の部屋に忍び込む。
「面倒臭いことするわね」
と言って服を脱ぐ王女に従い、
火曜の朝に、1日遅れで朝礼を聞く。
全てが1日遅れた。
僕のわがままで予算案が通らず、
9月1日の行政は麻痺。
これを世間では「ソレ」と呼ぶ。
王女の婿として、有名税も払わされ、
踏んだり蹴ったりな出だしだ。
しかしこんなに時間にタイトなのはこの上ないリスクだし、
僕の不在だけで国会が紛糾するなんて改善しなければやっていけない。
そんな問題点を次の週までに改善することに、残業させられる。
まぁ、残業させていただく。
ソレから必死に働く僕だが、
王女も待てないという。マスコミを抑えるのにも限界があるというのだ。
2回目の朝礼、先週の1日のことを謝る僕だが、
娘をもらってくれるなら水に流すという。
上手くいき過ぎているときは何か裏がある。
ダブルヘッダーだ。
二つの国に同時に行くなんて忙しいこと、
誰がチェック漏れしたって、父の死と、「ソレ」が重なって起きることになる。
次の女王の身が固まって、
彼女は2カ国の新婚旅行で気分ルンルン。
僕は首相のお守りがあるので、ただのハードスケジュール。
とにかくそれまでに婚姻の儀を済ませなければ。
ソレから忙しくなったが、
このダブルヘッダーは、僕をも過労にする危険に満ちたフライトになった。
続かない。
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