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アフリカ縦断記(16)チップから見えるタンザニアの経済状況について考える。

今、ダルエスサラームという首都に着いたのですが、本当に蚊が多すぎで困っています。身体中が痒くなるという経験は、シンプルに不快である以上のなにも生み出さないことがわかりました。笑

さて、しばらく体験記録が続いたので、少し考察をしたいと思います。前回の記事はこちら


それはチップ文化についてです。アフリカでは基本的にチップの文化はないのですが、至る所でたくさんの人がさまざまな手段を用いでお金を請求してきます。

こんなのもある!?驚きチップ請求時録!

バックパーカーのふりをした酒飲み

ホステルで休んでいると、お酒を持った黒人男性が近づいてきました。彼は明日からキリマンジャロをのぼると語り出し、自身の成り立ちについて話し出しました。彼を応援したいと思ったタイミングで、こんなことを言い出しました。
「実は生活のためにお金が必要だ。俺はお前と楽しく会話をしたから3000シリング(=180円))をくれ。」

弱った親と子供連れを目の当たりにさせるホテル従業員

道を歩いていたらホテルのハウスキーパーと出会いました。彼は私の部屋は非常に掃除がしやすかったと突然私を立てます。そして、近くで彼の母の展示会をやっているから見るだけでいいから来てくれと言いました。一方的な彼の展開に混乱しつつも、母の展示会に向かいました。すると非常に体を弱くした母と、周りに小さな子供がたくさんいます。情に訴えながら寄付をせがまれました。

お礼を言わないガイド

先日に向かったチェム温泉のガイドに関しては、空いた口が塞がりません。
お昼ご飯を食べに入ったレストランで、彼はチキンを頼みました。すると会計のタイミングで私の支払いに彼の分を追加してきたのです。流石にこれはおかしいと言うと、「No food for me? You want to kill me?」という毅然とした態度を取ります。そもそも彼はお金を一円を持っていなかったので、やむを得ず私が支払います。特にこれといったお礼もなく、当然の態度でいることが鼻につきました。

チップに対する私の感覚

チップという概念に私が慣れていないので、そもそも規定の額以上にお金を払うことに抵抗があります。ましてや自分で稼いだお金でもないのに、僭越な振る舞いだと感じるからです。もちろん良いサービスをしてくれたり、求めたこと以上の提供をしてくれる人に対しては積極的にチップを上げたいと思えますし、実際に渡してきました。エジプトの時に話したように、チップは心から込み上げる感謝を代弁するものだと思っています。

ところがエチオピア以降、特にタンザニアではチップを目的に優しく接近してくる人が本当に多いです。本当に多い!

毎日、たくさんの人と仲良くなれると思って会話しますが、彼らは最終的にお金の話につなげてきます。その度に幻滅してしまいますし、断ってもお金をあげても気分が下がります。

しかし、この事実からタンザニアの人を嫌うのは早計です。タンザニアの経済面について、キリマンジャロ下山の時のツアーガイド、ハシムと語ったことを例に考えてみることにします。

タンザニアの苦しい経済状況


ハシム(タンザニア人)キリマンジャロのツアーガイド


ハシムはタンザニアで生まれ育ち、大学にも進学。元小学校の教員でした。しかし、教師の賃金は月に200ドル程度。(20年前)これでは子供を養うことができないと考えた彼は、ツアーガイドの道を選んだそう。今はこの私との一週間のツアー1回で200ドルほど稼げるため仕事に満足していました。

タンザニアの平均月収は1,259,891 TZS(7万8000円)です。(Average Salary in Tanzania for 2023. World salariesより)中央値がほぼ一致していたので、貧富の差は少ないものの、依然として低い水準であることが伺えます。

ちなみに日本の平均月収は36.9万円です。これでも欧米諸国と比べて低いと感じますが、タンザニアを遥かに凌駕する額ではありますね。

令和四年度, 国税庁

ハシムのようなツアーガイドは強靭な体力はもちろんのこと、豊富な登山経験と植生学の知識、英語が堪能であることが必要なエリートな仕事です。しかしそれでも日本円にして毎月10万円ほど。そんな彼のお客さんは基本的には海外のお金持ちです。全員が山に登るため1300ドル(18万円)の料金を支払っています。特に欧米から来る人は高いテントや食事を追加で注文したり、道中の荷物の管理、椅子や飲み物の手配などもお願いするため、2000ドルも払う人もちらほらいるそう。そんな“富豪“を相手にする彼が何を思うのか。彼の立場を鑑みて、そこまでは詮索することができませんでした。

白人と黒人、その間にいる私。まだまだ格差は広いと認めざるを得ません。
そのような環境に育てば、モシやダルエスサラームのような観光都市で外国人に対しておこぼれをもらいたいと思う感覚は自然と言えるかもしれません。
とりわけ私は日本人です。“アジアの中でも神様“のようなイメージを持っている彼らだからこそ、多少の無礼講を許してもらえると考えているのかもしれません。

自己中心から他者貢献へ

アフリカに来るまで、お金を他者に与えることはその額の多寡に関わらず忌み嫌っていました。お金は自分の経験のために投資したいし、人に渡すほど心に余裕がある人間ではありません。

しかし、私は将来、本当に助けたい(既にチップを自分から渡したような素敵な人たちのような)人に対して好きなだけ投資をできる人になりたいです。お金を渡すことで、アフリカに住む人たちが日本に対して良い印象を持つ。そして、日本でお金を落としてもらう。お金が巡り巡る場所を考えるなら、チップに対してもっと大胆になってもいいなと感じています。そして私が将来的になりたい姿になるために、今のうちに“自分の資産を少し削ってお金を渡す“ということに対して抵抗をなくす。そのための練習だと今は捉えるように頑張っています。

最後まで読んでくださりありがとうございます。お金に対しての私の考え方が少し緩くなったアフリカ旅に感謝の気持ちでいっぱいです。

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