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【リモホス】Club Saturno 第5話【リモート☆ホスト】

街を照らす東京タワー。
まるで蝋燭のように今夜も暖かく灯り始めた。

――TOKYO-Rの『Club Saturno』。
――開店前のフロア。

オーナーのクロノスに呼び出された5人のホストは、一体、何の発表があるのか、そわそわしていた。

クロノス「みんなに早めに集まって貰ったのは、お知らせがあってな」
環珠「お知らせって、なになに? 俺、予約してたサロンのトリートメント超急ぎで終わらせて走ってきちゃったぜ! それでも変わらず輝き続ける俺のエンジェルリング! リンリンリングヒュー!」

そんな環珠に対し、てん星がボソリとつぶやく。

てん星「急ぐならタクシーくらい使えばいいのに……」
環珠「あ、そっかぁ! 『ヘイ!タクシー』ってタクって来りゃよかったんだ!ついつい青山からダッシュしちゃったぜ! 走り出したら止まらない! リンリンリングヒュー!」
てん星「フフッ……それをバカというのでは?」
環珠「――へ?」
てん星「いや、失敬……何でも」

蔡久良と亜土夢がクロノスを急かす。

蔡久良「――で、クロノス、お知らせって何ぽよ?何ぽよ?」
亜土夢「まさに『H・K・P』!――『は』やく、『き』かせて、『プ』リーズ!」
環珠「やっぱりさー、開店前になかなか現れない桐野ちゃんがちゃんと来てるってことはさー、すっげー重要なお知らせなんじゃね? あ~、俺のエンジェルリング、マジリンリンリングだぜ!」
桐野「ああ……俺はちょうど近所でオイルの輸入業やってる人と会うアポがあったから、ついでに」
てん星「さすが、桐野ですね。決してブレない。どこかの天使の輪さんとは雲泥の違い…」
環珠「――え? え? それって俺のこと?」
てん星「フッ……どうでしょう」

また話が反れそうになるのを感じたクロノスは、本題に入った。

クロノス「お知らせというのは、みんなにあるイベントに参加して貰おうと思ってね」
蔡久良「――イベントぽよ?」

クロノス「ああ。我が『Club Saturno』もオープン以来、順調に進んできている。これもここにいる5人のおかげだ」
亜土夢「わぁ!まさに『M・M・H』!――『め』ちゃ『め』ちゃ、『褒』められたぜ! カモン!」

クロノスは説明を続ける。

クロノス「今度、『推しホスラストソンググランプリin TOKYO』が開催されることになった」
亜土夢「――なになに?『推しホスラストソンググランプリin TOKYO』!?」
蔡久良「それって、ホストが閉店前最後にその日の売り上げトップが歌う歌ぽよ!」
クロノス「ああ。ラストソングでTOKYOホストナンバー1を決める大会だ。皆にもぜひエントリーして貰いたい」環珠「するする、絶対するー! 俺のエンジェルリングがTOKYOナンバー1として光り輝く時が来たぜ!」
蔡久良「TOKYOナンバー1……つまり、ラストソングTOKYO模試1位を目指す……今までどんな模試でもナンバー1を取ってきたぽよ! これは受験しないわけにはいかないぽよ!」
亜土夢「俺も『Z・E・S』!――『絶』対、『エ』ントリー、『す』るぜ! カモン!」

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