【リモホス】Club Venere 第7話【リモート☆ホスト】
京都旅行二日目の朝6時。
季節が冬に向かっているからか、空はまだ薄暗い。
天狗で有名なくらま温泉の高級旅館に宿泊した『Club Venere』のホスト達。
部屋は全員個室だ。
昨日の出発が朝早く、相当疲れたのか、まだほとんどのホスト達がぐっすりと眠っていた。
――そんな中、一人、早起きをしている明星。
部屋で一人、スマホをチェックする。
画面に映ったのは、ペットホテルに宿泊中のペットのうさぎ、ラブちゃんのライブ映像だ。
明星「ラブちゃーん、おはようでちゅよ~。ちゃんと朝ご飯食べたかな~?」
旅行で唯一心配なことは、やはりラブちゃん。
そこで明星は、預かっている間の様子を24時間生配信してくれる高級ペットホテルを選んだ。元気に映るラブちゃんを見て、安心する。
明星「ラブちゃーん、今日の夜には帰るでちゅよー。待ってて下さいでちゅ~。早く帰って、モフモフしたいでちゅよ~。ラブちゃーーん」
画面越しにラブちゃんに手を振る明星。
そして、朝の儀式を終えたかのように画面を切ると……
明星「よし……朝風呂でも行くか」
明星は立ち上がると、タオルを手に取って温泉へ向かう。
――昨夜は宴会ルームで皆で京都料理に舌鼓を打ち、酒と皆の余興で盛り上がった。
その後、皆は温泉に向かったが、明星は行かず、部屋のシャワーですましてしまった。
でもせっかく温泉に来たのだ。
朝早くなら野郎どもは誰もいないだろうし、一人でゆっくりしっぽり温泉に浸かれる筈だ。
× × ×
「ふぅ……」
宿の自慢の露天風呂に浸かる。
ヒノキ造りの露天風呂は予想通り、誰もいない。まさに貸し切り状態だ。
うっすらと東の空に朝日が上り始める。周囲の紅葉に光が差し込み、幻想的な景色だ。
明星は思う。
やはり温泉は朝に来てよかった。
ここにうるさい金多やら愛抱夢やらがいたら温泉情緒も台無しだ。
もちろん輝石と入浴するなんてもっての他だ。
アイツといるだけで苛々する。
せっかくの癒し温泉もストレスフルになるだけだろう。
「ふぅ……気持ちいいな……TOKYOに戻ったら、優勝目指して頑張らないとな」
大の字になってゆったりと温泉に浸かりながらも、心では気合を入れる明星。
その時だった。
ガラガラガラと誰かが入ってくる音が。
――誰だろう?
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