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山陰の居酒屋で海の恵みをたっぷりと 奥出雲と北条砂丘の地ワイン

 山陰滞在時、夜ご飯に訪れた居酒屋。事前にお店のネット情報を見て、魅力溢れる海鮮メニューに興奮。ワインも置いているが持ち込みの可否を聞いてみると1本1,000円でOKということで2本持ち込み。良心的。気軽にBYO (Bring Your Own。お店へのワインの持ち込み) ができると、シーフードと合わせるワインの幅が広がり楽しい。お店も過剰にワイン在庫を抱える必要もなく(特に和食や居酒屋は日本酒や焼酎の仕入れで手一杯でしょう)、お客の持ち込みワインから新たなペアリングの発見があるかもしれない。お客もしっかりマナーを守れば、双方にメリットがあろう。持ち込んだのは島根県奥出雲ワインのソーヴィニョン・ブランと、鳥取県北条ワインのシャルドネのもの。山陰両県から1種ずつ。
 生ビールを飲みつつ今晩の献立をセレクト。シーフードは以下。

・鳥取鮮魚5種刺身盛り(1,980円)
・アジなめろう(780円)
・猛者エビ刺身3尾(980円)
・ボンベガキ(3,500円)
・イガイ酒蒸し(580円)
・たこのから揚げ(580円)
・カニみそ甲羅焼(680円)
・ヤリイカのアンチョビバター醤油焼き(680円)

ビールが空いたのでワインを抜栓。まずは酒質の軽めの奥出雲の白ワインから始め、中盤で北条ワインを開ける。

奥出雲葡萄園, ソーヴィニョン・ブラン, 2021, 2,640円

丹念に低温発酵させて造られる。香りはフラワリーでほんのりハーバル。果実味は穏やかでみずみずしい口当たり、酸味は中庸で的確。
(89/100)(8月12日)

北条ワイン, 樽仕込み, 2019, 2,420円

 地元で栽培されたシャルドネを使用。琥珀がかった色調。
 香りには酸化的ニュアンスを好意的にまとう、切ってしばらくしたリンゴのフレーバー。大らかな樽香はワインになじみ一体化。
 味わいには野太い、武骨な果実味。好気的な環境で醸造・熟成されたか、それでいてクリーンでブドウの風味をじっくりと引き出している。余韻も長く味わい深い。

 鳥取鮮魚5種刺身盛り。マダイ、ヒラマサ、ブリ、サーモン、カツオのたたきの5点盛り。奥出雲のソーヴィニョン・ブランに。いずれのネタにも寄り添う。相性: ★★★☆☆

 アジのなめろう。大葉の爽やかな香りにワインのほのかなハーバルなタッチが繋がり、そのままアジの磯の香りにも寄り添う。相性: ★★★★☆

 猛者もさエビ刺身。猛者エビは足が速く、獲れた港付近で消費される。こういう土地の食のお宝を見つけるのは楽しい。みずみずしい身を噛むと、ねっとりとした甘みが広がる。ワサビを添えるとシンクロ率がさらに高まる。
 奥出雲のワインに。エビの風味の甘みにワインの酒質がやや軽いか。ワサビをクッションにきれいに融合。相性: ★★★☆☆
 北条ワインに。エビの甘み、旨みに、ワインの武骨で野太い果実味が調和。ワインの酒質が強い分、生のエビの生臭さもしっかりと抑え込んでくれる。相性: ★★★★☆

 ボンベガキ。なんと一つ3,500円!みごとな大きさ。鳥取の天然岩牡蠣「夏輝」のなかでも、重量が500g以上あり、非常に大きな天然の岩牡蠣がボンベ牡蠣と呼ばれる。焼きで頂く。むちっと詰まった身からミルキーなコク、磯の香りがじんわり広がる。北条ワインに。樽熟成のシャルドネの野太い果実味と樽のニュアンスが海の恵みを包み込む。相性: ★★★☆☆

焼き上がってもこの大きさ。コルクと比べても大きい!

 イガイ酒蒸し。イガイは鳥取の海岸線の岩場に行くと見られる胎貝。網焼、バター焼、塩茹、吸い物、サラダなんにでも使われる。貝の旨み、磯の香りと滋味に、北条ワインの野太い果実味が調和。相性: ★★★★☆

 たこの唐揚げ。揚げられて香ばしい、タコの旨みに北条ワインの力強い酒質がバランス。相性:★★★☆☆

 カニみそ甲羅焼。甲羅にたんまりと乗って運ばれてきたカニみそ。カニの身もトッピングされている。新鮮で臭みのない味噌。ミソのクリーミーで滋味豊かなコクに、北条ワインの樽熟成の酸化的ニュアンスを含むシャルドネが絶妙に調和。相性: ★★★★☆

 ヤリイカのアンチョビバター醤油焼き。焼かれてギュッと凝縮したイカの風味に、アンチョビバターが重なりさらに風味が重層的に。北条ワインの滋味深く武骨でパワフルな果実味がバランス。相性: ★★★★☆

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