「自主プロジェクト」のススメ

こんにちは。

皆さんは、「自主プロジェクト」を行っていますか?

今日は、建築家が「自主プロジェクト」を行う事で、色々な発見や、気づきがえられ、設計業務にも良い影響を与えるのではないか、という事を書いてみたいと思います。

自身の例をご紹介しますと、私が編集している建築メディア「アーキテクチャーフォト」も、もとはと言えば、設計事務所勤務の傍らに始めた「自主プロジェクト」です。

そして、それに関連するオンラインショップ「アーキテクチャーフォトブックス」も、誰に頼まれたわけでもなく、自身で始めた自主プロジェクトです。

一般的に建築設計の仕事は、クライアントからの依頼を受けて設計が始まるという、「待つ」ことが求められる業務でもあります。
(積極的に営業をかけていくという方法がないわけでもないとは思いますが。。)

私個人の経験ですが、そのような依頼を待っている状況下で、なにかできないかな。自身が主体的に行動して何かをやったらどうか?と思うようになりました。

その中で始めたのが、私の場合「自主プロジェクト」の建築メディアでした。

もちろん、「自主プロジェクト」の内容は人それぞれでOKだと思います。より建築に関わる自主プロジェクトでも良いですし、隣接する分野、プロダクトやグラフィック、ファッションに関することをしてみても良いのではと思います。(ジャンルが離れているとその分違った視点を得られると思います。)

この自主プロジェクトでは、良い点がいくつもあります。

・自由な想像力の中で活動できる事による、ストレスの発散、
・今までと違う事をする事で、異なる分野の知識・視点を得ることができ、本業への良いフィードバックが得られる。
・自主プロジェクトから、新たな人脈や収入が得られる事もある。
等々。

です。

私の場合ですが、アーキテクチャーフォトブックスで、オンラインショップを始めた事により、初めて「モノを売る」という経験をしました。今考えるとこの「モノを売る」というのは、ビジネスの基本で誰しもが経験した方が良い事だなとも思います。

「モノを売る」となると、どのように、値段を決めればよいか、どのように紹介したら売れるのか、発送方法にはどのようなものがあるのか、梱包はどうすればよいのか、資格等は必要なのか、
何も分からない中で色々な事を考えたり、調べたりするわけです。それは凄い学びの機会でした。

とても強く記憶に残っているのは、ザハ・ハディドさんの作品集を販売する時に、「ドローイングや模型などの写真・画像も豊富に収められており、特に初期のドローイング・ダイアグラムはとても美しく、見ごたえがあります。」という一文を添えて販売開始したところ、一瞬で売れてしまった事ですね。

書籍の中の、どの情報にフォーカスし、どのように表現すれば、その魅力が伝わるのかということを肌で感じた瞬間でした。

この経験は、アーキテクチャーフォトで、情報を紹介する際にも非常に役に立っていると思います。
とても良い気づき、フィードバックを得られたと思っています。

私だけでなく、建築業界を見渡してみると、色々と自主プロジェクトから、道を切り開いた事例があることにも気づきました。

例えば、安藤忠雄さんの、勝手にプロジェクトを立ち上げて、ドローイング化し、発表・行政に提案してしまうという行為。
これも間違いなく「自主プロジェクト」ですし、その後、安藤さんは公共施設も数多く手がけていくわけですから、意味ある行動だったと言えると思います。

そして、長坂常さんの「フラットテーブル」。
こちらも今や、プロダクトして非常に注目をあつめ、名だたる店舗でも販売されていると思うのですが、実は、最初はこれも「自主プロジェクト」だったのでした。
スタートは、長坂さんが引き取ってきた、テーブルに凹凸があったため、エポキシを表面に流し、平らにしたことによります。それを、メディアなどで「フラットテーブル」として発表したことで、その後の色々な展開が巻き起こったわけです。
長坂さんは、建築だけでなく多くのプロダクトの依頼も受けておられるので、この「自主プロジェクト」も大きな、成果に繋がっていると言えると思います。

もちろん、「自主プロジェクト」が具体的に成果に結び付かない事も多々あると思います。でも、そこで得られた経験に注目してみれば、それはかけがえのないものであるのは、間違いないと思います。その新しい知識や経験を、どう生かすかは、自分次第だと思います。

私も、常に新しい「自主プロジェクト」を起こそうとアイデアを練っています。

皆さんも、日々の業務に加えて、ちょっとしたことでも良いので「自主プロジェクト」を始めてみては如何ですか?
思いもよらない、出来事や経験があり、道を切り開くキッカケになるかもしれません。

「自主プロジェクト」おすすめです。



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