建築家のホームページは、何のためのもの?

こんにちは。

今日の話題は、建築家のホームページについてです。
(ウェブサイトと呼ばれることも多いのですが、ホームページの方が分かりやすいかなと思いこちらの表記にしてみました。)

今・現在、ほとんどの建築家の方々が、自身の作品などを掲載するホームページを持っていると思います。

でも、このホームページですが、何のために皆さん作っているのでしょうか?そして、ホームページの視覚的なデザイン、そこに載っているコンテンツは、皆さんが、自身のホームページに求めている役割にあっているのでしょうか?

今日は、その辺を意識・整理する事で、自身の目的や状況にあったホームページを作る事ができ、情報発信ができるのでは?というお話です。

まず、最初に質問形式で書いた、ホームページをつくる目的ですが、ほとんどの方が、「仕事をそこから得るため」と答えるのではないでしょうか?
他には、「同業の建築家の方に自身の仕事を見てもらうため」という方もいるかもしれません。
建築業界では、クライアントではなく、雑誌メディアや同業者が、作品として評価したり、批評し合ったりしますので、そのためにホームページを充実させているという動機もあると思います。(私もそのような視線でもホームページを拝見する事が多いです。)

私は、仕事柄色々な建築家の方のホームページを閲覧していますが、上手くページデザイン・運営をしている方は、自身のポジションやスタンス、置かれている状況、そしてホームページを通して何を得たいのか、がハッキリしている人が多いように感じます。

例えばですが、、
「設立して間もない事務所で、ホームページから仕事を得たい事務所」と「設立して10年たちリアルな場での繋がりから仕事が得られている事務所」では、ホームページを作る目的も異なるし、その視覚的なデザインも異なってくるはずだと思います。

「設立して間もない事務所で、ホームページから仕事を得たい事務所」の場合、閲覧する人は、初めてその事務所を知る方の方が多いわけです。その人達に如何に、分かりやすく自身の仕事を伝えるのか、連絡するハードルを下げるためのデザイン上の工夫はされているのか、プロフィール等を充実させる事で、信頼感を伝えることができているか、ちょっと考えただけでもそのような項目が思いつきます。

「設立して10年たちリアルな場での繋がりから仕事が得られている事務所」の場合では、今までに仕事として繋がりのある方々が閲覧する機会が増えることも予想されます。そうなれば、すでに自社の事を知っている人がまた見たくなるようなコンテンツを用意する必要があると思います。また、リアルな場で仕事が得られているのであれば、ホームページ上で、仕事を得るためのある種営業の感じを減らすこともできるので、それが洗練されたデザインへとつなげたりといった事もできるかもしれません。(洗練されたデザインはブランドイメージの向上につながったりします。)

上記は、簡単な例ですが、自身がおかれている様々な状況を踏まえたうえで、ホームページをデザイン・運営することで、目的に対して最大限の効果を発揮できるのは間違いのないことだと思います。

ここで、以前、SNSに投稿して、かなり反響のあったお話をご紹介したいと思います。

建築業界だったら、名前を知らない方はいないと思われる、NAP建築設計事務所の中村拓志さん。この中村さんのサイト( http://www.nakam.info/jp/ )は、現在、非常に洗練されたデザインで、作品中心のページとなっていますが、約10年前の事務所開設当時のページデザインは、現在と全く異なるものでした。

もちろん、ウェブデザインの進化やトレンドもありますが、その開設当初のページのコンテンツには、中村さんが「建築ガイドをメール配信」してくれるゲストブックがあったり、中村さんが、自身の建築をクライアント目線で、分かりやすく要素ごとに解説してくれるページがあったりするのです。

この事実をみていて、私はこういう仮説をたてました。

中村さんは、事務所開設当時の、仕事が今ほど潤沢に無いだろう時代には、よりクライアントに寄り添った、クライアント目線のサイトを作る事で、仕事を獲得する事に戦略的に注力した。そして、仕事の実績が増えていった段階に入ったことで、より自身のブランドイメージを高める方向性のホームページデザインに戦略的に舵を切ったのではと。
(もちろん、私の仮説ですが、間違っていないのではとも思います。)

これは、上記した、自身が実現したい事や目的と、ホームページの役割が一致して、良い結果を生み出した、一つの事例と言えるのではないでしょうか。(もちろん、中村さんの才能・建築が素晴らしいのは大前提としてです。)

今日のテキストはいかがだったでしょうか?
先にも書きましたが、建築家の皆さんの、個性・強み・特徴は当たり前ですが、人それぞれです。
ですので、自身が実現したい事、ホームページをつくる目的、等を客観し、今の自分に最適化したホームページを作り上げることで、その効果を存分に発揮できるようになるのだと思っています。

今後は、ホームページのより細かい部分についても書いてみたいと思います。

引き続きどうぞ宜しくお願いいたします。




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