GA Japan 145号(建築と本特集)の二川氏と後藤の対話の「幻の後編」について
皆さん、いつもご覧いただきましてありがとうございます。
先日発売されました、GA Japan 145号(特集:建築にまつわる本の話)を読んでいただけましたでしょうか?こちらの特集ですが、大変恐縮ながら私も登場させていただいております。(安藤忠雄さん、隈研吾さん、藤本壮介さん達というそうそうたるメンバーの中に、、、。)
インタビュー形式の記事ですが、お話を聞いてくださっているのは、なんと編集長の二川由夫氏、つまり、紙の編集長とウェブの編集長の対話が実現している訳です。僭越ながら、この構図自体が現在の「建築メディア」を考える視点で興味深いと思いますし、内容も、二川氏のメディア観と私のメディア観をぶつけ合う内容になっておりまして。本当に読み応えがあると思います。
こちらでプレビュー記事も読むことができますので、是非ご覧ください。
この、GA Japan 145号ですが、発売して1週間くらいamazonでもベストセラー1位を記録していました。(とても注目を頂く企画に参加させていただき嬉しく思っています。) 現在も非常に売れているようですが、発売して時間も経ちましたし、皆さんにより興味を持ってもらうために、私のエピソードを書いてみようかなと思ったのが、本日の記事です。(でも、建築家の皆さんの今後の参考になる内容でもあると思っています。)
さて、やっとタイトルに戻ります。(前文が、長くてすみません。笑)
GA japan145号に収録していただいた、私のインタビューですが、全体を通して約1時間半~2時間くらい対話をさせて頂いたのですが、私の記憶では、その前半の内容が収められていると感じました。
つまり、その後ろ半分で語られたことは、GA Japanには掲載はされていないのです。(もちろん、それに対して意義があるわけではなくて、そのように編集されることで、本特集にフィットしたインタビューになっているのです。上手くまとめて頂きありがとうございます!)
「幻の後編」というのは、皆さんの気をひくためのキャッチコピーではありますが、(すみません。笑)この後半で対話させて頂いた内容も、常日頃から私が考えていたもので、建築家の皆さんの立場でも考えるところがある内容だと思っていますので、私の発言を思い起こしてみてメモ的に書いてみたいと思います。(二川氏にも色々な意見を頂きましたが、それは対話の中だけのものなので、ここでは記載はしません。)
その後編に語らせて頂いた内容、それは、一言で言えば、「建築家と編集者のコラボの可能性」です。私はプロフィールにも書いてありますように、組織や小規模な設計事務所での実務経験をした後に、ウェブメディアを立ち上げました。今は、大きなくくりでいえば編集者的な活動をしている訳です。そして、世界中の建築家のウェブや、活動・変化をウォッチしていると自負しています。その両方の立場を経験して社会の動きを見たなかで、最近考えているのが、上記の「建築家と編集者のコラボの可能性」なわけです。
常日頃、思っていたのは、紙媒体の雑誌に比べ、建築家自身のウェブサイトが充実していないこと、最初は、これは、建築家自身がウェブに力を入れていないからなのかな、と思っていました。もちろん、これは一因であるとは思っています。常日頃メディアに掲載されることで、自身のウェブで発信する必要がなくなるという可能性はあると思います。しかし、色々な状況を見ていく中で、最近思ったのは、「そこに編集者が介在していないこと」、「編集者の視点がないからではないかな」と思うようになりました。
建築家の建築的思考は非常に万能なものであると私は思っているのですが、他者であり、様々な建築家の仕事をフラットに見ている編集者の視点というのも、非常に特殊だと思うのです。
このようなことがありました。
弊サイトでは、ジョブボードという求人サイトも運営しているのですが、時々頼まれて、掲載するテキストをコンサルティングしたりもしています。
その経験で気づいたのは、「本当におもしろい活動やスタンスを持っているのに、自身がその価値に気付いていない。」ということなのです。
実際に私が、掲載事務所さんに、その部分をテキスト内でフィーチャーすることをオススメして、効果的に情報発信ができたと感謝された事も多々あります。
建築を設計するということは、ある種その世界に没入するからこそ実現されるものだと思います。しかし、そこにもしかすると、客観的視点というものが薄くなることもあるのかなと思いました。
ジョブボードの例も、局所的ですが、建築家と編集者のコラボレーション事例であると言えると思います。編集者の世界を客観視して、受け手にとっての価値を見出すという能力が建築家の役に立った事例だと思います。
そして、さらに私が語っていたのは、紙の編集者の知識やノウハウを、建築家とのコラボの中で、紙の中だけでなく様々な媒体で発揮してはどうかということ。建築家の個性を見て、対話した結果、それが書籍かもしれないし、もしかするとウェブかもしれない、様々なメディアを選択できる現代だからこそ、編集者の能力も、より生かすことができるのではないかと思ったのでした。
逆を言えば、建築家が、編集者の能力を活用できる時代と言えるかもしれません。例えば、自身のウェブサイトなどの媒体に、編集者をパートナーとして招き、その作り方や作品の見せ方、を対話しながら進めていく、そうすることで、自身の中だけでは生まれえなかった、革新的な表現が生まれるという事もあると思うのです。
ヘルツォーク&ド・ムーロンが初期作品で、アーティストのレミー・ザウッグ氏と協同していたのは有名な話ですよね。建物に使用される色彩や、アートワークだけではなく、計画の初期段階から、ザウッグ氏は、対話のメンバーに入っていたと聞きます。ヘルツォークはプリツカー賞受賞のスピーチの中でもその対話の重要性を語っていますね。
そのようなコラボの可能性が、建築家と編集者の間にも成り立つのではと、、。
そのような事を語らせて頂いたように記憶しています。
例えば、現在、こんな革新的なサイトがあります。
イギリスの著名建築家トニーフレットンのウェブサイトです。
なんと、全ての建築先品が、書籍のようにレイアウトされていて、閲覧できるうえに、PDFでダウンロードも出来てしまうという、ウェブサイトです。
このような情報の発信の事例が、建築家と編集者が組めばもっともっと出てくると思うのですよね。
以上が、「幻の後編」(勝手にそう呼んでます。笑)で私が語っていたことを思い出して書いた内容です。
如何でしょうか。私も色々と実践していき、建築家と編集者のコラボの良い事例がつくれればと思っています。
さて、すでに発売されている、GA Japanに掲載されたインタビューでは、私がウェブメディアを立ち上げる経緯や、その背景にある思想を存分に語らせてもらっていますし、それと並ぶように、二川氏の思想も語られていて、本当におもしろい事になっていると思います!!必読!!
手前みそですが、是非読んでみてください!!(笑)
amazonリンク↓
それでは、引き続きこの連載共々宜しくお願いいたします。
皆様に、有益な情報をご紹介できるよう活用します!