自律神経と出産
◆自律神経がどのように出産に関係するか
内臓の機能を支配する自律神経は、
交感神経と副交感神経の二つの神経系から成り立っています。
・副交感神経の働き
副交感神経は、通常、夜間のゆったりしている時に活躍する神経です。
体を緊張から解きほぐし、休息させるように働きます。
副交感神経が優位になると、瞳孔は収縮し、脈拍はゆっくりになり、血圧は下降して、体も心も夜の眠りにふさわしい状態になります。
出産においては、副交感神経が働き、リラックスしている中でホルモンバランスが整っていきます。
正しいホルモンバランスは能率的な陣痛を起こします。母
親がリラックスして、くつろいだ気分でいるときに分泌されるオキシトシンは子宮の収縮を調節します。
また、赤ちゃんと母親の双方にとって邪魔になる、
コーチゾルやアドレナリンという有害な神経ペプチド(ストレスホルモン)の放出は、副交感神経が優位になっていると抑えられます。
例えば、コーチゾルの血中濃度が上昇すると、出産の第一期が長引くことがあります。
アドレナリンの血中濃度の上昇は、第二期を長引かせます。
・交感神経の働き
交感神経は、通常、昼間の活動的なときに活躍する神経です。
交感神経が働くと、瞳孔が拡大し、心臓の拍動は速くなり、血管は収縮して血圧を上げ、体はエネルギッシュな状態になります。
これは、体の中に「戦うか、逃げるか、止まるか」という体の反応がすぐにできるように準備するためです。
本来、これらの反応は戦闘を行う場合に、体がエネルギーを効率よく回すために考えられた最強のシステムです。
しかし、出産のように、その状況が「戦う」ことも「逃げる」ことも選択できない場合、体は自然に「停止」を選択します。
野生のシマウマの出産を想像してみて下さい。
今まさにシマウマが出産しようとしている時に、ライオンにガブっと噛まれたら、どうすると思いますか。
また、交感神経が優位になっている時、防御に不可欠ではない消化器や生殖器、免疫などの器官へ続く動脈は閉じられてしまいます。
つまり、出産の場合には、交感神経が優位になると
赤ちゃんに送られる酸素の量が減ってしまうということです。
安心した気持ちを感じていると副交感神経が働く
さらに、自律神経は、物理的な刺激だけに反応するわけではありません。
精神的な刺激に対しても働きます。
安心した気持ちを感じていると副交感神経が働きますし、
強い恐怖を感じたとき、興奮したとき、はげしい怒りを感じたとき、緊張したとき、悩みや不安を抱えている時などは、それらに反応して交感神経が働きます。
つまり、イメージが体に影響を及ぼすのです。
特に、不安と恐怖は陣痛の痛みを増大させ、お産を長引かせます。
出産中、恐怖は交感神経系を過度に刺激します。
そのため、子宮口の周りの筋肉が引き締まってしまい、この固くなった子宮口を開かせるために子宮はもっと強く、もっと長く働かなければなりません。
そうなってくると、子宮内の緊張が高まるため、強い痛みを感じてしまいます。
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