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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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人間の身体は草食動物寄り?

前回からの続きです^^ (前回はこちら↓)

前回はわたしの中で以下の疑問がありました。
・肉食が良い、菜食が良いというのは個人差があるのでは?
・日本人には菜食が合っていても、他の国の方には合っていないのでは?

ですが、その疑問は、ある映画が教えてくれました。

それは『ゲームチェンジャー:スポーツ栄養学の真実』という映画です。Netflix(インターネットを使った動画配信サービス)で観られる映画ですが、たまたま菜食について調べていたときに気になり、家で試しに見ました。といっても、菜食や肉食に関する健康について調べ始めるのと同時に並行して菜食も始めたため、実際に映画を見たのは菜食を始めて1~2か月経ったくらいの頃でした。
(予告編の動画は以下から見られます)

こちらの映画はスポーツ選手が食生活を菜食に変えることでどのような影響があるか実際に検証した様子を撮影したり、菜食にどんな利点があるか解説したドキュメンタリーです。
なお、以降は映画の内容で印象に残ったところを4点だけ抜き出して紹介しますが、ネタバレが気になる方はご注意ください^^;

1. 人間の歯

一番目に印象に残ったのは人間の歯は菜食に向いていることです。人間を含む霊長類(サルの仲間)には肉食動物と同じように犬歯がありますが、その本数は肉食動物と比べると少ないです。

映画によると、霊長類の犬歯はどうやら肉を噛み切って食べるために使われるのではなく、他の動物を威嚇するときに使われているとのことです。例えば、ゴリラなどのオスは他のオスを威嚇するときに口を大きく開け、犬歯を見せて威嚇しています。実際、ゴリラは草しか食べていませんが、それでも握力は500kgを超え、背筋力は推定400kgなど、筋力が非常にあり、身体全体が筋肉でできていると言われています。

人間の場合、成人した男女の歯は親知らずを除くと28本の歯があります。ですが、肉を噛み切るための犬歯は4本しかなく、野菜や穀物を細かくしたり、すり潰すための臼歯が大部分を占めています。これは日本人だけでなく、他の国の人にも共通する歯の構造のようです。

2. 人間の目

二番目に印象に残ったのが、人間は三色視(赤、緑、青)で色を見ることができるということです。逆に肉食動物は二色(白、黒)しか色を見ることができません。これは、人間が自然の中から新鮮な野菜や果物を見つけるときに大きく役立ちます。

例えば、美味しそうなミカンの実を見つけるとき、ミカンの木の上のほうにあり、それらはたくさんの緑色の葉っぱで囲まれています。ミカンの実は黄色ですので、その色を目印にすればいともたやすく見つけることができます。いわばわたしたちの人間の目からは、緑と黄色のカラフルな世界が見えている状況です。

しかし、肉食動物の場合は、白や黒といったグレーの世界しか見えておらず、ミカンの実や葉っぱの色も同様に白や黒でしか見えません。そのため、もし、ミカンの実を見つけようと思えば、葉っぱの形とは異なる丸い実のような形を探すなど、色よりも形の違いで区別しなければならず、見つけるのが容易ではありません。

このようにわたしたち人間が3つの色を見分けることができるのは新鮮な野菜や果物を見つけるという意味では有利であり、その意味でも人間の目は菜食向きとも言えます。

3. 人間の消化機能

三番目に印象に残ったのが、人間の消化管(口腔、食道から大腸、肛門までの全体)が肉食動物よりも長いということです。映画によると、人間の場合は体長の15倍あり、肉食動物(例:ライオン)の場合は体長の4倍程度で、肉食動物と比べて人間は食べ物が体の中に留まっている時間が比較的長くなります。

肉食動物の場合、食べた肉が消化管を通っている中で腐敗することを防ぐためには、食べた肉が腸に留まっている時間が短いほうがよく、消化管が短くなる傾向があります。一方で草食動物は野菜や穀物などの消化には時間がかかるため、消化管が長くなる傾向があります。人間の消化管は肉食動物と比べると比較的長いので、どちらかというと草食動物寄りのようですね。

さらに映画の中で、動物由来のものを食べた場合と、植物由来のものを食べた場合への腸への影響について比較した説明もありました。動物由来のものを食べた場合に含まれる動物性タンパクは複数の炎症分子(Neu5GC、内毒素、ヘム鉄など)を含んでおり、炎症を引き起こす可能性がある、ということです。

具体的には動物由来のものを食べることで腸で消化している途中、腸内フローラを変質させ、結果として炎症を促進する細菌が増え、炎症を引き起こすようです。炎症は血流を悪くさせ、筋肉や関節の痛みを増加する働きを持っています。

一方、植物由来のものを食べた場合に含まれる植物性タンパクは炎症を起こさず、ミネラル・ビタミンも豊富です。また、抗酸化作用もあり、炎症を抑える働きがあるようです。

抗酸化作用についてよくわからなかったのでインターネットで調べてみると、人間の身体にある活性酸素を取り除いて酸化を抑えることを抗酸化作用というようです。

もう少し具体的に述べると、人間が呼吸するときに取り込まれる酸素の一部は活性酸素となりますが、この活性酸素は細胞伝達物質(視覚・聴覚・触覚などの神経からの情報や脳から指示される情報などの伝達)や免疫機能(細菌やウイルスから身を守る)としての働きを持っているようです。

しかし、活性酸素の量が多すぎる場合、外からやってきた細菌やウイルスだけでなく、わたしたち自身の細胞に対しても攻撃するようになり、老化やがん、しわ、しみ、糖尿病などの原因となることがあります。そのため、活性酸素の量は適度に抑える必要があります。

植物由来のものには抗酸化物質(ビタミンA、ビタミンC、カロテノイドなど)が含まれており、これらの物質が、活性酸素の発生を抑えたり、攻撃されたわたしたち自身の細胞の修復・再生を行なう働きを持っており、これらの働きが抗酸化作用、とのことです。

そのため、植物由来のものを食べれば、抗酸化作用を得ることができ、その作用によって老化やがん、生活習慣病からわたしたちの身体を守ることができるようです。

抗酸化作用についての参考URL(2021年7月17日時点での参考):
参考1:e-ヘルスネット 「活性酸素と酸化ストレス」
参考2:健康長寿ネット 「抗酸化による老化防止の効果」 

4. 血液への影響

最後に印象に残ったのが、フットボール選手の方に対して、動物性タンパク質を摂った場合と植物性タンパク質を摂った場合のそれぞれの2時間後の血液を採取し、血液の汚れ具合を見た実験です。

実験結果によると、植物性タンパク質を摂った場合の血液は透明で透き通っており、動物性タンパク質を摂った場合の血液は白く濁っていました。動物性タンパク質や動物由来の脂肪は血液が汚れやすく、植物性タンパク質や植物由来の脂肪は血液がほとんど汚れないようです。

わたしたちの身体を巡る血管には外側から順に、外膜、中膜、内膜という3つの層がありますが、内膜の層の一番内側に内皮というものがあります。映画によると、この内皮が血流を調節する働きを持っており、運動時など、筋肉や臓器が必要とする血流量に合わせて拡張することができます

しかし、内皮の働きが弱まると血管を自由に拡張することができなくなり、そのせいで血液が流れにくくなり、身体の動きに影響が出ます。これは、常に万全の動きを行なうプロのアスリートにとっては致命的なものです。この内皮の働きと食事内容には関係があるようで、肉食によって血液が汚れると、内皮の働きが弱まり、血管の拡張が難しくなるようです。

映画の説明だけだと、食事内容、血液の汚れ、内皮の働きとの関係性がよくわからなかったため、もう少しネットで専門的なところを深堀りして調査することにしました。すると、ちょうど内皮の働きを説明した記事がありましたので、引用いたします。

動脈硬化は、血管の一番内側にある内皮細胞の機能低下によって始まります。内皮細胞は、血流が速くなると、血管拡張物質である一酸化窒素(NO)を産生して放出します。すると、一酸化窒素は中膜にある平滑筋に作用して、その結果、平滑筋の緊張がゆるんで血管が広がります。
血管を広げる働きは、放出される一酸化窒素の量に左右され、一酸化窒素が不足すると血管は硬くなり、逆に十分に出ていると血管をやわらかい状態に保つことができます。
NHK健康ch:【血管老化の予防法】血管拡張物質「一酸化窒素」の働き



つまり、上記の説明によると、食事内容、血液の汚れ、内皮の働きには以下のような因果関係があるようです。

上記の左側が肉食の場合の因果関係で、右側が菜食の場合の因果関係です。比較してみると菜食の方が血液がサラサラになるので、それによって筋肉や臓器へいつでも必要なだけ血液を送ることができる、ということのようです。そのため、身体を動かしたり、頭の回転が必要な時には、菜食の方が万全に力を発揮できると考えることができます。

まとめ

このように人間の歯、目、消化機能、血液への影響を考えるといずれも、人間の身体は菜食向きであり、草食動物寄りであることがわかりました。

他にも色々と映画で説明していたことがあるのですが、この4点が特に気になっていたので、今回はこの4点について触れさせていただきました。なぜかというと、単に昔の人は野菜を食べていたというような歴史や伝承があっただけではなく、今の人の身体の構造自体が、草食動物寄りであり、それを実証したデータもあるということが、わたしにとって響いたからだと思います。

もし、身体の構造が菜食に適しているということであれば、肉食や菜食について個人差があるということでもなさそうですので、わたしが持っていた疑問はある程度解消でき、納得することができました。そのため、映画で教えてくれた事実は印象に残りました。

なお、映画では古代ローマの剣闘士の多くは菜食主義であり、筋骨隆々であったとか、オリンピックのメダリストにも菜食主義の人がいるとか、色々とびっくりする事実があり、この記事で触れられていない内容はたくさんあります。

また、時には植物性タンパク質ばかりではなく、動物性タンパク質を取った方がよいのではないかとお考えの方もいるでしょうが、映画の方で植物性タンパク質でも充分なタンパク質が得ることができ、健康面でも問題がないことの解説が詳しくなされていますので、もし、興味がありましたらぜひご覧ください^^

このようにわたしが持っていた菜食についての疑問を解消したことで、菜食の方が健康になりそうだと考えましたが、新たな疑問が浮かびました。
なぜ、現在は肉食が当たり前となり、一般に広まっているのか、ということです。この辺りについても、日本のいままでの肉食に関する歴史も調べてみることにしました。

次回に続きますm(_ _)m

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