能登大地震を体験してわかった本当に必要な避難グッズ、ベスト10

能登大地震を体験した私が、帰省先の実家から戻る前に、両親の命を守るために起こした行動は防災グッズを揃えることだった。

幸い、地震発生後の翌日には金沢経由で新幹線で帰れたが、その後、断水状態で暖房もない避難所生活が2日以上続いたとしたら・・・?

心も体も悲鳴をあげていただろう。

お正月の3が日の3日目は、家にある防災グッズが一通り揃ったリュックの中身を点検し、賞味期限が切れた非常食や水の入れ替えや、足りないものの補充を行い、最終的にリュックに入っている防災グッズを紙にリストアップして、リュックのポケットに入れた。

避難直後はパニック状態なので、リュックに何が入っているか一目瞭然にした方が、避難中に落ち着いて行動しやすいからだ。

そこで、能登半島大地震を体験したからこそ実感した、本当に必要な避難グッズ、ベスト10をあげてみたい。

能登半島大震災で実感した本当に必要な避難グッズベスト10

1.喉の渇きを潤し、手を洗う「水」

まず、水。
人間は食料がなくてもなんとか生きていけるが、喉が渇いた時に一滴でも喉を潤す水分がないと非常に厳しいことがわかった。

さらに、断水で用を足した後、洗面所で手を洗う水が流れない場合、ペットボトルの水があれば、それを使って手を洗うことができる。

幸い、地震直後に宿の人が500mlのペットボトルを何本も持ち切れないほど渡してくれたので、私も両親も避難先で水に困ることはなかったが、防災グッズには水は必須アイテムだと断言できる。

2.携帯非常用トイレ

避難先の小学校で最もストレスフルだったのが断水されたお手洗いで用を足す必要があったことだ。
100名以上の避難者が一気に集まる小学校のトイレは、避難直後から行列ができた。並んでみて初めてわかったのが、トイレの水が流れないこと。

みんな、小のみを便器に出して、拭いたトイレットペーパーは外のゴミ箱に捨てていたが、これが大だったら・・・?
幸い、大をもよおすことはなかったが、個人的には、携帯の非常用トイレを持っていたら安心だったと思う。

避難所には一晩明けた朝に仮設トイレが設置されたが、それでも断水状態には変わらないので、水に次ぐ必須アイテム上位としたい。

3.体温を保持する「貼るホッカイロ」(冬の場合)

今回は1月1日という真冬の北陸の石川県で起こったが、避難先の小学校の体育館は暖房が効いていないため、ホッカイロは必須だった。

これも、宿の人が持ち切れないほど渡してくれたので助かったが、貼るタイプのホッカイロではなかったので、体温を逃さないため、あらかじめ携帯していた貼るホッカイロを両親の首の下と背骨の下の方の2箇所に貼った。

このあと、幸いにも暖房の効く校長室に避難でき、宿の方から布団も借りることができた。
それでも本来は温かい布団の中で身体をゆっくり休める深夜から明け方の時間帯、校長室の部屋は体にとっては冷たい環境だ。

そんな中、貼るホッカイロのおかげで83歳の父と73歳の母も底冷えすることなく、無事に一晩を越すことができたと言える。

こんなわけで、貼るホッカイロも10個ほど入れておくと安心だろう。

4.安否確認を取り合う「スマホの携帯充電池」

地震発生直後から避難先家族の安否確認や公共交通機関の開通状況などを確認するために、避難先でのスマホの使用度は普段に増して多くなる。
いつ災害が起こってもいいように、常に携帯電池は100%充電した上で持ち運ぶことはマストだろう。

避難先の小学校では、充電用のコンセントが混み合っていたのが印象的だった。私は2回分の携帯充電池を持参していたので安心だったが、両親のスマホの充電が切れそうだったので、朝の1時から5時くらいまで起きながら充電していた。
次に充電したくて待っている人がいるため、自分の分が充電し終わったら、すぐに後の人にコンセントを渡す必要があったからだ。

避難所で1泊分は充電できなくても支障ないよう、最低2、3回分は充電できる容量の電池を持っていると良いだろう。

5.防災頭巾

防災頭巾は地震発生直後に被るだけではなく、余震が発生した時、脆くなった壁や天井、そして、窓ガラスなどが壊れる時に頭を守るために必要だと感じる場面が多かった。
いつ来るかわからない余震だが、来た時に頭が無防備なのが一番危ない。
防炎でクッション性のある防災頭巾がベストだが、ないなら、フード付きのパーカーやコートがあると良いと思う。

6.軍手

「危ない!」と思わず冷やっとした瞬間がある。
それは、携帯の電池を充電しようと、避難先の小学校の校長室の壁に備え付けのコンセントに充電用のコードを差そうとした時、コンセント付近の床にガラスの破片が飛び散っていたのを目にした時だ。
「なんでこんなところに・・・?」
上を見上げると、壁に飾ってあった歴代の校長の写真立てが床に落ちて飛び散ったガラスの破片だと分かった。
ガラスの破片は細かくて透明なので、知らずに触っていたら、指を切るところだった。
そこら中に飛び散ったガラスの破片から手を守る時に必要なのが軍手。
災害直後に軍手をはめることは難しいかもしれないが、避難先での安全確保のために一人一個はあったほうがいいと感じた。

7.飴(糖分)

避難先に到着した時間帯がちょうど夕食前の5時半頃だったこともあり、避難する際に持ってきたお土産のお菓子類があったことは安心感につながった。

避難先に食料が届き始めたのは夜7時半くらいだったが、一日一食、もしくは食べなくても大丈夫な私はともかく、「人間は一日三食食べるもの」という思い込みで生きてきた母は心細い顔をしていた。

そんな中、飴でもミントでもあれば、たとえ長時間にわたって食料が届かなかったとしても、エネルギーの確保ができる。

特に、ミントは、口に入れた瞬間に清涼感が広がり、先が見えない、ともすると鬱々としがちな避難所での時間を爽やかにしてくれるだろう。

8.サランラップ

避難先が七尾温泉だったこともあり、付近の温泉宿やコンビニエンスストアから続々とお菓子や食料が届いたのは本当にありがたかった。最初はお菓子や菓子パンだったが、その後、温泉宿のスタッフの方が握ってくださったのだろう、温かいおにぎりが大きなトレーに並べられて運ばれた時に困ったのが、おにぎりをどうやって受け取るかということ。

避難所は断水状態だったので、手を洗うこともできず、お皿もなければお箸もフォークもない。仕方なく、ティッシュで受け取ったが、おにぎりのご飯粒がティッシュについてしまい、残念なことに。

この時、「サランラップがあれば・・・」と思ったものだ。

さらにこの後、フレッシュなイチゴやみかん、そして、地元のベーカリーのような
お店から焼きたてのようなアップルパイなども運ばれてきたが、サランラップさえあれば問題なく受け取って食べることができたと思う。

更に、後で知ったのだが、サランランップを身体に巻いて防寒することもできるようなので、できれば50メートル近い大きなサランラップを用意しておくと良いだろう。

9.現金

非常時だからこそ、現金がないと焦る。
宿のスタッフの声がけで、11階から4階に集合したが、宿から緊急避難先に移動することがわかった時、お財布を部屋に置き忘れたのを思い出し、取りに行くことを決めた。

その時、「命とどっちが大切なんですか?!」と宿のスタッフの人に真剣に怒鳴られたのを覚えている。

しかし、災害時を狙った空き巣被害も発生することが脳裏を過ぎり、自己責任で取りに行こうとしたが、宿のスタッフの方が前後について2名で付き添ってくれた。今振り返ると申し訳ないことをしてしまった。
この場を借りて、宿の方に心からお詫び申し上げるとともに、あの時、付き添ってくれた2名のスタッフにこころから深く感謝しています。

これを教訓に、お財布はいざという時にすぐに取って避難できるよう、家の中で置き場所を決めておこう。現金の目安としては千円札10枚、小銭1,000円分くらいがあると良いと思う。

10.防災避難用リュック

最後に、1から9まで取り上げた避難グッズをまとめて入れる防災避難用リュックを用意しておくことをお勧めする。
災害時にとっさに持ち運んで避難できるように、取り出しやすい場所に置いておくのもポイント。
そして、避難先で必要なグッズがすぐに取り出せるよう、リュックに入れてある避難グッズをリストアップして一目瞭然にしたメモをポケットに入れておいた方がベターだと思う。

以上、私が能登半島大地震で得た経験から必要だと実感した防災避難グッズでした。
これを読んでくださった皆さんのいのちの安全に少しでもお役に立てたら嬉しいです。

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