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忘れなの花束 (西條エリ子)。

西條エリ子の歌う「忘れなの花束」。野村俊夫作詞、古賀政男作曲で、古賀にとっては第二の黄金期であるテイチク専属時代に書かれた一曲です。彼は移籍後に文芸部長という役職を得るのですが、まず最初に取り組んだのが、関西の中レーベルで東京に進出したばかりにテイチクを如何に近代化するかでした。歌手や演者の陣容を強化したり、映画館に空電報を打ったり電話をかけて「テイチクの○○さ〜ん」とアナウンスをさせたりと、涙ぐましい努力を重ねたのですが、一番効果があったのが日活映画との提携です。映画の主題歌を古賀政男が手掛け、また日活側も積極的にテイチクを利用し、星玲子、島耕作、杉狂児、小林重四郎などの専属スター達も流行歌の吹き込みに参加するなどして、大きな相乗効果を上げましたが、その中での徒花とも云うべき人が専属女優の西條エリ子でした🎬。

「忘れなの花束」は映画主題歌ではなく、女優に歌わせてみようと云う企画で書かれた一曲ではないかと思います。作詞は福島県出身の野村俊夫が担当、歌は二番構成で前奏にはオーソレ・ミオの旋律が混じった、南欧風の和製タンゴ歌謡になっておりますが、聴いて驚き。其のメロディは後に由利あけみが歌った「南欧情歌」と同一であり、更に其の後は二葉あき子の「なつかしのヴェノスアイレス」に生まれ変わっています。西條は松竹楽劇部出身であり、かのターキーこと水の江瀧子の一期後輩でした。美人の娘役として長く活躍したのですが、同性愛者の気があったのか同じ松竹の男役の増田富美子と突然失踪するなど、色々なスキャンダルを起こしていたとの事。悪評が目立ったのか、いつしか芸能界から姿を消しました。A面は杉狂児とマリ・イボンヌの「僕のラブレター」です😀。

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