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街の灯 (淡谷のり子)。

今、朝ドラ「ブギウギ」が好評を得ています。主人公の笠置シヅ子と対となる存在として描かれているのが淡谷のり子(劇中では茨田りつ子名義)で、事実上ドラマではもう一人の主役を張っております。その淡谷ですが、代表曲とされる「別れのブルース」が出た昭和12年の時点で、既にデビュー7年目だった事を知る人はどれだけ居るでしょうか。それまでの彼女の無名曲の中から今夜は「街の灯」を。濱田廣介作詞、杉田良造作曲で、題名が示す通りチャップリン主演映画「街の灯」の日本側で書かれたアピールソングです。無声映画が終わりを告げる中でチャップリンが製作した此の映画は、大都会に生きる放浪者と盲目の花売娘の交流をハートフルに描いており、今もなお世界の何処かで上映されているとか。出演はチャップリン、バージニア・チェリル、ハリー・マイヤーズ等🎬。

淡谷のり子に「街の灯」と云う歌は2種類あります。映画の日本公開前の昭和7年5月にチャップリンが来日したので、早速それに合わせて童話作家の濱田廣介が作詞、そして古賀政男が作曲し、淡谷が歌って発売。ところが直後、チャップリンと会談する予定だった犬養毅首相が殺害された“五・一五事件”が発生。チャップリン自身も狙われていた事が判明し、彼は恐れをなして急遽帰国してしまいました。その2年後漸く「街の灯」が日本公開される事になり、再び歌詞はそのまま、作曲は古賀が退社したので代わりに杉田良造が担当して吹き込まれたのです。メロディは三番構成で、古賀盤よりもスマートで哀愁に満ちており、寒空の下を流離う放浪者と、街角に立つ花売り娘の悲しみが歌われておりました。A面は川畑文子の歌う劇中曲「花売娘」で、昭和9年早春に発売されています😀。

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