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東京セレナーデ (二村定一)。

二村定一の歌う「東京セレナーデ」。時雨音羽作詞、佐々紅華作曲で、昭和初期に多く書かれたシティソングの一つです。当時のビクター邦楽新譜には、佐藤千夜子&西條八十&中山晋平による新民謡や抒情歌、そして二村&時雨&佐々のシティソングという、二つの売れ線流行歌がありました。たとえば「君恋し」が流行れば「東京行進曲」が場外ホームランと言った具合で、一つのレーベル内でも激しいヒット合戦が展開しており、世は昭和歌謡史最初の黄金時代へと突入します。佐々紅華は、一つの楽曲を三味線伴奏とジャズ伴奏に分ける事を好み、現に「浪花小唄」は両面が大ヒットして、全国に売れてゆきました。他にも「都会交響楽」「金座金座」「モダン節」「銀座セレナーデ」等、A面を邦楽調、B面を洋楽調にして吹き込まれており、前者は殆ど藤本二三吉が担当しています🎼。

「東京セレナーデ」は三行計四番から成る、軽快かつシンプルな歌で、前奏間奏後奏全て同一のメロディとなっています。浅草、銀座、神田、新宿と順番に歌われて行き、楽器を変えて2コーラスの空伴奏が入っており、シロホンやベース、サックスが良い味を出していました。二村定一が30歳の時の録音で、彼にとっては最も歌手としての最盛期のナンバーには違いありませんが、曲としては同じ顔触れで書かれた「金座金座」等と似ているのか、それで大した売上には結び付かなかった様です。A面は先述した様に藤本二三吉が三味線調で歌っておりました。さて、タイトルにある「セレナーデ」は日本語では小夜曲と書くのですが、今でも死語にならないのは其の言葉の持つ流麗な響にあるのでしょうか。他にも「新宿セレナーデ」「裏町セレナーデ」と、挙げればキリがありません😀。

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