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銀座恋しぐれ (小谷サユリ)。

小谷サユリの歌う「銀座恋しぐれ」。鹿山映二郎作詞、柳澤志乃夫作曲とありますが、小谷は彌生ひばり、柳澤は竹岡信幸の変名です。新宿ムーランルージュで歌っていた彌生は、キングに入れた「ララ東京」を皮切りに「街の日暮れ」「唄え想い出」などを録音。更に松竹楽劇部に属して少女歌劇のステージに立つなどして活躍し、歌手としても幾つかのレーベルにも進出して持ち歌の数を増やしました。しかしそれに前後して変名も使って吹き込んでいた事を知る人は、当時であっても極々限られていた事でしょう。此の歌を手掛けたオーゴンレコードは元々はニッポンレコードと云って、ラベルの鳳凰がトレードマークでした。大ヒットした藤山一郎の「酒は涙か溜息か」の模造盤を製作して、日本史上初の流行歌盗作裁判を起こされると云う、色々と曰く付きの会社でもありました🏙️。

「銀座恋しぐれ」は淀んだ暗い感じのマイナーテンポのメロディ。歌詞に🎵雨の銀座の薄情け…と有る様に、小雨に濡れ行く銀座の街角がしみじみと歌われております。四番構成で、伴奏はギター、バンジョー、アコージョン、鉄琴、ピアノ、シロホンなどで、雰囲気的に同時期の千振勘二や長津彌らの楽曲と似通った作り。まだデビューして間も無い頃の彌生ひばりに歌声は可憐にして伸びやかであり、マイナーであっても手を抜かずに歌っている姿勢に好感が湧きますね。彼女はオーゴンには「旅芸者の唄」「濡れて嬉しや」など数曲を小谷名義で吹き込んでいます。ただいずれも蓄音機店ではなく、夜店などで廉価盤として流通したので、残念ながら殆ど知られる事はありませんでした。裏面は芸者歌手の桐よし定菊の歌う「銀座恋しや」で、レコードは昭和7年に発売されています😀。

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