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空の行進曲 (松平不二男)。

松平不二男の歌う「空の行進曲」。河野達郎作詞、坂田義一作曲で、キング時代の松平晃が入れた内の一曲です。音楽学校在学中の昭和7年、日東レコードから「夏は朗らか」でデビューすると、彼はあらゆる芸名を用いてタイヘイ、テイチク、パルロフォンと各社に出没し、その多忙振りから果たしてどのレーベルで使用する名前だったか分からなくなる程でした。ポリドールで吹き込みを開始すると、その傘下にあったキングでも歌う様になり、ここで初めて松平姓を名乗りますが、下の名前は晃ではく不二男でした。また歌詞カードには身内の男性の顔写真を使う等、学校にバレない様にカモフラージュを行う等の工夫も忘れなかったとか。キングでは「島で一夜を」を手始めに「口笛吹いて」「旅の夜船」「椿咲く島」等、私の知る限りですが延べ13曲もの録音を残しました🎙️。

「空の行進曲」は、そのタイトルが示す様に遊覧飛行をテーマにしたレジャーソングですが、日本に於いて飛行機利用が民間レベルで普及するのは戦後になってからの事。戦前はとても庶民には無縁の乗り物であり、一体どの層を意識して書かれたかは分かりません。三番構成で滑らか前奏が大空を舞っているかの様な爽快感を含んでおり、続く松平の歌声はまだゴニョゴニョした感じながら朗らかさに溢れています。それにしても三番に有る🎵男度胸のぶちまけどころ…とは、実に印象深いフレーズであり、スカイダイビングの歌としても通用しそうなセンスを感じました。作詞の河野達郎は他社では“河野たつろ”と名乗り、また童謡詩人としても活躍し、流行歌では四家文子の「たそがれて」や丸山和歌子の「どうにかしてよ」を書いています。レコードは昭和8年春に発売されています😀。

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