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豆の枝づる (男女声独唱)。

新小唄「豆の枝づる」。時雨音羽作詞、佐々紅華作曲で、ラベル表記では男女独唱となっておりますが、うち男性の方は二村定一である事が明らかになっております。舞踊小唄調の雅な一曲で、佐々が得意としたジャンルでもありました。昭和3年以降、ビクターで「君恋し」「浪花小唄」など数々のヒット曲を重ねていた彼等によって、同社一強の時代が訪れた事は過言ではありません。しかし水面下では不協和音というか、綻びがあったのでしょう。時雨と佐々は移籍が決まり、二村も時の日本ビクター社長のガードナー氏から好ましく思われていなかったとか。昭和5年発売の「東京セレナーデ」を最後に、三人はコロムビアへと移るのでした🌃。

「枝の豆づる」は粋な三味線のリズミカルな撥さばきからスタート。途中から軽快なシロホンがと撥が合いの手を入れて歌になります。一番は女性歌手、二番は合唱、三番を二村が歌い、四番でまた合唱と云う流れ。声からして、女性歌手は天野喜久代かと思いましたが、もう少し声が細いので恐らくは別人でしょう。歌詞の内容は、人の恋心を辿る様に伸びてゆく蔦に喩えており、そこへ合唱も交えてヨイショヨイショと囃し立てると云う、如何にも御座敷で一杯機嫌で歌う様な楽しい出来でした。此の歌で二村の名前が伏せられた理由は不明ですが、もしかしたらビクターとの契約が完全に切れていない状況だったのでしょうか。その辺の事情は気になる所です💬。

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