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あたし大人 (平井英子)。

平井英子の歌う「あたし大人」。佐伯孝夫作詞、鈴木静一作曲で、長らく童謡歌手として活躍して来た、平井の記念すべき流行歌でのデビュー曲でした。大正7年1月東京市に生まれ、幼少の頃より音楽の勉強を始めた彼女は、10歳を前に作曲家中山晋平の目に叶って師事する運びとなります。当初はヒコーキレコードからデビューしましたが、やがて日本進出したビクターに中山共々迎えられ、童謡歌手として最初の黄金時代を迎える事に。「あの町この町」「兎のダンス」「證誠寺の狸囃子」などの定番曲の他、佐々紅華作曲の「黒ニャゴ」「あめや狸」と言った喜歌劇寄りのナンバーも多く歌い「茶目子の一日」は伝説的な録音として後世に知られております。また唱歌の「村の鍛冶屋」「汽車」等をジャズバンドをバックに入れる等、童謡歌手の枠に捉われない活躍を見せました🎼。

「あたし大人」は流行歌転向第一曲として制作され、佐伯孝夫の詩に、若手作曲家で後に夫となる鈴木静一がメロディを付けました。当時19歳になったばかりの平井英子は、はち切れんばかりの可憐な歌唱であり、所々で見せる“う〜ん”や“アハハッ”の笑い声が最高に可愛く、意図した演出か否かは不明ですが、全く嫌味さを感じません。特に後奏が終わった後の“アハハッ!”には、何とも胸射抜かれる事受け合いです。歌は二番構成で、伴奏はピアノ、フルート、トランペット、サックス等のフルバンド。イントロやバックに現れるキラキラした鉄琴の音色、これは乙女心を現す際の効果音として通用しており、今も昔も定番の手法と言えるでしょう。此の様な甘く可愛い歌が発売出来たのは奇跡に他ならず。ひょっとして検閲官は、平井英子が大好きな大きなお友達だったのかもですね😊。

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