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君と行くアメリカ航路 (灰田勝彦・暁テル子)。

灰田勝彦と暁テル子が歌う「君と行くアメリカ航路」。此のタイトルの歌謡曲は1950年代に二曲あるのですが、此方は佐伯孝夫作詞、佐々木俊一作曲で、同名新東宝映画の主題歌でした。本作品は赤坂長義原作で、戦前は日活で活躍した俳優の島耕二が監督を務め、出演は風見章子、田崎潤、香川京子、斎藤達雄など。主題歌を歌う灰田勝彦も本人兼バーテンダー役で二役を演じています。物語は数十年振りに帰国したデザイナーと画家の卵の交流を描いたもの。一時間半程度のモノクロ映画ですが、一部のみカラーになっていたとか(尚、此のカラーパートは映像が現存しておらず、音声のみが残されているそうです)。戦後も数年すると「憧れのハワイ航路」や「アメリカ通いの白い船」など、海外への憧れを描いた歌や映画が続々と製作されたのですが、本作もその一つだったのです🎬。

主題歌はブラス陣の華やかなファンファーレからスタート、すぐ歌に入り一番を灰田、二番を暁が歌い、三番がデュエットと云うお決まりの構成。間奏には「アロハ・オエ」が少し現れ、ビブラホンとサックスの甘いサウンドが聴き物。囁く様なハイカツの歌声と、やや演歌風でパワフルな暁の歌唱の対比が面白く、晴れ晴れとした楽しい航海が浮かんで来ます。佐々木の書く曲はお世辞にもバタ臭いとは言えない部分もありますが、本曲では佐野鋤のアレンジもあって海外への憧れを誘う、幸福感溢れる歌に仕上がりました。さて私が此の歌を知ったのは17歳の頃で、遠方の放送局の懐メロラジオ番組の凄まじい雑音を我慢しての愛聴だったのを思い出します。裏面は灰田がソロで歌う「カクテル・ルンバ」で、ファンの間では非常に評価の高い一曲。レコードは昭和25年夏の発売でした😀。

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