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ノモンハン櫻 (伊藤久男)。

5月11日は「ノモンハン事件」勃発から数えて85年目です。ノモンハンとは満州西部、モンゴルとの国境を流れるハルハ河の一帯を指し、其処には小高い幾つかの丘と草原が広がっております。街がある訳でもなく、地下資源が存在している訳でもありませんが、当時のソ連と云う存在は大日本帝国にとっては脅威であり、満州守備に当たる関東軍将兵らは常に緊張下にありました。張鼓峰事件やカンチヤーズ事件等、ソ連側の国境侵犯に伴う紛争は増加の一途を辿り、遂に昭和14年5月11日にノモンハンの草原にて最初の戦闘が発生。当初はやや関東軍有利ながらも、ソ連軍は撤退と反撃を繰り返すうちに戦力が増強されて行き、戦車や大砲を多数動員した事が功を奏して関東軍の損害は目に見えて増加。夏には大軍を動員した大激戦に発展し、その死闘は9月まで続くのでした🔥。

前置きが長くなりましたが、此の「ノモンハン櫻」は戦いに散った勇士らに思いを馳せると云う内容であり、野村俊夫作詞、平川英夫作曲、戦時歌謡の歌い手として大活躍していた伊藤久男が歌いました。マイナー調の無念を噛み締める様なメロディ、重いサウンドとなっています。書いたのが古関裕而や竹岡信幸ではなく、ポップス調流行歌を得意とした平川英夫と云うのも時代を感じさせます。伴奏はアコーディオン、ラッパ、オーボエ、バイオリンなどが使用され、落ち着いた旋律ゆえか春浅く肌寒い古戦場が浮かぶ様な編曲でした。時は太平洋戦争真っ只中、南方に注目が行く中でどうしてノモンハン事件の歌が企画され録音されたかは不明です。その太平洋での戦況も悪化していたので、目を逸らして過去の戦を振り返って戦意を新たにしよう…と云う思惑もあったかも知れません🤨。

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