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陸軍記念日を祝ふ歌 (陸軍戸山学校軍楽隊)。

今日3月10日は、嘗て陸軍記念日と呼ばれた日です。と云う訳で岡田國一指揮、陸軍戸山学校軍楽隊による「陸軍記念日を祝ふ歌」を。陸軍省新聞班作詞、山田耕筰作曲で、同記念日制定30年を記念して書かれました。日露戦争に於ける一大決戦となった奉天会戦は、明治38年2月21日から3月10日までの18日間に及び、大山巌元帥の日本軍24万人と、クロパトキン将軍のロシア軍36万人が激突した総力戦でした。戦力は日本軍の方が相手の三割も低く、その上疲弊や消耗も極めて激しいものがありましたが、ロシア側も兵站の都合や司令官の誤判断もあって、主戦力が健在のまま奉天より後退。3月10日に街は陥落し、首の皮一枚のところで日本軍は辛勝を収めました。ロシア軍との地上での勝利を記念して、この日は以降40年に渡って「陸軍記念日」となったのです🎌。

制定30年を迎えつつある中、記念歌として二曲用意され、レコはコロムビアから出る運びとなりました。作曲は共に楽壇の重鎮である山田耕筰、作詞は「大陸軍の歌」を北原白秋、そして「記念日の歌」の方は陸軍省新聞班が手掛けています。恐らく軍内で公募した歌詞を載せたのでしょうか、荘厳で華やかな感じのあるA面よりも軽いタッチの曲となりました。三番構成で、短めの前奏の後で合唱に入ります。どこか校歌の様な覚え易いメロディで、陸軍の使命を歌う中で所々に“バシン!バシン!”とシンバル音が聞こえて、強烈な印象を与えていました。陸軍軍楽隊は数々の録音を残しましたが、山田耕筰作曲によるこの歌はスマートで洗練された仕上がりであり、従来の陸軍軍歌にはない格好良さが溢れております。レコードは記念日に間に合う様に、昭和10年2月に発売されました😀。

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