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弾雨を衝いて (伊藤久男)。

伊藤久男の歌う「弾雨を衝いて」。高橋掬太郎作詞、古関裕而作曲で、30年前に発売された「軍歌戦時歌謡大全集」では、映画主題歌編に収録されておりました。然しラベルにはその記載がありませんので、此のレコードは映画公開終了後のプレスかも知れません。明治43年に福島県中部に位置する本宮町の富農の家に生まれた伊藤久男は、子供の頃に音楽に目覚めて、ピアノに夢中になるなど将来の片鱗を感じさせておりました。長じて家業を継ぐ為と称して上京し、先ずは農学校に入ります。時代は昭和の御代へと移り、街角からは流行歌が溢れ出す中で元より音楽が好きだった久男は歌手になる事を決意し、無断で中退して帝国音楽院と云う学校へ入学。此処で知り合ったのが古関金子と云う声楽家志望の女性であり、その夫である古関裕而と出会えた事で運命が大きく変わるのでした🎼。

昭和12年夏、盧溝橋事件に端を発した戦火は拡大を重ねて行き、国内では多くの若者や働き手の元に赤紙が届き始めました。早速、此の戦い=日華事変を題材にした歌や映画が続々と現れ、此の「弾雨を衝いて」もその一曲。資料では松竹制作の短編映画「さらば戦線へ」の主題歌とあり、監督は清水宏が務めて、出演は笠智衆、日守進一など。同年8月24日に公開されております。主題歌はお馴染みの古関裕而作曲で、シリアスで臨場感溢れるメロディとサウンド。奥山貞吉の編曲は遊び心あるもので、伴奏には機関銃の発射音や砲弾の着弾音がドラムやスティックで再現されており、聴く人を飽きさせない作りです。此の時のドラマーは田中和男でしょうか、主にジャズで活躍したバンドマンでして、当時の流行歌の打楽器担当者として叩きまくりました。昭和12年秋の発売です😀。

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