見出し画像

私のリズム (淡谷のり子とコロムビア・リズム・ボーイズ)。

淡谷のり子とコロムビア・ナカノ・リズムボーイズの歌う「私のリズム」。柏木晴夫作詞、仁木他喜雄編曲、原曲はゴールド・シュタインが20年代に書いた「ホノルル・ブルース」と云うナンバーです。昭和5年にデビューした淡谷のり子は、序盤からジャズソングやシティソングを歌う機会に恵まれまして、早くも「夜の東京」や「ラブ・パレード」がヒット。コロムビア移籍後も「嘆きの天使」「二人の恋人」と云った向こうでもお馴染みのナンバーを入れており、次第に流行歌よりもバタ臭い曲がレパートリーを占めて行きました。そして彼女を飛躍させた歌手の一人が中野忠晴であり、昭和9年には自らが率いるリズムボーイズに淡谷を加えて「六月の唄」を録音。数ヶ月後には中野ではなく彼女をリードボーカルにした「十月の唄」を入れる等、新たな試みを次々と行いました🎙️。

「私のリズム」はその第二弾として吹き込まれ、中野は柏木晴夫の名前で歌詞を提供しました。原曲の“Honolulu Blues”は1927年にレッド・ニコルス&ジミー・ドーシーらの参加したバンドのレコードが出ていますが、南国調の原曲よりも活気ある編曲です。Aメロは殆ど淡谷が歌い、途中からリズムボーイズらのコーラスが花を添えており、”ボンボンボン…“と云うベースを真似た声色は、黒人四重唱団ミルス・ブラザーズを意識したものです。柏木=中野の歌詞はとてもロマンティックであり、愛の巣に憩う恋人同士の掛け替えのない一時を甘く描きました。仁木他喜雄の編曲はいつもながら秀逸であり、間奏の一部に「アロハオエ」を含ませたり、またミュート・トランペットやスティール・ギターなどの使い方が絶妙であり、飽きの来ないサウンド。裏面なのが勿体ない程です😀。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?