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「神戸裏山ハイキングの歌」 (林伊佐緒&ミス・タイヘイ)。

一日ずれてしまいましたが、先日1月30日は作曲家服部良一の30回目の命日です。85年に渡る生涯を送り、数千曲を世に送り出した稀有な音楽人にして、クラシックやジャズで培ったセンスをベースにポップス歌謡をメジャーにした第一人者でもありました。其の彼がメジャーな人気を勝ち得たのは、やはりコロムビア専属になって以降…と云うのが正しいのでしょうが、其れまでに5年以上に及ぶ下積み時代があり、既に多くの楽曲を発表していました。24歳の時には地元関西のレーベルのタイヘイに入社し、黒田進や渡邊光子といった有能な歌手らと組む事で其の名前は徐々に知られる様になっていたのです。そこで今夜紹介するのは、其の彼が上京後に古巣のタイヘイに提供した「神戸裏山ハイキングの歌」。林伊佐緒とミス・タイヘイがデュエットした、伸び伸びした青春歌謡です🎼。

此の歌は昭和11年に開催された「第三回神戸みなと祭り」のテーマソングである「神戸音頭」(西條八十選、公募当選歌詞、宮本容一作曲、時雨千枝子歌)の裏面に組まれまして、其の証として神戸市の市章がラベルに印刷されています。制作サイドはA面が日本調なので、向こうを張ってモダンな歌にしたかったのでしょう。邦楽調歌謡の詩人平山蘆江の作詞、既に上京していた服部良一に作曲を依頼したのでした。曲は晴れやかな野辺が浮かぶ様な陽旋法のメロディ、前奏には船の汽笛や銅鑼の音、鳥の囀りが出て来て、海を見下ろす六甲山の光景が歌われています。三番構成であり、一番はミス・タイヘイ、二番を林が歌い、三番はデュエットと云う教科書通りの流れでした。ジャズっぽさは余りないのですが、流れる様な開放感溢れる楽しいサウンド。ミス・タイは後の奥田瑛子でした😀。

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