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山のハーモニカ (東海林太郎)。

7月も早下旬となり、全国の小中学校は明日から夏休みとの事。もうじき本格的なレジャーシーズンがやって来て、お金と時間に余裕がある人々の集団移動が始まるでしょう。と云う訳で今夜は夏のレクリエーションソングから、東海林太郎の歌う「山のハーモニカ」を。藤原山彦作詞、江口夜詩作曲で、35歳にして歌手デビューした東海林の極初期の一曲です。彼の最古の録音は日東レコードから昭和8年初夏に出た「遠き日の夢」「花の木陰」の2曲で、続くサードシングルが「山のハーモニカ」でした。日東では昭和9年初頭まで新曲を発売したものの、あまり売れた曲が少ないのに加えて、新顔だったキングレコードの専属となった事もあり、従って大半の録音が埋もれました。その後東海林の知名度が向上した昭和11年、日東は彼の楽曲を再発売して人気にあやかったのです🎼。

「山のハーモニカ」は江口夜詩作曲で、デビュー早々に当時一番の注目株の作曲家の楽曲を歌う機会に恵まれました。トランペットとバイオリン、高音のマンドリンの奏でるイントロは静かな山の朝を思わせ、リズムがアップして歌に入ります。ややおとなしめながら弾むような楽しいメロディ、間奏には鳥の鳴き声やハーモニカ、バンジョーの音色が散りばめられて、聴く人を山奥へと誘います。当たり前ですが、当時の東海林はまだ後年の様な節回しや個性が確立されていないので、この曲での歌唱は地味なものでした。東海林太郎は此の後はキングやポリドールでの録音がメインとなった事もあり、再び江口夜詩の歌を入れるのは7年後の「出帆の夜」まで待たねばなりません。作詞の藤原山彦とは誰かの変名でしょうか。此の時期の日東発売の流行歌では、しばしば見かける名前ですね😀。

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